史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1111話 燃える炎

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 ナタリアちゃんに触れられ、ゴルさんの身体は宙に浮いていく。
 それは、おそらくナタリアちゃんの魔法によるもの。自分の重力を操作できると言うのなら、自分以外の人の重力を操作できても不思議はない。

「これは……」

「どうです、なかなか経験できないでしょ」

 さすがのゴルさんも困惑した表情だ。
 宙に浮く、という点では、浮遊魔法でも似たようなことはできる。だけど、あれはあくまでも自分の意思で浮かび移動するものだ。

 他人に、自分にかかる重力を操作される。それによって身体が浮いてしまうと言うのは、言いようのない感覚だと思う。

「あんな魔法も、あるなんて」

 これまでにいろんな魔法を見てきた。一般的なものから、魔導を剣に乗せるやり方、魔力を吸収する魔法、身体強化に特化した魔法……そして、重力を操作する魔法。

 私は師匠からいろいろ学んできたつもりだけど、それでも知らないものがあるほどにやっぱり魔導の世界は深く広い。

「しかし、こんなもの……慣れてしまえば……」

 ふわふわと浮きながらも、ゴルさんは早くも体勢を立て直そうとしている。
 ゴルさんなら、時間があれば対処も可能だろう。

 そう……時間があれば、だ。

「とりゃー!」

「ぐふっ?」

 飛び出してきた影が、ゴルさんの腹部にぶち当たる。

 黒い影の正体は白いモンスター、パピリだ。ナタリアちゃんの使い魔として、絶好のタイミングで乱入。ゴルさんの腹部に蹴りを入れたのだ。
 非常に愛くるしい見た目だけど、その飛び蹴りの威力はすさまじい。

 さらに、重力が軽くなっているためか普通に蹴とばされたよりも大きく吹き飛んでいく。

「この……!」

 だからゴルさんは、吹っ飛ばされ切ってしまう前に進行方向に風の魔法を放ち、衝撃を相殺する。
 しかし、それを読んでいたかのようにナタリアちゃんが並走……いや並飛。自身の重力を軽くしたことで、追いやすくなったのだ。

 そのままナタリアちゃんは、ゴルさんの肩に触れて……

「タッチ」

「……!」

 次の瞬間、すさまじい勢いでゴルさんの身体が地面に激突……そのままめり込んでいくのではないかという勢いだ。
 今度は、ゴルさんの身体にかかる重力を重くした。急激に、まるで重りをつけられたようになった身体は、重力に従い下に落ちたんだ。

 ズシン……と大きな音が響いた。硬い地面に打ち付けられ、誰かがなおも沈みそうになっている光景は異常とも言えるだろう。

「ゴルドーラ様!」

 その中で、リリアーナ先輩が真っ先に反応する。ゴルさんのところへ駆け寄ろうとするけど、リーメイの水分身が行く手を阻む。

 リーメイの相手は、ルアシア・トルコヤード先輩がしている。だから、水分身が増えることはない。
 それでも、残っている分身はいるのだ。

 見事にクラスを分断し、リーメイは相手クラスを翻弄することに成功している。

「ぐく……ぬぅ……」

「! それで、立ち上がるなんて……」

 着地したナタリアちゃんは、重力に押しつぶされそうになりながらも立ち上がろうとするゴルさんを前に驚きを見せる。
 普通なら、立つこともできない重力なのだろう。それでもなお、ゴルさんは立ち上がろうとしている。

 そして、その場で踏ん張り……口を動かす。

「吹き荒れる風よ、目に見えぬ刃となりて全てを切り刻め……」

「! この状況で!?」

 それは、魔術の詠唱。押しつぶされないように必死になるところを、魔術の詠唱に持っていくなんてどんな頭してるんだ。
 対処しようと構えるナタリアちゃんだけど、ゴルさんの方が一歩早い。

荒風刃斬フラルドザン!!!」

 吹き荒れる風の刃が、ゴルさんを中心に周囲に広がり……自身を押しつぶす重力を、"斬った"。
 目に見えないものを目に見えないもので斬ったなんて普通はわからない。でも、その現象が起きたと本能が理解した。

 それが証拠に、身軽になったゴルさんはその場からナタリアちゃんへと突っ込んでいく。

「! 魔術発動後にこの動き……」

「おりゃあ!」

 ゴルさんとナタリアちゃんの間にパピリが割り込み、その白い脚で蹴りを放つ。
 しかし、ゴルさんはそれを腕でガードした。

 ……それだけではない。

「っ、あっ、ちちちち!」

「パピリっ?」

 パピリが騒ぎ出す。
 というのも、パピリの足が燃えているのだ。正確には、パピリの蹴りを受け止めたゴルさんの腕が。

 赤い炎に包まれ、けれどゴルさんは平然とした表情をしている。

「別にお前たちを侮っているつもりはなかった。が……ここまでやるとも思っていなかった」

「ぴゅい……いー!?」

 ゴルさんはパピリの足を掴み、その小さな身体をぶん投げていく。
 ひゅーん、と飛ばされたパピリ。情けない声が響く中、ナタリアちゃんはゴルさんから目を離せない。

 その腕が、濛々もうもうと燃えているからだ。

「ど、どうなってんのあれ」

 魔法で、自分の腕が燃えているように見せているのだろうか。それにしては、なんだか違和感があるけど。

 というか……あの炎から、ゴルさんの魔力というよりも彼の使い魔、サラマンドラの力を感じるんだけど……

「……まさか、使い魔の力を術者の力にして……みたいなこと?」

 使い魔を召喚せずに、使い魔の力を使う。そういうことだろうか?
 そんなことができるのかわからないけど……もう何度も、私の知らなかったことが起こったんだ。できても不思議じゃない。
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