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第十四章 他学年試合編
1076話 同学年対決
しおりを挟むナタリアちゃんのいる「オウガ」クラス。そしてルリーちゃんのいる「ラルフ」クラス。
同学年、二つのクラスが対決することに。
この勝ち抜き試合は、勝っていけばいずれはぶつかることになる。とはいえ、まさか一回目からぶつかることになるなんて。
「じゃあ、行ってくるよ」
「あ、うん」
「応援してね……なんて言ってしまうのは、意地悪かな?」
にっ、と笑ったナタリアちゃんが、ふりふりと手を振って会場へと上がっていく。クラスメイトも同様だ。
ナタリアちゃんの他に、第一王女のコロニアちゃん、クレアちゃんのルームメイトのサリアちゃん、ニンギョのリーメイらが揃っている。
その後ろ姿を見ながら、また別のクラスが上がっていくのが見えた。
「ルリーちゃん……」
いつものようにフードで顔を隠したルリーちゃん。別の国で王族だったというレーレちゃん、あとヨル……それにヨルの使い魔として召喚されたマヒルちゃん。
両クラスが、会場に揃った。
正直、どっちのクラスが勝つのかまったく予想がつかない。どちらのクラスも【成績上位者】かつ【代表者】のナタリアちゃんとヨルが要だろうか。
ヨルは魔導大会でゴルさんとやり合っていたし、ナタリアちゃんはエルフの力を持っている。ただし、周囲には内緒だ。
ただ、当然それだけで勝負が決まるわけじゃないもんな。他のクラスメイトも油断ならない人たちばかり。
こちらも正体は隠さなきゃいけないけどエルフ族のルリーちゃん。無詠唱魔術が使えるコロニアちゃん。このあたりも注目だ。
……いや、特に……
「マヒルちゃんか……」
使い魔召喚でこの世界に召喚された、ヨルの妹マヒルちゃん。
使い魔なのかそれとも人なのか。非常に曖昧な存在で、一応クラスでは人間として生活している。普通に授業受けたり、遊んだり。
魔導も使えるって話だし、使い魔だってことを忘れてしまうくらいだ。
人間の使い魔なんて前例がないため、彼女がどういったことをするのかさっぱりわからない。
「これは、目が離せないわね」
「うん」
クレアちゃんの言葉にうなずく……するとその直後、試合が開始された。
それとほとんど同時に、両クラスが動く。だけど、一番に行動を見せたのはコロニアちゃんだ。
「……行って!」
その無詠唱魔術で召喚した複数のゴーレムを、一斉に相手クラスに向かわせる。
コロニアちゃんのゴーレムには、大変お世話になった。ゴルさんとの決闘に向けて、練習相手になってくれたのだ。おかげで私は、分身魔法をあれだけ操れるようになって……
……っと、今は感傷に浸っている場合じゃないな。複数のゴーレムが、迫る。
コーロランのように巨大で一体のゴーレムか、コロニアちゃんのように人間サイズだが複数のゴーレムか。どちらがいいかは言えない。
けれど、ゴーレムの核を破壊されにくくするという意味なら、大きいほうが頑丈ではある。
「せぇい!」
迫るゴーレムに向かってルリーちゃんは杖を構え……その先端から、水の玉をいくつも放つ。それも、すごい速さで。
入学試験時にも見せた正確な早撃ちは、健在だ。ぱっと見ゴーレムの核はわからないけど……ルリーちゃんの"眼"はきっと、ゴーレムの核を見抜く。
一箇所に連続で水の玉がぶつかり……身体の表面を削り、その奥の核にまで到達する。そして、核を破壊した。
「……へぇ」
その様子に、ナタリアちゃんが笑う。青色だった瞳が一瞬、右目だけ緑色になったように見えた。
友達で、同じ部屋のルームメイトでもあるルリーちゃんとナタリアちゃん。その眼はどちらもエルフの眼……"魔眼"だ。
それはエルフ族にとっては命の源と言われる存在。魔力の流れを見ることができる。だからゴーレムの魔力の強い部分を見れたのだ。
核は多分、魔力が多いところだろうから。
「……ごくり」
お互いがお互いの秘密を知っている。そしてそれは私以外他の誰も知らない。
ルリーちゃんがダークエルフだってことはともかくとしても、ナタリアちゃんの右目がエルフの眼だってことは明かしてもいい気がするんだけど。
そんな二人だけど……不利なのは、ルリーちゃんの方かな。ダークエルフは闇の魔術を使えるけど、それ以外の魔術は使えない。それは逆もだ。
つまり……闇の魔術を使えばその時点でダークエルフだと勘付かれる可能性がある。
そして闇の魔術を使わないということは、ルリーちゃんは魔術の類いを使えないってことにもなる。
「行くよルリーくん!」
一方のナタリアちゃんは、エルフの眼を持っているからかなりの魔力量だ。でも、ナタリアちゃんは別にエルフの眼を貰ったから強くなったわけではない。
それ以前から強い力を持っていたから、今の家に養子になったんだ。
二人の魔法がぶつかり合う。すると、やっぱりナタリアちゃんの方が優勢に見える。
「こっちも忘れてもらっちゃ困るぜ!」
「!」
だけど、そこに割り込んでくる人影。この世界じゃ珍しい黒髪を揺らしているヨルだ。
これがクラス対抗である以上、何人がかりだろうと卑怯だとは言えない。
「【成績上位者】同士、俺もあんたとやってみたかったんだよね!」
「なるほど、受けて立つよ」
……ただ、だからといって対戦構図が決定するわけじゃない。その間にもコロニアちゃんの召喚したゴーレムが割り込み、場は混乱していく。
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