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第十四章 他学年試合編
1075話 それは意外な組み合わせ
しおりを挟む「やりましたわー!」
試合を終えたノマちゃんたちは、会場から降りてくる。
ノマちゃんクラスもだいぶ人数が減ったとはいえ、コーロラン、ラッへ、カゲくんはちゃんと残っているあたりさすがだ。
それにしても……ノマちゃんのいる「デーモ」クラスクラスは、一年生の中で唯一【成績上位者】がいないクラスだ。
私、ナタリアちゃん、そしてヨルはそれぞればらけている。だからって、それぞれのクラスに差があるなんて言うわけではない。
そもそもクラス分けは、均等な力になるように分けられている。少なくとも入学時点では。
けれど……ノマちゃんの力を見ては、私もうかうかしてられないと感じた。
「ノマお姉ちゃんすごかったー! お姉ちゃーん!」
「あ、フィルちゃん!」
試合を目をキラキラさせて見ていたフィルちゃんは、ノマちゃんたちが降りてきたのを見てからそっちに走っていってしまう。
まったく、後でゆっくり話せるのに。まあ、気持ちは分かるけど。
私の知らないところで、ノマちゃんは頑張っていたのだろう。以前クラス対抗の試合をしたときとは、見違える成長だ。
これで、ノマちゃんのクラスも勝ち上がった……次にぶつかるかもしれない可能性が、ぐんと高くなったわけだ。
「しかし、まさか魔法で魔術を破るとは……ノマくん、凄まじいね」
ナタリアちゃんが感心したように言う。そうだよなぁ、そこなんだよ。
威力や規模はもちろん、やっぱりその反動だ。魔法と魔術の違いは。
魔術は精神力を大きく疲弊するから、一発撃てばもうヘロヘロだ。だからこその切り札的存在。
それを、魔法で防がれてしまうなんて。
「ホント、すごい芸当だよね」
「……見えた、と言っていたけど、ノマくんは魔術になにかを見たってことかな。たとえば……魔術の弱所。つまり弱い所を見抜いて、そこを突いたとか」
「弱い所かぁ」
ナタリアちゃんの考え。それは、当たってるように思えた。
魔術の弱い所を突き、そこを突いたため弱い力でも貫くことができた。魔術を消し去るのではなく一部貫通したのが、その証拠だ。
それが本当なら……誰にも真似できないようなことを、ノマちゃんはやってのけたってことだよな。
「ボクの……いやエルフの魔眼と似ているかもね。もっともこれは、魔力の流れを見るだけだけど」
「ノマちゃんと同じようなことはできないの?」
「似たようなことはできるかもしれないけど、生物と違って魔導はそれこそ魔力の塊だ。弱い所なんて、あんな一瞬で見抜けるものじゃない」
……そっか。魔術の弱い所を見抜くにしても、魔術が放たれてから被弾するまでのわずか数秒でやらなきゃいけないのか。
そして、そこを正確に撃ち抜く。普通、魔術なんて撃たれたらパニックになってそれどころじゃなくなる。
だけどノマちゃんは、恐ろしいくらいに正確に。魔術を撃ち抜いて見せた。
これが……"魔人"の力の一部なのだろうか。
「……」
「どうかしたかい?」
「あ、ううん」
いけないいけない、変なこと考えたら、確かにノマちゃんの魔力が飛躍的に上昇したのはあの事件がきっかけだけど、あそこから生き残ったのも、その後力を自分のものにしたのも、ノマちゃん自身の力だ。
きっかけはなんであれ、今はノマちゃんの力。それを使いこなしているんだ。
「それにしても、これまでの戦いは凄まじいものばかりだね。なんだか緊張してきてしまう」
「あはは、大丈夫だってナタリアちゃんなら。誰が相手でも負けないよ」
「そう言ってもらえるとありがたいよ」
……お、そろそろ会場の整備が終わったみたいだ。
次は果たして、どのクラスとどのクラスがやり合うことになるのか。やっぱり自分が戦うのが一番楽しいけど、人のを見るのも楽しい。
ワクワクしながら、次の発表を待って……先生が、声高々に発表した。
「次の試合は、一年生の……」
「……!」
そして、発表されたのは……ナタリアちゃんのいる「オウガ」クラス。相手は、ルリーちゃんのいる「ラルフ」クラスだった。
「う、うそ」
それは、一年生同士の対決。
試合形式は勝ち抜き戦。その組み合わせはあくまでランダムであるため、当然同学年同士の戦いもあるだろう。
それはわかっていた。だけど……まさか本当に、そんなことが起こるなんて。
「……へぇ、これは面白いね」
果たしてナタリアちゃんはどんな気持ちなのか。隣を見ると、ナタリアちゃんはただ笑っていた。
にやりと、純粋に楽しそうに。
さっきは、ナタリアちゃんなら誰にも負けないとか言っちゃったけど……まさか相手が、ルリーちゃんたちだなんて。
「あ……」
ルリーちゃんのクラスを見る。すると、こちらを見ているルリーちゃんと目が合った。
フードで顔はよく見えないけど……でも、戸惑いがあるのはわかった。
「彼女とも一度、本気でやり合ってみたかったんだ」
隣では同じように、ナタリアちゃんもルリーちゃんを見ていて。多分、二人の視線が交わった。
こういう展開を、予想していなかったわけじゃない。いつかはこういうことも、あるだろうと思っていたけど。
思っていたよりもよほど早く、その時が訪れた。
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