史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1122話 使い魔との絆

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「いぃやぁあああ!」

 ゴルさんに狙われ、わかりやすくクレアちゃんは狼狽えている。そりゃそうだ、強面の学年一の生徒が自分を襲おうとしているのだから。
 そんな中、クレアちゃんの使い魔であるコウモリがバサバサと飛んできて、ゴルさんの視界を塞ぐ。

 それで、ゴルさんの動きを止めることはできない。でも、少なからず隙ができたのは確かだ。

「小癪な……」

「キェエエエ……!」

「……!?」

 振り払い、先に進もうとするゴルさんの足が止まる。まるで、なにかに驚いたかのように。
 そして、耳を塞いだ。なぜ……?

 耳を塞ぐってことは、大きな声や音が近くで鳴ったってことだろう。けど、私にはなにも聞こえない。
 あちこちでいろんな音が鳴っているから、それに紛れてここまで聞こえないだけなのか? それとも……

「まさか……超音波……!?」

「超音波?」

 私と同じく向こうを見ていたリリアーナ先輩が、驚いたように告げる。
 それは、超音波だと。

 超音波って……聞いたことあるな。確か、高い周波数を持つ音波……とかだっけ。
 人間の耳には聞こえないから、影響はないと思うんだけど……いや、高周波高出力のものは頭痛とかの影響が出るとも聞いたことあるな。

 だとしたら、それで? リリアーナ先輩もよく気づいたな。さすが聡い人だ。

「くっ……」

 さすがのゴルさんも、頭の中への直接攻撃には対処できないようだ。まして不意打ちに近いものは。
 それに、頭の中が気持ち悪いとろくに魔法が使えないことは、私が今体験しているもんね。魔力に集中することができないんだ。

 しかも……

「な、なんだこれ……!」

「ぐっ……!?」

 その近くにい他の三年生たちも、一様に頭を押さえる。次々と、でも確かに。
 どうやら超音波で、ゴルさん以外にも影響が出ているようだ! 範囲エグいな。

 すごいよクレアちゃん! 召喚したのがかわいくないコウモリってことでクレアちゃんはあんまりいい顔してなかったけど、かなりやり手の使い魔じゃないか……

「ぅあっ、頭が……!」

「いっ、てててぇ……」

「!?」

 だけど、信じられないことが起こったのだ。三年生だけでなく、一年生も次々に頭を押さえて動きを止めている。

 ……まさか……一定の距離にいる生徒に超音波の影響を与えているのか、敵味方関係なく!
 術者のクレアちゃんは平気みたいだけど、周囲の生徒はみんな苦しんでいる。

 呆然としていたクレアちゃんだけど、自分の周囲がおかしいことにはっとする。

「ちょ、ちょっと! やめて、だめやめて!」

 さすがに状況に気づいたクレアちゃんは、使い魔に必死にやめるようにと訴える。
 その結果、コウモリは口を閉じ……超音波に苦しめられていたみんなは、どっと息を吐く。

 超音波で影響を与える相手が選択できるなら、かなり強い力なんだけど……まさか、無差別とはね。

「もうー、バカバカ! なにしてんのよ!」

「キィ……!」

 おまけに、クレアちゃんが怒りコウモリもまた睨み返しているように見える。ケンカが始まってしまった。

「相手クラスだけに影響出るようにできないの!? 味方も動けなくなったら意味ないじゃない!」

「キィキィ!」

「術者が未熟なせいですって!? あんただって未熟なんじゃない!」

「キキィイイ!」

 ぅおい、本格的な喧嘩始まっちゃったよ! そんなことやってる場合じゃないよ!

「ふん!」

「キェエエエ!?」

「きゃあああ!?」

 術者と使い魔で喧嘩なんて、それはこの状況において隙以外のなんでもない。
 いち早く正気を取り戻したゴルさんが、回し蹴りの要領でコウモリの胴体を打つ。

 ふっ飛ばされたコウモリはサラマンドラの胴体にぶち当たり、戦闘不能……消えてしまった。
 目の前で使い魔がやられ、クレアちゃんも震えている。

「……使い魔とは絆が大事だ。強力な攻撃だったが……お互いの練度はまだまだなようだな」

「あ、ははは……」

 鋭い眼光が、クレアちゃんを射抜く。誰か、クレアを……そう思っても、周囲にいるクラスメイトは超音波から逃れたばかりで、ろくに動けない。
 ゴルさんはその拳に魔力を纏わせ、振り被る。

 やばい、あの男女の子でも普通に殴るぞ! 結界内だから容赦ないんだ!
 くっそう、まだ毒が効いてる……それに縛られてるから動けないぃ……! クレアちゃん……!

「使い魔との絆を深めること、それがお前のかだ……」

「どーん!」

「いぐっ!?」

 今まさに拳が振り下ろされる瞬間……ゴルさんが吹っ飛ぶ。
 それは、ゴルさんの横っ腹になにかが衝突し、吹っ飛ばしたためだ。

 予想外の攻撃に、ゴルさんは吹っ飛び……それでもなんとか体勢を立て直し、着地した。
 そして、自分を吹っ飛ばした何者かを睨みつける。それは……

「ふ、フィルちゃん?」

「クレアお姉ちゃん、大丈夫?」

 ……小柄な身体をぴょんぴょんと揺らし、それによって白髪も揺れるフィルちゃんの姿だった。
 またもフィルちゃんの予想外の行動。本当に読めない子だ。

 ……なんだけど、今回はいつも以上に読めない。だって……

「えっと……フィルちゃん、よね?」

「? そだよー」

 クレアちゃんが困惑するのも、無理はないだろう。だって今のフィルちゃんは、いつもと違う。

 なぜかわからないけど……頭には黒い犬耳が、腰からは黒い尻尾が生えているのだから。
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