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第十四章 他学年試合編
1069話 油断はしない
しおりを挟む次の試合が始まる。それぞれのクラスのほとんどが使い魔を召喚する。
やっぱり、こうして見ると使い魔にもいろんな種類が居るっていうのがわかるな。
ノマちゃんの妖精猫のような小さなモンスターから、見上げるほどに大きなクマのようなモンスターまで。
私はルリーちゃんたちとは使い魔召喚の時同じクラスだったから、別のクラスのを見るのは初めてだな。
……その中でも、一番目立っているのが……
「あれが、サラマンダーか」
コーロラン・ラニ・ベルザの召喚したモンスター……サラマンダーだ。
彼がサラマンダーを召喚していたのは、事前に知っていた。本人から聞いたわけではない、ノマちゃんから(聞いてもいないのに)聞かされていたからだ。
そのモンスターも、また、珍しいとされるモンスター。同時に、兄のゴルさんのサラマンドラと比較すると……って印象だ。
……ううん、そういう比較をしてたんじゃ、本人に悪い。コーロランはそれで苦しんでいた時もあったんだから。
「身に火を纏っているのか……」
サラマンドラは、燃えるような真っ赤な鱗を持っている。けど、常に火を纏っているわけではない。
一方、サラマンダーは常に火を纏っているようだ。
グルルル……と低い唸り声をあげて、相手を威嚇している。
「って、タメリア先輩の使い魔は?」
おおかた確認したけど、先輩の近くには彼の使い魔と思われるモンスターはいない。
いったいどこに……と見ていたけど、足下に穴が開いているのが見えた。結構固い地面なのに。
それに気付いたのは、当然私だけではない。
「来るよ!」
弾かれたような言葉が響いた瞬間、ノマちゃんクラスの人数が集まっている中心部分の地面が盛り上がる。
それを確認したからか、それとも事前になにか決めていたのか。みんな慌てることはなく、その場から飛び退く。
……誰もいなくなった場所に、地面からなにかが飛び出してきた。
「も、モグラ……?」
地面を突き破るようにして表れたのは、身体半分を地中に隠したモンスター……モグラだった。
今のは、モグラが地面の下から移動してきたってことだ。
「あー、惜しい! 惜しいよグラ!」
だけどその特攻は誰にも当たらず、悔しそうにタメリア先輩は地団太を踏んでいた。
名前を呼んでる……てことは、あのモグラがタメリア先輩の使い魔か。
速く走ったり、空を飛ぶ使い魔は散々見てきた。だけど、地面の中を自在に移動するモンスターか。
「けど、バラバラにはできたぜ!」
「だな! よし、各個撃破!」
「おう!」
それは、作戦だったのだろう。地面から攻撃されれば、当然それを避けるためにばらけてしまう。
そして、人数が減ったところから撃破していくのだ。
相手が一年生だからって、油断はしない……そういうことだ。
「一年生だからって舐めてかかったら、痛い目見るだろうからね!」
……気のせいだろうか、タメリア先輩の目が私を見ている気がする。
「みんな、落ち着いて! 冷静に対処して!」
「了解!」
ただ、それでもノマちゃんクラスの士気が下がることはない。ばらけたのは、大きく四チーム。
それぞれの中に、ノマちゃん、ラッヘ、カゲくん……コーロランと、うまい具合にばらけている。
もしかして、ばらけた時に何人かで一塊になることを事前に決めていたのかもしれない。
それぞれ、信頼できる人が居れば安心できるし……タメリア先輩がそういったことを仕掛けてくると、コーロランならわかったはずだ。
なんたって、お兄さんが会長をやっている生徒会のメンバー。家のことも含め、交流はあっただろうから。
「ちゃんと調べてるんだなぁ」
「というか、上級生のことならまるは調べるでしょ」
「うぐ」
クレアちゃんの棘が突き刺さる。
それはそうだ、二年生や三年生はすでに使い魔を召喚しているのだから、調べようと思えば調べられる。
でも……私は、事前に情報を調べるよりも、ぶっつけで勝負したかったりするんだもん。
「っと、そんなこと言ってる間にあちこちで始まってるわよ」
「言ったのはクレアちゃんじゃん!」
ばらけたノマちゃんクラスを倒すために、タメリア先輩クラスもばらける必要がある。でもそんなの、百も承知だろう。
ただ、違いがあるとすれば……タメリア先輩だけ、クラスメイトには混ざらず突っ立っている。
多分、指揮官的な位置なんだろうな。それに、タメリア先輩が動かなくても使い魔のモグラがあちこちをかき回す。
「おわぁ!」
「ちょ、こっちぃ!?」
……地面の下からの強襲は、効果的だ。なんたって姿が見えないんだもんな。
だからって地面の下にばかり集中していたら、相手クラスの攻撃を見ることできない。地面の中を自在に動くから、捕まえることも難しい。
空を飛んでいる相手なら打ち落としたらこっちも飛んでしまえばいいけど。なるほど、これは手強い。
「わわわ、こっちに来ましたわ!」
その中でも、モグラはノマちゃんを執拗に狙っているように見える。
どうして……もしかして、ノマちゃんを警戒しているから、早めに潰そうってことか?
もしかして、私がノマちゃんの話をしたことがあるからか? まあタメリア先輩にノマちゃんの話を話をしたことがあるか、覚えてないけども。
どっちにしても、このまま狙われてたら……
「もう、しつこいですわ……よ!」
「ぷぎ!?」
モグラは、あくまで相手を翻弄することに重きを置いている。攻撃はしてこない。
それに気付いたからか……ノマちゃんは、敢えて避けるような真似はせず。地面からモグラが飛び出してきた瞬間、振り返って捕まえたのだ。
……捕まえたのだ!?
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