1,131 / 1,198
第十四章 他学年試合編
1118話 決勝戦開始!
しおりを挟む……さて、一夜明けた次の日。いや、次の日っていうかもう今日なのか。あれ、こういう場合どう言えばいいんだ。
……ま、どっちでもいいか。今日はついに、他学年試合の決勝戦の日だ。
つまり、私たちのクラスとゴルさんのクラスがクラス総当たりでぶつかる……ということだ。
「はぁー、緊張する」
「大丈夫だってクレアちゃん、今日は楽しもうって言ったじゃん」
「だからってねぇー」
すでに会場にはほとんどのクラスが集まっている。
試合で負けてしまったクラスは、今日は自由時間でもある。別に、強制的に観戦していないといけないわけでもない。
それでもこうして集まっているのは、やっぱりみんな気になっているということなのだ。決勝に残ったクラスの、どっちが勝つのかを。
「昨晩はよく寝た、朝ごはんもしっかり食べた。魔力体力共にばっちりだよ!」
「私、あんまり寝られなかったかも……」
「私も……」
緊張してしまってか、あんまり眠れなかった子もいるみたいだ。睡眠不足は判断力の低下を誘うから、心配だなぁ。
みんないろんな表情をしているけど、その中でもフィルちゃんはにこにこしている。まあこの子はいつもだけど。
そんでダルマスは、いつもと同じ仏頂面だ。緊張しているのかいないのかわからない。
あと……筋肉男もいつも通り手鏡で自分の顔見てるな。てかあいついつも自分の顔見てるな。
「みんな、深呼吸して。深呼吸! そしたらほら、行くよ!」
「いろいろ早すぎるよ!」
みんなの様子を見て、私は先導して会場に上がる。
なんだかんだ言っても、みんなもついてきてくれているな。
そして上がった先には、すでにゴルさんたちがいた。
こうして前にすると、その圧力を直に感じるよ。
「来たか」
「うん、来たよ」
コツコツ……とゴルさんが歩いてきて、私の前に立つ。
「こうなるんじゃないかとは、思っていた」
「私たちのクラスとゴルさんのクラスが、ってこと?」
「あぁ」
ほほお、そりゃ嬉しいね。私たちが最期まで勝ち残ると信じていたわけだ。
ま、私も同じ気持ちはあったけど。いろんな人たちを応援してきたけど、決勝には私たちがぶつかることになるんじゃないかって。
残り一枠が引き分けで勝ち上がってこなかったのは、予想外だったけど。
「それではこれより、他学年試合決勝を始める!」
先生の言葉を皮切りに、私たちはそれぞれのクラスに戻り……じっと睨み合う。
それを先生は確認して……手をまっすぐと上げた。
「試合、開始!」
腕を振り下ろし、まるでテープを切ったような感覚があったあと、大きな声が響いた。
その直後、会場の雰囲気は一気に変わる。主に三年生たちの雰囲気だ。
それを確認し、私は浮遊魔法を使い上空へと飛び出す。
「爆炎で焼き尽くす豪火よ、天地をも焼焦す死火と成りて……」
「いきなり魔術詠唱だと!?」
驚いた様子で、三年生の誰かが叫ぶ。
私が上空へと飛び出した理由は、二つある。一つは、相手の狙いを分散させるため。というか、相手が狙うのは真っ先に私だと思ったからだ。
なので、上空へ飛び出してしまえば私に巻き込まれてクラスメイトに被害が飛ぶことは防げる。
そしてもう一つ……こちらが本題だけど、上空なら魔術詠唱を邪魔される確率はぐっと下がるから……
「やらせるか!」
「!」
けれど、私めがけて鋭い炎の槍が飛んでくる。それをとっさに避けるけど、避けた槍は形を変え私を閉じ込める。
それはまるで、炎の檻。私の魔術妨害をするんじゃなく、私の動きを封じるため!?
このまま魔術を……いや、万が一魔術で檻を壊せなかった場合、私自身が魔術の反動を受けることになる。
攻撃同士の場合、魔法で魔術を破るのはまず不可能だ。ノマちゃんという例外はいるけど。
でも、防御に回した場合……魔術で打ち破れるかと言われると、確実ではない。しかも炎の檻の中に閉じ込められた状態で、同じ火属性で。
ほぼ確実に私にも反動が来る。
「……ちっ」
私は詠唱を取りやめる。炎の槍から檻へと変化させた三年生は、得意げに笑っていた。
「奇天烈なことをしてくるのはわかっていたからな、動きを封じさせてもらう!」
私が浮遊魔法から魔術を使ったり、分身魔法から魔術を使ったり……そういったことをするのは、今までのを見ていればわかる。
私がなにをするにしても、動きを封じてしまえば意味がないということだ。
そしてその間に、下にいる三年生たちは一斉に魔法を放つ。それはクラスメイトを襲う……
「みんな、迎え撃つわよ!」
ただ、無抵抗にやられるはずもない。魔法には魔法で、反撃し両クラスの魔法がぶつかり合う。
ただ、やっぱり力量に差がある。押されてしまっているようだ……
「ヒヒィン!」
「!」
その時、雄々しい鳴き声が響いた。その瞬間、ぶつかり合っていた魔法が消える。
その跡を、なにかが駆けていく。白く美しいそれは、空を自由に走り……その翼を羽ばたかせると、いくつもの星のような形をした光線が放たれた。
ゴルさんを中心に魔力防壁でそれを防ぐと、今度はゴルさんが魔力弾で反撃。それさえも、魔法がかき消える。
「ふふッ……見たまえこの美しい姿ヲ!」
それは、自由に駆けていくペガサスに乗った、筋肉男の姿だった。
11
あなたにおすすめの小説
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク
両親は村を守る為に死んでしまった
一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る
シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい
すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。
神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。
そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する
もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。
だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く
無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!
夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。
彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。
価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い!
これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる