史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1123話 驚かされてばかり

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「その姿……」

 ぴょんぴょん飛び跳ねるフィルちゃんを見てそう呟くのは、今彼女に吹っ飛ばされてしまったゴルさんだ。

 フィルちゃんはいつものように、小さくて髪も白くてきれいでかわいい……のだけど。
 黒い犬耳が頭に生えていて、腰あたりからは黒い尻尾が生えているのだ。それは、試合前にはなかったもの。

 コスプレ……ってわけでもないよな。まさか試合中にそんなおふざけをするような子じゃないし。
 というか、なんかフィルちゃんから妙な気配を感じる…ような気がするんだよな。

 それはまるで、魔物の気配。魔大陸で散々感じてきたのと同じ気配……いや、それよりももっと身近なものだ。
 そう、身近な魔物と言えば……フィルちゃんの使い魔である魔物、もふもふのこと。そのもふもふの気配を、フィルちゃんから感じるような……

「フィルちゃん、どうしたのその身体?」

「え? なあに?」

 クレアちゃんも困惑しているが、なぜかフィルちゃん本人は平然と……いやきょとんとしている、
 自分の身になにが起こっているのか、わかってないのか? 耳に尻尾に、身体の周りには黒い雲みたいなものが纏っている……

 あの黒いの……もしかしてだけど……

「まさかお前……お前も、使い魔の力を?」

「?」

 驚いた様子で、ゴルさんが言う。対するフィルちゃんは首かしげ。

 お前"も"……って、ゴルさんは昨日の試合でサラマンドラの力を使っているのを見せた。サラマンドラの炎を腕に纏い、見事に使いこなしていたのだ。
 フィルちゃんのは、まさかそれと同じ現象だっていうの?

 信じられないけど……それならば、フィルちゃんからもふもふの気配を感じるのも理解できる。
 フィルちゃんは……使い魔の力を、使っている?

「あの子……あんな高等な技術を、いつの間に……」

 リリアーナ先輩がそうつぶやくのを、私は聞いた。どうやら使い魔の力を使うってのは、並大抵のことじゃないらしい。

 サラマンドラの炎を纏ったゴルさん。もふもふの特徴が身体に現れているフィルちゃん。
 使い魔の力を使うってことは、要は使い魔の特性や姿が術者の身体に現れる……ってことなのだろう。

「ただでさえ、魔物と契約した少女の存在には興味があったが……まさか、そこまで使い魔との絆を深めているとはな」

「絆……とかはよくわかんないけど、私ともふもふは仲良しなんだよ!」

 高等な技術に加え、使い魔との絆も必要になるのか。
 それをわかっているのかいないのか……自分でも知らないうちに、それほど仲良くなっていたってことなのだろうか。

 本当……フィルちゃんには、驚かされてばかりだよ。

「お兄さん、クレアお姉ちゃんをいじめてたね! だめだよそんなことしちゃ!」

 ビシッ、とゴルさんを指差し、フィルちゃんが言う。
 その堂々とした姿は、思わず見惚れてしまうくらいだ。

「お、おぉ……ゴルさんにあんな風にものを言うなんて、すごい子だなぁ」

「……それをエランちゃんが言いますか」

「ん?」

「いじめは……だめー!」

 フィルちゃんはその場で地面を蹴り、走り出す。普段よりも脚力がけ強化されているのか、とても速い。
 けれどゴルさんは……ひょいと横にずれる。

「わっ、わわわー!?」

 避けられたことでフィルちゃんは行き先になにもなくなり、急ブレーキをかけたため勢い余って顔から地面に打ち付けてしまう。
 い、痛そうだ……

「先ほどは不意を突かれたが、最初から見えていれば問題ない」

「うぅ……ぅがぉー!」

「それに、動きが視認しやすい。それでは、誰にも攻撃を与えることはできまい」

 フィルちゃんは飛びつくようにパンチを次々繰り出すものの、それらをゴルさんに避けられる。
 元々リーチの差がある上に、フィルちゃんの動きは……読みやすいのだ。

 そのため、相手の動きを読むゴルさんには通用しない。それに……

「速さは上昇したのかもしれんが、昨日の鬼族の娘の方がよほど速く、厄介だったぞ」

 速さで言うなら、サリアちゃんの方が断然上だ。
 昨日の試合で、もっと速くもっと正確に攻撃を打ち込んできたサリアちゃんと比べるからこそ、フィルちゃんの動きは単調に見えるのだ。

「使い魔と、それほどまでに絆を深めていることは驚いたが……」

「わっ……」

 避けている最中、それだけでなく……ゴルさんは、足払いをする。
 すると見事に引っかかってしまったフィルちゃんはバランスを崩す。

 その隙を狙い、ゴルさんは追撃を……

「よっ、いしょ!」

「!」

 けれどフィルちゃんは尻尾で地面を強く叩き、上空に飛び上がる。
 くるくるくる、と回りゴルさんの後ろへと着地。

 そして身体の周りを纏っていた黒い雲が……彼女の右腕に集中していく。

「うりゃあああ!」

「無駄だ、その程度では攻撃は当たらん」

 繰り出される拳……それはゴルさんの魔力防壁にぶつかることはなかった。
 というか、フィルちゃんがやったのはパンチじゃなかった。まるでなにかを投げるような……

 黒い雲が、手のひらから魔力防壁を避けるように、ゴルさんに向かって伸びていた。

「ばぁ!」

 そして、驚くことにフィルちゃんの口から魔力弾が放たれる。それは、もしかしてもふもふの攻撃手段だろうか。

 本来なら魔力防壁に弾かれるそれは……黒い雲に沿うように軌道を変え、ゴルさん本体へと狙いを定めていた。

「なに……!?」

 まさか軌道を変えてくるとは思ってなかったのだろう。とっさにゴルさんも魔力弾を撃ち返し相殺を狙うけど……

 間近での衝突になり、それにゴルさんは巻き込まれてしまった。
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