史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1072話 フィールドさん直伝

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「魔法を食べて……大きくなっちゃった?」

 見たものをありのまま話すと、こうなっている。わけがわからないように思えるけど、事実だ。
 ノマちゃんの使い魔の妖精猫ケットシー。彼(彼女?)が跳ね返ってきた魔法を食べ、飲み込んだ。そして、その身体がちょっと大きくなったのだ。

 見たままで想像するなら、魔力を吸収して自分の力にした、って感じだけど。

「さあ、行きますわよラーニャ!」

「にゃお!」

 当然ノマちゃんはその現象を知っているので、驚くことはない。指示をして、妖精猫はタメリア先輩に向かって走り出す。
 その動きは、身体が大きくなっているはずなのに先ほどよりも速くなっているように見えた。

 もしかして、吸収した魔力を自分の力に変換……つまり身体強化みたいになっているのかもしれない。

「グラ!」

 だけど、素直に接近は許さない。タメリア先輩の使い魔のモグラが、地面から飛び出す。今さらだけど、あの固い地面を飛び出すなんてすごいな。

 だけど、その上空に影が現れた。

「って、ノマちゃん!?」

 その影の正体は、ノマちゃんだ。って、いつの間に!?
 使い魔に指示して構えていたはずのノマちゃんは、いつの間にか使い魔に追いつき……モグラに対峙するように飛び上がっていた。

 そして、驚くモグラの顔面にノマちゃんの膝がめり込んだ。

「ぅりゃあああですわ!」

「グラぁ!?」

 そのままモグラはボールのように吹っ飛ぶ。ノマちゃんのおみ足が華麗に舞う。
 うらやま……じゃなくて、痛そうだ。容赦ねぇ。

 その隙に妖精猫は走り抜け、無防備なタメリア先輩の腹部に体当たりをした。使い魔がやられたことに、動揺していたのだろう。

「ぅっ!?」

 それは思いの外効いたのか、表情を歪ませる。だけど、当然それで終わらない。
 モグラを吹っ飛ばしたノマちゃんが、今度は先輩の目前に。さっきから場外から見ているのに、いつの間にかノマちゃんの姿を見失ってしまう。

 それは先輩にとってもそうだろう。遠くにいたはずのノマちゃんが、いつの間にか目の前にいる。
 しかもタメリア先輩はバランスを崩し、反応できない。

「これが……」

「ぐっ……」

「フィールドさん直伝の拳ですわぁぁああ!」

 振りかぶった右拳が、鋭く放たれる。咄嗟に腕をクロスさせてガードしようとしたタメリア先輩だけど、間に合わず拳は顔面にめり込んだ。
 そして、勢いを乗せて振り抜く。先輩は軽く吹き飛び、地面に二、三度跳ねて倒れた。

 ……っていうか……

「いや私そんなの教えてないけど!?」

 今ノマちゃん私直伝って言ったけど、そんなの教えてないよ!? 魔法の訓練とかはしたことあるけど、拳の訓練なんてしてないよ!?

 当のノマちゃんは、ふぅと息を漏らして拳を擦っている。

「やりましたわ、フィールドさん」

「いやなにが!?」

 なにをやりきった顔してるんだよ! 私教えてないってば!

「エランちゃん……」

「お前……」

「いやいや、違うんだって!」

 ほらー、なんかみんな疑い始めたじゃんか! 私そんな物騒なことしてないよ!?
 てか、私ならやりかねないってみんな思ってんの!? ちょっとショックなんだけど!

「フィールドさんに教わったこの拳で、わたくし上り詰めて見せますわ!」

 だから私教えてないから! ウソウソ、皆さんウソですよ!

「エランさんが教えてるにしろ教えてないにしろ、エランさんってよく人をぶん殴ってるから……」

「私そんなイメージ!?」

「あぁ。それを見てノマさんが真似した、なんてことも考えられますわね」

「それ私のせいじゃなくない!?」

「ダメよエランちゃん、ノマちゃんが真似するようなことをしちゃあ」

 ポン、と私の肩に手を置いたクレアちゃんが優しい目を向けてくる。そんな目で見ないでよ!

「私はお母さんか!」

「ママー!」

「ややこしくしないで!」

 ゼェゼェ……と肩で息をする。なんで試合を終えて観戦してるだけの私がこんなに疲れているんだ。

 だめだめ、今は試合を見ないと。みんなからの視線が気になるけど、私はやってないのだから気にすることはない。
 会場では、タメリア先輩が「いてて」とつぶやきながら起き上がっていた。

「容赦、ないな……っつつ」

「手を抜く、なんていうのは相手に失礼かと思いまして」

 スカートの端をつまみ上げ、ペコリとお辞儀をするノマちゃん。
 とてもさっき男の人をぶん殴ったとは思えないな。

「ラーニャ、ここはわたくしに任せてくださいまし!」

「にゃ!」

 すると、ノマちゃんの使い魔は背を向けその場から離れていくではないか。
 使い魔と離れて……ノマちゃん、タメリア先輩に一人で立ち向かうつもりか?

 そして妖精猫の方は……クラスメイトの方へと向かっていく。
 なるほど、相手の魔法だけじゃなく魔術も取り込めるなら、その力はみんなの力になってくれる。三年生の魔術に苦戦していても、妖精猫の存在が盤面をひっくり返すかもしれない。

 ただ……

「一人で、とは舐められたものだね」

「そんなつもりはありませんわ。ですが、あなたを相手にできる自信はあります」

 とんとん、と靴先を叩き、軽く伸びをするノマちゃん。大きなお胸が揺れるけど、そんなことに気を取られている場合ではない。

 ……ノマちゃんの魔力が、その身体から溢れ出した。
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