史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1120話 搦め手に弱い

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 目の前に立つのは、リリアーナ・カロライテッド先輩。そして使い魔の白蛇サーペント

 しっかし、本当にきれいな人だな……白蛇も美しいって感じだし、それだけで一枚の絵みたいだ。
 でも、見惚れている場合じゃないよね。

「てっきり、私のことはゴルさんが相手するものだと思ってたんだけど」

「ゴルドーラ様もそのつもりだったみたいだけど……私が、志願したの。エランちゃんを止める役目は私に任せてほしいと」

 やっぱり、私とゴルさんをぶつける算段だったと。でも、それをリリアーナ先輩が待ったをかけた。
 どうしてだろう。自分で言うのもなんだけど、ゴルさんが私の相手をした方が効率的だと思うけど。

 とはいえ……リリアーナ先輩の活躍は、魔導大会でも見てるんだ。油断はできない。

「これまで、エランちゃんの戦い方を見てきて……いいえ、日々の生活の中であなたと接してきて、わかったことがあるの」

「?」

「あなたは、とてもまっすぐな子。よくも悪くも……ね」

「……っ」

 次の瞬間……ぞくっと、背筋を悪寒が走った。

「今だって、さっさと私に仕掛ければいいのに……私の力を見ることにこだわって、動きが止まってしまっている」

 それだけじゃない、頭が痛い……なんか、ズキズキする。

 私は立っていられなくなって、その場に膝をつく。
 なんだ、これ……急に、こんな変なことになるなんて。寒気と、頭痛と……あと、視界が歪む……

「だから案外、搦め手や不測の事態に弱い。それでも、頭の中で切り替えて、自分の場に持っていける判断力もある。
 けれど……毒はどうかしら」

「ど、く……?」

 毒、毒って……リーメイがヨルにやったみたいなやつか?
 でもあの時は、毒を混ぜた水分身を知らずにヨルが吸収してしまったから、そのせいでヨルの身体に毒が回った。

 今回私は、あの時みたいなことはしていない。というか、この試合が始まってからまだ誰とも接触していない……

「いや、まさか……」

 さっき……私は白いロープ、と思っていた白蛇に足首を捕まった。
 もしかしてその時……足首を噛まれて、そこから毒が体内に入ったのではないか?

 蛇には毒を持つものもいるって聞いたことがあるけど……あり得る。

「くっ、ぅ……」

「安心して、もちろん致死毒なんてものじゃない。むしろ、少し痺れて動けなくなるだけのものよ」

 痺れて動けなく? いや、それにしてはこの体調の変化は、重すぎる気もするんだけど……

「ただ、この毒は相手の持つ魔力濃度によって症状も変化する。魔力濃度が高ければ高いほど、その症状も重くなる」

「魔力……濃度……」

 魔力濃度……つまり、相手の魔力が強ければ強いほど、ってことか。
 そのせいでこうなっているんなら、自分の魔力が強いことを喜ぶべきなのかどうか。

 ……今は間違いなく、喜べる状況じゃないな。

「今のあなたは、ろくに動くことはできない。だから……」

 魔導の杖を構え、リリアーナ先輩はそれを私に向ける。
 次の瞬間、目に見えないなにかが私の身体を縛っていく。

 これは……風を鞭のように変化させたのか。
 なんて高度な魔法だろう……しかも……

「あまり動かない方がいい、無理に破ろうとすれば風で身体が切れるわよ。ま、動けないだろうけど」

 ちゃんと、拘束に抵抗された時の保険までばっちりだ。
 確かに拘束を力づくで破っても、これじゃああちこち避けちゃう。

 あぁくそっ……そうじゃなくても、頭痛いってのに……!

「それに、あなたの魔力が弱っているから……彼にも影響が出ている」

「!」

 その言葉に、自然と視線は空中のクロガネへ。

 傍目からは、あまりわからないかもしれない。でも、間違いない……クロガネが、確実に弱っている。
 それは、相手にしているサラマンドラに押されて……ではない。

 使い魔とは契約で繋がっている。だから、片方の魔力が弱まれば……もう片方の力も弱まってしまう。
 これが、術者と使い魔のデメリット部分でもある。どちらかが弱ればもう片方も弱ってしまうから、そのあたり気をつけて戦わないといけない。

「クロガネ……!」

 動こうにも体調的にも物理的にも動けず、私はただ黙って見ているしかできないのか。
 一応、口さえ動くんだから……魔術を使うことはできる。でも、こんな状況で魔術詠唱をしたところで、それを見逃してもらえるはずもない。

 くそ、こういう時にこそ無詠唱魔術が使えれば威力を発揮するのに!
 こればっかりは、努力だけでどうにかなる問題じゃないもんな。

「……てか、おとなしく拘束しとくだけでいいの? 今のうちに私を袋叩きにしちゃえばいいのに」

 自分で言うのもなんだけどさ。

「……エランちゃん、あなたは不確定要素が多すぎる。また魔法を撃ち込んで、あの状態になられても対処が困難だわ」

「くぅ」

 さすがリリアーナ先輩、抜かりがない。
 彼女が言う"あの状態"とは髪白状態のことだろう。私自身どうやったらあの状態になるのかわからないけど、先輩が疑念してるように現に昨日の試合では魔法食らって髪白状態になったしなぁ。

「いやほら、でも、私が弱ることでクロガネも弱るのはさ、ゴルさんだって本意じゃないんじゃない?」

「その点も、許可はいただいているわ」

 ちっ……クロガネとサラマンドラの一騎打ちに訴えかければもしかしたら、と思ったけど。
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