史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1106話 雷撃を操る鬼

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 みんなで勝利を……それが、ナタリアちゃんたちが立てた作戦、みたいなものだ。
 クラス対抗の試合で、それは当然のようにも思えるけど……特にこの試合では、意味が深いのだ。

 強大な相手に、一丸となって立ち向かう。一人一人が全力を出すことで、少しでも相手を消耗させる。
 その証拠に、コロニアちゃんの魔術のおかげでゴルさんは消耗している。

 もちろん、ゴルさんにかかりきりになっては他の三年生が手つかずになる。ゴルさんに大人数を当てられない理由の一つだ。
 ただ、三年生も手強いけど……ナタリアちゃんやリーメイだって負けてはいない。

「んんんんん!」

 ゴルさんの前に立ちはだかるのは、鬼族の力を解放したサリアちゃん。
 バリバリ……と音を残して移動する。その速度はまさに雷で、いくら身体強化しても追いつくことは不可能だ。

 雷を操り、雷の速さを持って移動できる。それが鬼族の特徴。

「……!」

 サリアちゃんの姿が見えた時には、すでにゴルさんに攻撃を仕掛けている。
 死角となる背後からの蹴り。それをゴルさんは、見えていないはずなのにその場で屈んで避ける。

 どうしてどこから攻撃が来ることがわかったのか……それ以上にその反応速度に驚かされる。
 今のサリアちゃんの行動は、見てから反応するんじゃ間に合わない。それだけ速いのだ……反応したときにはすでに、攻撃を食らっている。

 それを防ぐには、見る前に反応する必要がある。そうすることで、速すぎるサリアちゃんとのラグを縮めることができるのだ。

「んむぅ!」

 蹴りを避けられたサリアちゃんは、そのまま空中を軽く蹴る。バリッ……と少し雷が迸ったのが見える。雷を足場に、空中ジャンプしたのだ。
 そのまま縦方向に回転し、踵落としを突き落とす。屈んだゴルさんには避けられない攻撃だ。

 それも、その動きは見えていない……


 ドゴッ……!


「ぐっ……!」

 予想通りにサリアちゃんの踵はゴルさんの背中に直撃し、メリメリ……とめり込んでいく。
 よほどの威力なのか、ゴルさんから苦悶の声が漏れる。

 ゴルさんに、一発加えた……その驚きは、だけど次のゴルさんの行動にかき消される。

「……!?」

 踵落としを受けた状態で、ゴルさんは手を後ろへと回す。そして自分の背中にあるサリアちゃんの足首を、手探りで掴んだのだ。

「確かに速いが……こうすれば、捉えられる……!」

 そのままゴルさんは力任せにサリアちゃんの身体を振り回し、背負い投げをするような形で地面へと叩きつける。
 背中から地面に打ち付けられ、サリアちゃんは息を吐き出す。

 ただ、サリアちゃんもやられてばかりではない。未だ掴まれたままの足首……そこに電流を流す。掴んでいる手を伝い、ゴルさんにも雷が流れた。

「ぐっ……?」

 その痺れに、咄嗟にゴルさんは手を離してしまう。
 その隙を見計らい、サリアちゃんはバリバリッ……と移動。一旦ゴルさんと距離を取る。

 ……と思いきや、ゴルさんの懐へと迫っていた。

「このまま、攻められてもらうよ!」

「そう来ると思った」

「っ……!?」

 鋭い拳……いや手刀とも呼べるそれがゴルさんの顔へと迫る中、ゴルさんは冷静に言葉を漏らす。
 そして身体を右へと傾けると、手刀をかわす。ただ、少し顔に掠ったみたいだ。

 そうしてがら空きになった身体へと、ゴルさんは魔力弾をぶつける。

「ぐぁっ……!」

「鬼族の力は確かに脅威だが、時間制限付き……つまり、一刻も早く勝負を決めたいと言うことだ。いている相手なら、次にどういう行動を取るのか予想はつきやすい」

 魔力弾をくらったことで上空へと浮き上がったサリアちゃんへ、ゴルさんは淡々と告げた。

 時間制限付き……だからこそ、急いで勝負を決めようとする。だから、行動を読みやすい。
 言うのは簡単だけど、実際にできるのかと言われれば答えはいいえだ。ゴルさんだからこそなんだろうな。

 それこそ、経験値の差ってやつ……

「……っ、さすがの頭の回転、ってわけかな」

 バリバリ……とサリアちゃんの身体に雷が迸る。それがだんだん右手に集まっていき、なにかが形作られる。
 鋭く光るそれは、雷の剣だ。

 雷を操るって、あんなこともできるのか。

「確かに、時間が来てしまうより前に決められれば、とは思ってるよ。それがわかってるなら……こっちも、大惜しみはなしだ」

 吹き飛ぶサリアちゃんはくるくると体勢を整え、空中に着地。空中に雷を走らせ、それを足場にしているのだ。
 そのまま、ぐぐぐ……と膝を折り力を溜める。まるでバネのように伸びた膝は爆発的な力となり、その場から地上にいるゴルさんへと飛び出した。

 バリバリと恐ろしいほどの速度は、たとえ一直線上の動きとわかっていても防ぎきれるものじゃない。
 ……普通の人なら。

「……!」

 けれどゴルさんは、迎え撃つ体勢だ。

 そのまま、雷の弾丸が迫るのを前にゴルさんはふっと軽く息を吐き、反撃を……


 バリッ


「!」

 けれど、弾丸は寸前に軌道を変えた。右へ、いや左へ。
 雷が走った跡……とでも言うべきだろうか、残された雷道が、サリアちゃんの通った道を教えてくれる。

 空中を蹴り、雷の速さで縦横無尽に駆け回る。バリバリと輝くその姿は、まるであちこちに咲く火の花だ。
 これは、相手を撹乱し狙いをつけさせないために動き回っている……だけではない。

「っ、ぐぅ!」

 迸る雷が、ゴルさんを狙う。雷の剣がその身体を切り裂き、すんでで避けたゴルさんはけれど腕に走る雷撃に眉を寄せる。

 動き回るサリアちゃんは、あちこちからゴルさんへと攻撃を仕掛けていく。直撃こそしないが、掠ってもかなりの威力。
 狙いをつけさせず、徐々にゴルさんの体力を削っていく。それがサリアちゃんの狙いか。
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