史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1125話 頼りになる友達

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 あぶぶぶふっ……自分の意思じゃなく空中に飛ばされて、そのままくるくる回されるの。めちゃくちゃ気持ち悪い!
 あまりの衝撃に、私は手に握っていた白蛇を解放してしまう。

 あぁっ、しかも毒で気持ち悪くなってるところだから余計になんかこう……うぅううっ……

「それ!」

「!」

 ……だけど当然、浮遊感がなくなる。
 いきなり身体が軽くなり、私の身体は重力に逆らうことはできず地面に落下。お尻を打ち付けてしまう。

 うぅっ、痛い……お尻が二つに割れちゃう……

「え、エランさん! 大丈夫ですか!」

「うぅ……キリアちゃぁん……」

 私の隣に立つ女の子。それは、キリアちゃんの後ろ姿だった。
 茶髪のショートヘアーが風に揺れ、普段はくりっとしたおめめがかわいいが今はキリッと鋭くなっている。

 自分は平民だからと普段から目立つことはしないキリアちゃんだけど、今は頼もしく見える。

「わ、私も一緒に戦います!」

 今のは、キリアちゃんがリリアーナ先輩に攻撃を仕掛け、先輩はそれに気を取られたから魔法が切れたのか。
 おかげで解放されたけど……うぇっ、毒で気持ち悪いのか頭シェイクされたから気持ち悪いのかわからないや……

 た、立ち上がろうにも上か下かよくわかんない……

「エランさんは、休んでてください!」

「でも……」

 私が少しでも回復する時間を稼ぐために、キリアちゃんは心強いセリフを言ってくれる。でも、相手はリリアーナ先輩。
 それに、あの白蛇も……隙を見せたら噛まれて、毒状態にされてしまう。

 だけど……キリアちゃんは緊張した様子だけど、落ち着いている。

「はぁ!」

 リリアーナ先輩は、魔導の杖を振るう……放たれるのは、風の刃だ。複数の見えない刃が、キリアちゃんを狙う。
 それに対し、キリアちゃんは……軽く息を整え、防御の姿勢も見せずに立っている。

 いや、ただ立っているわけじゃない。

「……」

 一歩、二歩、三歩と……足を進めていくのだ。あれでは、自ら見えない刃に裂かれに行くようなものだ。

「キリアちゃ……」

 ……けれどキリアちゃんは、右へ左へと身体をすわらしていく。歩みは止めないまま。
 最小限の動きで、確かに風の刃を避けているのだ。

 びゅうっ、と吹く風が、周囲を揺らす。

「! まるで、見えてるみたいに……」

 さすがのリリアーナ先輩も驚いている。
 見えているみたい……そうか、キリアちゃんには見えているんだ。

 キリアちゃんは、普通の人間だ。エルフでもなれけば、エルフの眼を持っているわけでもない。
 だけど……彼女は、魔力の流れを感じ取れる体質を持っている。

 だから、風とは言え魔法により発生した刃に宿っている魔力を感じ取り、見えなくても避けることができているのだ。

「よっ、ほっ」

 そしてキリアちゃんは、攻撃の隙間を見つけて走り出す。
 声を漏らしながらもちゃんと攻撃を避け、直撃を免れる。それでもかする程度はするけど……

 気にせず、突っ込んだ。

「シャーッ」

 キリアちゃんの死角から、白蛇が襲い来る。
 あの牙に噛まれてしまったら、毒を流し込まれる。そんなことになったら、動けなくなる。

 ただ……私が声を上げるよりも先に、キリアちゃんはジャンプ。そのまま自分の足元に風の魔法を使うと、上空へと飛ぶ。
 そして魔導の杖を構え、それに魔力を纏わせる。

「やぁー!」

「……!」

 リリアーナ先輩も同様に、魔力を纏わせた杖で迎え撃つ。
 二人の剣撃は重なり合い、まるで剣同士がぶつかっているような感覚を覚える。

 上空からの落下を乗せた一撃、けれどそれをリリアーナ先輩に弾かれてしまう。
 キリアちゃんはそのまま地面に落下……することはなく、魔法で風を操りその上に乗った。

 浮遊魔法とはまた違った、空中歩行みたいなものだ。ただしこちらは、まるで滑っているみたい。

「やっ、はっ、たぁ!」

 空中で自由が利くキリアちゃんは、風の足場でリリアーナ先輩の周囲を移動する。
 そして隙を見つけては、背後から死角から正面から杖を振るうのだ。

 それらをリリアーナ先輩は裁いていくけど……キリアちゃんは的確に急所を狙っているので、先輩はやりにくそうだ。
 キリアちゃんてば、どこであんな芸当を覚えたんだろう……

「……もしかしてあの時かな」

 以前、私がダルマスの訓練に付き合っていた頃。二人だけの訓練は、キリアちゃんにバレてしまったことで三人のものになった。
 とはいえ、キリアちゃんはほとんど見てるだけだったけど。

 あの時、私とダルマスの訓練を見ていて……そして、動きを覚えたのだろうか。だとしたら、すごいことだ。

「魔力の流れを読む、体質……私にはまだ、わからないことが多いな」

 こんなに身近にいる子のことさえ、事細かにはわからない。彼女の体質が、あの動きを生み出しているのかもしれない。

 やっぱり頼りになるじゃん、私の友達。

「はっ、やっ、とぁ!」

「いい動きです、しかし……」

 打ち付けられる杖を、弾くようにかわしていくリリアーナ先輩。だけど、その動きが変わる。
 弾くものから、受け流すものへと。急に動きが変わったものだから、キリアちゃんの動きもまた乱れる。

「……っ」

「動きは良くても、使い方がなっていない」

 バランスを崩したキリアちゃんの背後に素早く回ったリリアーナ先輩が、魔力強化した手刀をキリアちゃんのうなじへと打ちつける。

「ぁ……っ」

 すごい動きの中にある、わずかな隙……それはまるで、以前対人経験値がないと言われた私を見ているようだった。
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