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第十四章 他学年試合編
1088話 午後の一回戦
しおりを挟むお昼休みも終わり、私たち含めて続々と全生徒が会場に集まる。
会場は元通りで、いつでも始められる状態だ。
みんなざわざわしているけど、午前に比べたら落ち着いている感じだ。それも、午前中に慣らしたおかげだろう。
「それではこれより、残った六クラスで勝ち抜き戦を行ってもらう」
私は自然と、残ったクラスを見回していた。残ったのは、私たちを除いて五クラス。
一年生ノマちゃんクラス、ナタリアちゃんクラス。二年生レーレアント先輩クラス、三年生ゴルさんクラス、メメメリ先輩クラス。
どのクラスも一筋縄ではいかない相手だ。
さて……いったいどのクラスとぶつかることになるんだろうな。
「早速……午後の一回戦目は……」
先生がランダムに選出したクラスの名前が、挙げられる。
そして、発表されたのは……ノマちゃんクラスと、メメメリ先輩クラスだった。
ノマちゃんたちにとっては、またも三年生を相手にすることになる。いいなぁ。
「今回はどうなるかしら」
「さあねぇ」
午前の試合では、ノマちゃんたちはタメリア先輩のいるクラスと試合をして……そして勝利した。
それはまぐれとか、そんなものでは片づけられないだろう。もちろん、運の要素も絡んではいるだろうけど。
ちゃんとした、ノマちゃんたちの実力だ。
「ほほぉ、タメリアたちを下した一年かい。こりゃ腕が鳴るのぉ」
それをわかっているのか、メメメリ先輩は油断した様子はない。
狼の亜人……その口から覗く牙を光らせ、楽しみだというように笑っている。
そう、油断はない……そして特に要注目されているのが、やっぱりノマちゃんだろう。
コーロランやラッヘと、もちろん無視できない子はいる。それでも、魔術を撃ち抜いて見せた実力はやはり脅威だ。
そのノマちゃんはというと、向こうでクラスのみんなを鼓舞しているわけだけど。
「変わんないなぁ」
相手が誰でも、臆することはない。それがノマちゃんだ。
その姿勢は、少しうらやましさを感じてしまうくらいだ。
そして、両クラス会場へと上がった。
その際、ノマちゃんが私を見てウインクをしてきた。見間違い……じゃあないよな。
「両クラスとも、お互いの手の内は先ほど見ている。なにも知識がなかった先ほどの試合とは、違った展開になるだろうな」
そう分析するのは、ダルマスだ。言うことはわかる。
午前と午後とじゃ、相手に対する知識に差がある。それが午前の試合で垣間見えたんだ、展開はまた変わってくる。
さすがにさっきの試合で全部を見せたかはわからないけど、手を抜いていたところはない。
そして、知れば警戒できることもある。ノマちゃんの魔術撃ち抜きがまさにそれだ。
……ただ、逆に考えることもできる。さっきの試合での反省点を踏まえて、クラスごとに違った動きを展開できる。あそこがダメだったから次はこうしよう、みたいな。
「では、試合開始!」
そうしているうちにも、試合開始の合図が鳴る。
さて、まずはどっちから仕掛けてくるのか……
「おらぁ、ぶっぱなせぇ!」
「いきなり!?」
会場を割るほどに大きなメメメリ先輩の声。それを合図に、三年生側からは生徒一人一人による魔法攻撃が放たれる。
これぞ先制攻撃。相手になにをさせるでもなく、一気に決めようとでも言うのか。
魔法単体では魔術には敵わない。でも、複数の魔法ともなれば……数を重ねれば、魔術を圧倒することもある。
三年生一人一人の魔法攻撃。その重なったものは、まるで魔術のような勢いを持っていた。
「しかも、単体じゃないからノマちゃんにも対処できない」
複数の魔法が混ざり合っている。それは単体の魔術相手にできたことが、できないってことだ。
ノマちゃんは魔術の弱い所を見抜いたんだろうけど、同じ手を使っても全ての魔法を消し去ることはできない。
さて、どうする……?
「み、皆さん! わたくしの周りに!」
ノマちゃんの言葉に従い、クラスメイトはノマちゃんの周りに集まる。
それを確認して、ノマちゃんは魔力防壁を張る。ドーム状に、みんなを囲める大きさのものをだ。
まさか、あれで防ぐつもりか? あの複数魔法を防ぐには、同じ威力の魔法攻撃か……それこそ魔術が必要だ。
でも、たとえ魔術が使えても、詠唱の時間がない。そんなことはわかる。
とはいえ、いくらノマちゃんの魔力が強くなっても、あれだけでは……
「ラッヘさん、お願いします!」
「りょーかい!」
しかし、それだけでは終わらない。ラッヘがノマちゃんの肩に手を置いた。
すると……ノマちゃんの魔力が、増していくのがわかった。当然、防壁の力も強くなる。
もしかして……
ラッヘは他人の魔力を強化できる。それに近いことが出来るのは、さっきの試合で分かった。だから今、ノマちゃんに触れることで直接、ノマちゃんの魔力を上昇させているんだ。
「ほほぉ、防ぐか」
三年生の強力な魔法攻撃を、ノマちゃんの魔力が受けきっている。飛躍的に上昇したノマちゃんの魔力を、ラッヘの力でさらに引き上げたんだ。
さっきの試合で学んだことを、生かしている。ノマちゃんの魔力、ラッヘの力を信じて、クラスメイトが団結している。
……だけど。
「悪いが……これだけで終わりと思ったら、大間違いじゃよ。行けぃ!」
「電撃落下!!!」
さっきの魔法攻撃……総攻撃と思われていたそれはそうではなく、魔術詠唱が完了するまでの時間稼ぎでもあったのだ。
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