史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1128話 寝ぼけているのか、バカ

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 お互いの攻撃が衝突し、その場で爆発が起こる。
 立ち込める土煙……ゴルさんの姿は一時的に見えなくなる。けれど、それはゴルさんも同じはずだ。

 ただ……今私は飛び上がっている。浮遊魔法で空中に着地。
 相手の姿は見えなくても、先手を取るなら空中からの方が有利のはず……

「うぉおおお!」

「!」

 だけど、ゴルさんのいるのとはまったく別方向から魔力弾が飛んでくる。
 予想外の攻撃に、私はとっさに魔力防壁を展開…防御ではなく、弾いて回避することに意識を向ける。

「くそっ、惜しい!」

 そう声を漏らすのは、三年生の一人。私に攻撃をかわされたことが残念そうだ。

 あちゃあ……そりゃ空中にいたら、誰もから見られちゃいうもんなぁ。狙ってくださいって言ってるようなもんだ。
 ……まあ筋肉男は放たれる攻撃をあれよこれよと避けているけど。

「っと、よそ見してる場合じゃない」

 私は右手に魔力を集中させつつ、左手で風魔法を展開。土煙を吹き飛ばす。
 ゴルさんの姿が見えた瞬間に、攻撃をおみまいしてやろう。

 ……そう思っていたのに、土煙が晴れた先には誰もいなかった。

「あれ、どこに……」

 私は気を落ち着かせる。全方向に意識を集中させ、たとえ背後からでも襲われないため気を張る。
 空中だからって、安心できるわけじゃないからね。

 さて、ゴルさんはどこに……いた!

「そこぉ!」

 ゴルさんの姿を見つけ、私は彼に向かって溜めていた魔力弾を放つ。
 それに気付いた彼は、魔力強化したであろう杖で魔力弾を弾き飛ばす。

 彼はその後、こちらを見て驚いた表情を浮かべている。

「くっ、惜しいっ」

「おいエラン、お前なにをやっている!」

 すると彼は、なぜか私に向かって異を唱えるような発言をしたのだ。
 なにをやっているって……おかしなことを言うなぁ。

 私は浮遊魔法で空中を飛び回りながら、彼に迫り……魔力強化した拳を彼にぶつける。

「うりゃああああ!!」

「うぉっ?」

 驚いた様子で、彼は杖で弾く。
 けれど私は構わずに両手を魔力で固め、拳を放つ。この距離なら、接近戦に持ち込んだ方がいい!

 一発、二発、三発……そのどれもを、彼は見事な剣さばきで弾いていく。

「くっ、この……寝ぼけているのか、バカ!」

「誰がバカだ、失礼な!」

 彼の剣さばきはたいしたものだけど、剣は一つに対して私の拳は二つ。
 こうして連続して攻撃を仕掛けていれば、やがて差は埋まっていく。

 それにしても、さっきからなにか戸惑っている様子なんだよな。剣さばきの様子もらしくないし。
 まるで……

「くそっ……おぉおおお!!」

 すると彼は業を煮やしたかのように、魔力を高め……杖に炎を纏わせて、振るう。
 先ほどとは攻撃パターンが変わり、私も対応を変えざるをえない。激しい、すさまじい炎だ。

 予想外のところからの攻撃に、私は炎に呑み込まれてしまう。

「ぐぅ……この戦い方、まるでダルマスみたい……」

「なにを言ってる、俺はダルマスだ!」

「……はぁ?」

 炎に気を取られ、追撃を許してはいけない……そう思いながらつい疑問を口にすると、それに対して驚くべき言葉が返ってくる。

 私は炎を振り払い、目の前の彼を見る。
 ……どう見たって、ゴルさんの顔で、ゴルさんの姿だ。

 でも、よく集中して見れば……それはゴルさんの魔力とは違う。戦い方だって……

「なに言って……もしかして、ダルマスに化けてる?」

「さっきからおかしいぞお前」

 ……なんだろう、本当に困惑したような様子だ。それとも、これも演技?

 よくわからなくなってきた。なにもかもが罠に見える。
 すると、上空から笑い声が響いた。

「あっはははは、なにをやっているのかねキミたちハ!」

「やかましい、さっきから戦いにも参加しているお前に言われたくない!」

「やれやレ……いいのかいそんなことを言っテ。せっかくサービスしてあげようと思ったのニ」

「あぁ?」

 その喋り方……筋肉男とのやり取りは、まるでダルマス。
 まるでっていうか、ダルマスそのものだけど……

 すると、またも上空から「はァ……」とどでかいため息がこぼれる。

「仕方ない、なにもしていないと文句を言われるのは癪なのでネ。エレウテリア」

「ブルィイイ」

 筋肉男がパチン、と指を鳴らす。
 すると、上空からキラキラとした光の粒子が降り注ぐ。それはおそらく、使い魔のペガサスの力。

 正体不明のそれは、私とダルマス……というか私に集中的に降り注いでいた。

「ちょっ、なにするの!」

 腕を振るい払おうとしても、それは無理だった。あいつ、仲間の手伝いをしないどころか攻撃まで!?

 ……ただ、身体に触れても痛くはない。まるで、冷たくない雨に打たれたみたいに……
 いや、雨に打たれたという感覚すらない。

「っ、ちょっと、なにするのよ!」

 ただ、これがなんなのかわからない。だから私は、筋肉男に文句を言う。

「ふぅム……ワタシよりも、彼を見てみたらどうかネ?」

「あぁ?」

 筋肉男が指さす先に、私は自然と首を動かした。
 その先は、さっきまでゴルさんが居た場所……

「……あれ、ダルマス?」

「だからさっきからそう言っている」

 ……そこには、苛立ちの表情を浮かべるダルマスが立っていた。
 どういうことだ? だって、さっきまでそこに……

「キミは幻影魔法をかけられ、対象の姿を誤認させられていタ。それだけのことサ」

 げ、幻影……じゃあ私は、ダルマスをゴルさんだと思い込んで……!?
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