史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1129話 私の悪口言ってないか?

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 どうやら、幻影の魔法でダルマスのことをゴルさんだと誤認させられていたみたいだ。
 魔導剣と杖が同じに見えていたりと、人物だけでなく持っているものまでそう見えてしまうなんて。

 うぅ、私としたことが……なんてこった。

「ご、ごめんダルマス」

「……状況が状況だ、まあ仕方ないだろう」

 素直に謝ると、ダルマスは許してくれたみたいだ。ダルマスったらやっさしー。

 それにしても……あの土煙でゴルさんの姿が見えなくなったのは、こういう効果も狙っていたのか。
 ゴルさんと対峙して、私が見逃さないというタイミングを見計らってこその魔法だった。

 三年生の誰かだろうけど、いい状況判断だと思う。

「だが、気をつけろよ。またあんなことをされては敵わないからな」

「あはは……気をつけるよ」

「まったくだ、あのような手間を取らせないでくれたまエ」

 ……幻影が解けたのは筋肉男のおかげなんだけど、素直にあんたのおかげと言いたくない自分がいる。

 とはいえ、こんな魔法があるなんて。ダルマスの姿を、ゴルさんのものへと……そのまぼろしと置き換える魔法。
 それは恐ろしい力だ。実害はないけど、それ以上の被害を生む力。

 私以外にも、魔法に当てられた子がいるかもしれない。注意しなければ。

「でも……姿を変えて見せるだけで、魔力の波長とかそこらへんは変わらないんだ」

 そう、あくまで姿だけだ。落ち着いて集中すれば、魔力を頼りに正体を暴くことができる。
 今だって……そう、落ち着いて、落ち着いて……

「! そこ!」

 私はある一点に向けて、氷の槍を放つ。
 するとそれは、一定の距離進んだところで壊されてしまう。その先に、ゴルさんがいたからだ。

 やっぱり……これは間違いなく、ゴルさんの魔力!

「ふむ。どうせなら共倒れにでもなってくれれば、一番よかったのだがな。まさか大した損害も与えられないとは」

「残念だったね。それと……もうあんなことはさせないから!」

「ほう?」

 そう、幻影魔法を使った三年生はすでに誰か目星はついている。魔力を探れば、どの魔法を誰が出したのかわかる。
 だから、魔力の持ち主を見つけて……私は今、分身魔法でそいつを捕まえに行っているところだ。

 つまり今ここにいる私は、力が半減している。なので……

「ちょっとだけ頼んでいいかな、ダルマス」

「まったく、仕方ない」

 私の目の前に、ダルマスの背中があった。まるで私を守るみたいに、そこに立っている。

 分身を全部ゴルさんにふつけるならともかく、分身を別の用途に使っておいて半分の力でゴルさんに勝てると思うほど、私は自惚れてない。
 だから、事が終わるまでダルマスにはゴルさんの足止めをお願いしたい。

 足止めとは言っても、相手はゴルドーラ・ラニ・ベルザ。簡単にいかないことはわかっている。
 それでも……ダルマスなら、きっと……!

「先ほどは、よくも俺をあなたの姿に誤認させましたね。おかげでえらい目に遭いましたよ」

「俺が言えた言葉ではないが、アレの相手をするとは災難だったな」

「まったくです」

 ……おや? なんか私の悪口言ってないか? 気のせいかあーん?

 剣を構えるダルマスは、出し惜しみなしと言わんばかりに自らの魔力を注ぎ込み……その剣を『魔剣』へと昇華させる。
 対するゴルさんは、特になにをするわけでもない。その場に突っ立っている。

 でも……わかる。ただ立っているだけに見えても、その気は充分に高められている。
 決して、ダルマスを侮っているわけではない。むしろ……

 ……っと、私も自分の役目を果たすことに集中しないと。いくら気になる対戦カードだからって、じっと見とれているわけにはいかない。

「はっ!」

 そう考えている間も、ダルマスはその場で一気にスタートを切る。足には魔力強化をして、ブーストをかけている。
 ……『魔剣』状態を維持しながら、身体にも魔力強化を纏わせる。もう完全にものにしているな。

 私が知らないところで、努力に努力を重ねてきたんだろう。

「あ、いた」

 どうやら、分身の方は幻影魔法をかけた人物を見つけたようだ。
 二人の視界が共有されるのは慣れるまでは気持ち悪いけど、慣れてしまえばこんなに便利なものはない。

 向こうは三年生だ。半分の力の私じゃ倒せるかわからない……だから向こうがまだ気づいていないうちに、魔術で一気に仕留める!

「らぁ!」

 その間に、ダルマスは剣を振るい……それをゴルさんは避ける。
 ただ、その動きを予想していたかのように、ダルマスは回し蹴りを放った。ゴルさんは手のひらで受け止める。

 僅かに動きが止まる……それが好機だと、ダルマスは自分から後ろに飛ぶ。ゴルさんの手のひらを足台にした形だ。
 そして後ろに飛びつつ、剣を振るう。炎を纏った斬撃だ。

「ほぉ、その若さでなかなかの練度だ」

 そう言って笑うゴルさんは、まるでハエを払うように腕を振るった。
 すると、襲いかかっていた炎が消えてしまったではないか。

 その動きに、ダルマスは着地しつつ驚き……けれど、驚きに呑まれることなく構える。剣を鞘に収め……しかし、それが次の行動を示しているとわかる。

「……居火おくりび!」

 昨日の試合で見せた、居合い……それをダルマスは、足元に炎のブーストを追加することで超速度を生み出す。
 先ほどの魔力強化とは比べ物にならない、すり足どころか……氷の上を滑っているような動き。

 その構えのまま、一気にゴルさんへと迫っていく。
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