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第十四章 他学年試合編
1119話 久しぶりの出番だな
しおりを挟む青い空に羽ばたく白い身体……黄金の翼がバサバサと羽ばたき、真鍮のひづめと金のたてがみが輝く。
人一人乗せて優雅に駆け回るのは、ペガサスだ。その美しさに、思わず見惚れてしまう。
ただし……その背中に乗っている筋肉モリモリの男が高笑いしているせいで、台無しだけど。
「ふっははははハ!」
「あいつ、なにを……」
今まで頑なに動いてこなかった筋肉男が、ここで動いた。さすがに決勝戦だから、血が騒いだのだろうか?
これまでペガサスってやつの活躍する姿を見たことなかったけど、ついにその力が発揮されるのか。さっき魔法をかき消していたのも、その力の一部だろうか。
いったい、どんな力を持っているのだろうか……
「はーはっはっはっハ! 見たまえエレウテリアの優雅な姿ヲ! はーはっはっはっハ!」
「……」
……活躍しねえ! なんもしねえ! ただ空跳んでるだけじゃねえか! 伝説の生き物召喚してまで、高笑いしてなにやってんの! ただ自慢したいだけ!?
だめだあいつは、行動が読めない……ただ目立ちたいんだろうなってことしかわからない。
やっぱりあいつはいないものとして考えよう……
「せい!」
「あっ」
とりあえず、みんなの注意がそれた間に私は炎の檻をぶった切り、脱出。
こうして切ってしまえば、私にダメージがきてしまうことはない。
さて、お次は……
「グエーッ!」
「えっ」
下を観察しタイミングを見計らっていたところ、やかましい鳴き声が聞こえた。正面を見ると、鳥型のモンスターがいた。
それも、三体。誰かの使い魔だろう、まさか飛行系の使い魔が三体もいるとは。
浮遊魔法で空中にいる私を、空中戦が得意な使い魔で倒してしまおうってことか。
「けど……といや!」
「クエッ!?」
空中戦だって私は、あの日以来練習してきたんだ。こんなこともあろうかと、ゴルさんと決闘をしたあの日から。
自在に……とまではまだいかないけど、それでもある程度事由に動き回れるようになった。
それに……
「来て、クロガネぇ!」
「ゴギャアアアア!」
隙をついて使い魔を召喚することだってできる。
空中なら、周りに被害が出ることもない。地上でいきなりクロガネみたいな大きなモンスターが出現したら、味方もびっくりしちゃうもんね。
召喚したクロガネの圧力に、三体の使い魔は怯んでいる。モンスターとしての格……というやつか、それに怯えているのだ。
魔物を相手にした時も、こんな感じだったな。
『やれやれ、久しぶりの出番だな』
「ごめんごめんて、なかなかクロガネを召喚できるタイミングがなくてさ」
『ふっ……ま、いい。だが、暴れさせてもらうぞ』
その言葉通り、クロガネは口の中へと魔力を溜め……強力な竜魔息を放つ。
三体の使い魔も対抗するが、クロガネの威力には敵わず……その魔力の塊に飲み込まれてしまう。そのまま、消滅……魔法陣の中に戻ってしまった。
こっちからやっといてなんだけど、すごく痛そうだ。
「よし、この調子で……」
「ドラ、切断!」
下から声が……いや魔力を感じる。注意を向けると、赤い鱗を持つ巨大なモンスターの口からいくつもの風の刃が放たれていた。
それは凄まじい威力で、私たちを斬りつけようとする……けど、クロガネが翼を羽ばたかせ突風を起こし、刃の軌道をそらす。
下には……ゴルさんの召喚した使い魔、サラマンドラがこちらを睨みつけていた。
『奴か……』
その姿に、クロガネは小さくつぶやく。
文化祭のときは、予期せぬ事態でクロガネとサラマンドラとで戦うことになったもんね。決着はつけられなかったけど。
今こそ、あの時の続きを……ってことだ。
『契約者よ、奴の狙いは我だ……ここは我が引き受けよう』
「クロガネ……」
『契約者は、契約者にできることを!』
そう言い残し、クロガネは私から離れ……サラマンドラに向けて竜魔息を放つ。
サラマンドラもまた、対抗するように強烈な炎を放った。二つの攻撃はぶつかり合い、強力な衝撃を生む。どちらも魔術に匹敵する威力だ、それが通常攻撃扱いなのだから凄まじい。
使い魔同士の戦い……あそこに割り込む人はいないだろう。私は私の、やるべきことを!
「よっしゃ……っておわぁ!?」
気合いを入れたところで、足首になにかが絡みつく。それに引っ張られ、強制的に地面に落とされてしまう。
尻餅をつき、痛みが走る。
おぉっ、お尻が二つに割れる……!
「な、なにが……」
私の足首に絡みついたなにか。それは、白いロープ……いや白い蛇だった。
私に捕まる前に、そいつはとっさに離れた。
「ふふ、相変わらず元気ねエランちゃんは」
「リリアーナ先輩……」
私の前に居たのは、リリアーナ先輩だ。凛とした佇まいは堂々としていて、腰まで伸びた白髪のポニーテールが風に揺れる。
彼女の足下には、使い魔の白蛇……私の足首を捕まえたのはあの子か。
警戒し、目を離さないようにしながら私は立ち上がる。
「あなたの使い魔は脅威だけど、ゴルドーラ様のサラマンドラが抑えてくれる。これで懸念事項は一つ減ったわ」
「なるほど……」
確かに、クロガネを単体で抑えられるのはサラマンドラくらいだろう。
そんで、フリーになった私を……私のことをよく知っているリリアーナ先輩が相手する、ってことか。
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