史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,069 / 1,198
第十四章 他学年試合編

1056話 ここで一気に

しおりを挟む


 いつの間にか背後にいたシルフィ先輩。その手が私の腕に、触れた。
 今まで先輩の手に触れる機会なんてあまりなかったけど……触れてわかる。ひんやりしている。

 これは、吸血鬼ヴァンパイアだからだろうか。それとも、ただそういう体質なのだろうか。

「……っ」

 私は、弾くように手を振り払い、離れる。
 吸血鬼は、血を操る……そう、言っていた。それってまさか、自分以外の血もってことなのか?

 たとえば、体内の血まで操作できるとか……

「お前が考えているような恐ろしい真似はできない」

「!」

「もっとも、出血したものなら操ることは可能だがな」

 またも私の心を読んだかのように、シルフィ先輩は言った。
 続けて、血の雨の追尾も忘れない。

 私の考えているような……ってことは。体内の血の操作まではできないってことか。
 それは安心したけど……

「なんで、私の考えていること……」

 ことごとく、私の考えていることや行動を当てられてしまっている。
 なんとも不思議なことだ。もしかして、相手の心を読むって言うのも、吸血鬼の能力なんじゃ……

「お前がわかりやすいだけだ」

「ああそうですか!」

 だろうね! だと思ったよ!
 私ってばそんなにわかりやすいー?

 えーい、それを嘆いてても仕方ない。まずはあの血をどうにかしないと。
 かといって、魔法の防御も攻撃も効かないし、物理的に止めるしか方法が……

 ……だったら……

「これでどうだぁ!」

 身体強化の魔法で、全身を強化。迫る血の雨に向かって、拳を振り抜く。
 拳圧は、血の雨にぶつかり……勢いを殺して、地面に落ちていくのが見えた。

 よっし。最初からこうすればよかったんだ。

「相変わらず力任せな奴だな」

「じゃあこの力で、先輩もすぐに倒しちゃうよ!」

「……悪いが、俺はお前と真正面から馬鹿正直に戦うつもりはない」

 ぱちんと、先輩は指を鳴らす。

 ……すると、先輩の全身がぼわん、と煙に包まれた。なんだなんだ!?
 警戒しながらも、そこに先輩の姿はなかった。

 代わりに煙の中から飛び出してくるのは、真っ黒な鳥……いや、コウモリ……

「わっ、なんだこの!」

 コウモリは私にまとわりつくように飛び回る。その行動の意味がわからず、私は身を捻った。

 なんとか遠ざけたい。というか、先輩はどこに。
 いろいろなことを考えていると、首筋にチクリとした痛みがあった。

「あたっ。こいつ……!」

 腕を思い切りぶん回し、コウモリを追い払う。そいつに向けていくつか魔力弾を放つけど、避けられる。

 ……というか、この魔力って……

「もしかして、先輩?」

「気付いたか」

 するとコウモリは口を開き、私を見た。コウモリがしゃべった……というか、これシルフィ先輩の声だ?

 いったい、どういうことなのだろう。そう考えていた私の心をまたも読んだのか、先輩は話す。

「これが、吸血鬼の個体能力の一つだ。自らの身体を、モンスターに変身させることが出来る」

 ……モンスターに変身だって? じゃああのコウモリは、正真正銘のシルフィ先輩。
 学園祭の時、ヨルがやっていた種族を変化させることのできる仕掛け……あれに似てるけど、やっぱり違うものだ。

 それに、あの飛び方を見るに、私に幻覚を使っているとか、そう見せているわけではない。本当に、返信しているんだ。

「ふぅん。でも、コウモリに変身してどうするつもり?」

「別に、なんでもよかった。お前の隙をつくことが出来ればな」

「え……あ」

 たらり……と首筋に流れる、液体。それは、先ほど先輩コウモリに噛まれたことで流れ出した血だ。
 とっさに手で押さえる。けど、もう流れ出したものは簡単には止まらない。

 回復魔術で……いや、そんな暇も……

「あいた!?」

 次の瞬間、手のひらに鋭い痛みが走る。
 恐る恐る見てみると、手を貫通する形で血の棘が伸びているではないか。

 私の首から流れた血を操りってことなんだろうけど……

「ぐ、ぐろ! これぐろ!」

「お前を大勢で叩くか、俺が担当するかで悩んだが……お前相手に数を揃えても、あまり意味はないからな」

 ずぶりと突き刺さるのが、ぐろい。しかもそれが自分の血だって言うんだから、さらにぐろい。
 慌てる私と、対称的に落ち着いている先輩。

「ず、ずいぶん評価してもらえてるみたいで、嬉しいよ……」

「相変わらずの軽口だな」

 いつも生徒会室では私に対してむっつりしているくせに。その実、しっかり私のことは観察していたってことか。

 私は自由の利くもう片方の手で、血の棘を抜く。ただし、手に貫通したものはそのまま。
 棘を抜けば、また血が出てしまう。それまで操られてしまったら。

 さすがに情報のない絶滅種……あの手この手が厄介だ。

「お前のことは気に入らないが、仮にもゴルドーラ様と渡り合ったお前の厄介さはよくわかっている。だからこそ真正面から戦うことはしない。卑怯と笑うか?」

「……いや、私だってそんなこと言うつもりはないよ」

 とはいえ、このまま先輩に足止めを食らっていたらその間にクラスメイトが倒されちゃう。
 みんなを信じてないわけじゃないけど、それでも上級生相手に不安は残る。

 なら、ここで一気にシルフィ先輩を倒すしかない。

「クロガネ!」

 だから私は……使い魔、黒竜クロガネを召喚した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...