史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1112話 使い魔の力を纏い

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 ゴルさんの右腕が激しい炎に包まれている。それはもちろん、実際に燃えているわけではない……はずだ、多分。
 燃えてたら、本人だって熱いだろうし。いや、本人だからこそ熱くないように調整できたりするんだろうか?

 まあ、そんなことはどっちでもいい。問題なのは、それがゴルさんのパワーアップの手段だってこと。

「パピリ……!」

 短く白い足があの燃える腕にガードされ、もろに焼けてしまったパピリは地面を転がりぴぇぴぇと泣き叫んでいる。
 とりあえず、あれだけ叫ぶ元気があるなら大丈夫だろう。

 それにしても……

「使い魔の力を、纏っているのか……それも、使い魔を召喚せずに」

「さすがに頭の回転が早いようだな」

 ゴルさんが使い魔の力を纏っている。私と同じ結論に至ったらしいナタリアちゃんは、冷や汗を流していた。

 使い魔を召喚せずに、使い魔の力を使う。そりゃ、使い魔とは契約で繋がっているんだから、考えてみれば不思議ではない。
 でも、今までそんなこと考えたことがなかった。

 ゴルさんの使い魔はサラマンドラ。サラマンドラの力の象徴は炎……だからその力を使っているゴルさんの腕が、燃えているというわけだ。

「むん!」

 おもむろに、ゴルさんは腕を振るう。
 それにより発生した風圧……本来腕を振った程度では風なんてたいして起こらないけど、今回は違った。

 というか、サラマンドラの力を使っているからなのか。振った衝撃で放たれたのは風というよりも炎……まるで炎を振ったみたいだ。
 それは周囲に流れ、燃やしていく。

「わー!」

「きゃー!」

「んぎゃー!」

 その炎は、クラスメイトを襲っているリーメイの水分身を中心に襲った。
 炎に襲われ、水分身たちは叫びながら蒸発していった。

 ……蒸発していった!?

「あんなの触れたら、火傷じゃ済まない……あ、そっか」

 この結界の中では、ある程度のダメージは無効化される。だけど、それは対象が人の場合。
 今のは魔法で作った分身だから、ダメージはそのまま……ってわけか。

 ていうか、本人も私たちもたいした影響はないんだろうとはいえ、水が蒸発する温度を熱しているのかあれ。

「くっ、なら! 命の源よ……」

「はぁ!」

 ナタリアちゃんはとっさに魔術詠唱を唱えようとする。けれど、それよりもゴルさんの動きが速い。
 なんせ、ゴルさんは腕を振るうだけで攻撃できるのだ。その場で放ったパンチは、本来届くはずもない。

 だけど、拳圧の炎が放たれ、ナタリアちゃんへと襲いかかる。

「……!」

 とっさに身体強化の魔法に切り替え、ナタリアちゃんはその場から脱する。
 なんとか魔術を……水の魔術を使おうとしているようだけど、それを許すまいとゴルさんの追撃が迫る。

 あれが使い魔の力を使っているものなら、ただの魔法じゃ通用しない。だって、ゴルさんの使い魔はサラマンドラなのだから。
 さすがに一発一発が魔術と同等とは思わないけど……それでも、魔法よりいじょくが上のはずだ。

 ……ただ、使い魔の力を使ってできるのは攻撃だけではない。

「あ、なにあれ!」

 見れば、ゴルさんの足が燃えているではないか。そのまま地面を滑り……まるでスケートのように移動している。
 足の裏に炎を纏って、その勢いで地面を移動している。原理はよくわからないけど、そうなっているんだから仕方ない。

 そのおかげで、あっという間にナタリアちゃんへの距離を縮めていく。

「っ、せいや!」

「むん!」

 逃げられないと砂糖や、ナタリアちゃんはゴルさんへとパンチを放つ。ただ、魔力強化されただけのパンチ……ではないようだ。
 その拳は鋭く、そして重い。おそらく、拳にのみ重力操作の魔法を付与し、拳を重くしたのだ。

 対してゴルさんが放つのは、炎を纏いし拳。灼熱のそれが、ナタリアちゃんの拳とぶつかり合う。

「ぐっ……」

 苦悶の表情を浮かべるのはナタリアちゃん。徐々に押され……そして軽くではあるが吹っ飛ばされた。
 それを重力操作し、うまく体勢を立て直す。けど、着地した瞬間周囲を炎の壁が囲う。

「ナタリア!」

 そう叫ぶのは、リーメイだ。水の魔法で、炎の壁をかき消していく。
 けれど、それが一瞬の隙を生む……

「友達想いは立派だけど……それは悪手よ」

「!」

 背後を取ったルアシア・トルコヤードが、鋭い蹴りを放つ。
 それを察していたかのようにリーメイは、振り向きざまに水の剣を振るい……二人の攻撃は交錯することなく、お互いの身体に打ち込まれていく。

「くぅ……」

「かはっ……」

 そして二人は、同時に戦闘不能状態に。リーメイの一瞬の隙が、この場における勝敗を決めた。
 そのおかげで、ナタリアちゃんは自由になるけど……その足に絡みつくのは、白い蛇だ。

 リリアーナ先輩の使い魔が、炎がかき消された蒸気に紛れてナタリアちゃんに迫っていたのだ。

「ぐっ、この……」

 これでは、重力を操作して身体を自在に動かすこともできない。
 異変に気付いたパピリが「きぇぇえええええっ」と走っているけど、リリアーナ先輩の魔法に阻まれる。

 ナタリアちゃんも、白蛇に、そしてパピリに注意を持っていかれてしまった。
 それが一瞬であっても……彼にとっては、充分だ。

炎拳えんけん!」

 次の瞬間……姿を見せたゴルさんの燃える、灼熱の右拳が。
 ナタリアちゃんの顔を打ち、地面へと振り落とした。
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