史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1124話 吐きそう

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 ドォッ……と、魔力弾がゴルさんに直撃した。
 魔力防壁を避けられ、もろに食らってしまいさすがのゴルさんも面食らったようだ。

「くっ……」

 ただ、当然それだけではゴルさんを倒すには至らない。直撃しながらも直前に後ろに下がり、少なからずダメージを減らして体勢を立て直そうとしている。
 それを見たフィルちゃんは、さらに追撃。再び手を伸ばせば、先ほどの黒い雲も伸びていく。

 それは真っ直ぐに、時折カーブを描いてゴルさんを追いかけていき……先ほどと同じように、魔力弾を放つ。

「!」

 すると、魔力弾は黒い雲に沿うように動く。雲がレールであるかのように、軌道を整えている。
 あの雲、攻撃の軌道を変える効果があるのか?

 雲はゴルさんに追いつき、それに乗った魔力弾が軌道めちゃくちゃに動くもんだからゴルさんも狙いをつけられないみたいだ。
 だけど……

「むん!」

 軌道が読めなくても、最終的には自分を狙ってくる。だから、途中の道筋を読む必要はない……着地点に注視していれば、問題なく対処できる。

 ゴルさんは、魔力強化した拳で魔力弾を破壊してしまう。
 そうだ、奇天烈な攻撃とは言え、威力自体はゴルさんにも簡単に捌けるものなんだ。

 しかし……

「えーい!」

「フィルちゃん!?」

 フィルちゃんが雲の上を走って……いや滑っている!? あんなことできんの!?
 その速度は凄まじく、あっという間にゴルさんとの距離を縮めていく。

 黒い雲がフィルちゃんの右腕に纏わりつき、その場から飛び出すとゴルさんへとパンチを放つ。
 対抗するゴルさんもまた、右拳を放って……

「……っ、ぐぉ……!」

 ……ゴルさんの拳が、弾かれる。

 体格もまったく違うというのに、フィルちゃんの拳が打ち勝った?
 その勢いのまま、くるくると回転……今度は回し蹴りを放つ。脚には黒い雲を纏わせて。

 まともに受ければまずいと思ったのだろう。ゴルさんは魔力防壁を展開、それを受け止める。

「……なかなかの力だ。さすが、使い魔との絆が深まっているだけある」

 感心したようにゴルさんはつぶやいた。使い魔の力を使うってのは、ああも力が増すものなのか。
 まさかあのフィルちゃんが、ゴルさんと戦っているなんて……すごい。

 私は……こんなところで、いつまでも寝ていられない!

「ぐっ……うぅ……」

「! エランちゃん、無理をしないほうがいいわ。そんなことをしては、毒で苦しむ時間が長引くだけよ」

 まだ頭は痛むし、寒気もする。けれど、いつまでもじっとしてなんていられない。
 クレアちゃんやフィルちゃんがゴルさんの相手をしてくれているとはいえ、劣勢だ。それに、他のクラスメイトも。

 ……向こうでは、特にダルマスが頑張ってるな。魔導剣士のダルマスが魔導剣を手に相手クラスに突っ込み、その後ろからクラスのみんなが補助をする。
 そのおかげで、上級生相手にも渡り合えているのか。

 ……なんか、ダルマスの身体の周りが若干光っているような気がする。いや、比喩表現とかじゃなくて。気のせいかな。

「うっ……はぁ、はぁ……」

「そもそも、風の鞭で拘束してる。動けば、身体が傷ついて……」

「関係、ない!」

 確かに、動くと肌が切れる感覚がある。痛みも……あるのかな。毒による頭の痛みの影響で、身体の痛みをあまり感じないのは良いと言うのか悪いと言うのか。

「……まさか、立ち上がるなんて」

 なんとか、足に力を入れて立ち上がる。息も荒いし、額からは汗が流れる。集中できない。
 でも……あのままなにもできやしないのは、嫌だ。

 みんなの力に、少しでもなれるのなら……!

「それに、私以外にも毒を散らされたら……困りますもんね」

「……!」

 私の視線に気づいたのか、白蛇は全身を震わせた。それとリリアーナ先輩が表情を変えたのは、同時だ。

「ハク、逃げて! そして、一年生クラスを翻弄して……」

「させない!」

 逃げようと走り出す白蛇を、私は走って追いかける。全身が倦怠感かつ拘束で走りにくいし若干痛むけど、そんなものもはやどうでもよかった。
 うまく集中できなくても……魔法の基礎、身体強化くらいなら!

 私は全身を魔力強化し、少しでも痛みによる負担を軽くする。そしてスピードも上げ、逃げている白蛇に追いつく。
 腕に力を入れ、ぶしっ……と嫌な音が届くけど、気にせずぶちっと拘束をぶち破る。

 そして手を伸ばし、必死に逃げようとする白蛇を捕まえる。

「な、なんて子……」

「このまま握りつぶしてやろうか……」

「!?」

 リリアーナ先輩が驚くのも無理はないだろう。あんな拘束されて、それ以前に毒で動けなかったのに。
 腕の感覚がないのは、毒のせいか……それとも無理やり拘束を引きちぎった痛みのせいかわからないけど。

 白蛇の怯えた表情に、私は握りしめた手に少し力を入れて……

「! ぅ、あ!?」

 身体が宙に浮く、浮遊感に襲われた。
 それは、リリアーナ先輩の魔法だ。昨日ナタリアちゃんがやっていた、重力操作で相手の身体を浮かせる……あれと似たようなことをやっている。

「やっぱり、あなたは甘く見てはいけないわね。ハクを離しなさい!」

「おわわわわわ!」

 そのまま、視界が上に下に……ぐるぐると回る。浮かされたまま、身体を回転させられているのだ。

 で、でもこれ………だ、だめだって! き、気持ち悪くなってるから……! は、吐いちゃうから……!
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