史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1127話 気持ちは察する

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 ゴルさんとの視線が交じっていく。お互い、向こうではクロガネとサラマンドラが戦っている。
 その戦いには誰も手を出すことはできず、使い魔だけの大怪獣バトルが繰り広げられている。

 クロガネの力は、私の体調にも左右される。さっき派手に動いたおかげで、なんか気持ち悪さが増したような気がするけど……

「そんなこと、言ってられないよね」

 万全でないのは、お互い様だ。ゴルさんだって、フィルちゃんとの戦いで少なからず消耗しているはずだ。
 みんなだって頑張っている。私だけ、音を上げるわけにはいかないよね。

 それにしても……

「あんな小さな子にも容赦ないんだ」

 ぐてーっと倒れていたフィルちゃんに向かって、ゴルさんは容赦なく魔力弾を撃ち込みやがった。
 元々女の子にも容赦ない人だってのはわかってたけど、あんな小さな子にまで。

「結界内でのダメージは結界外に出てしまえば影響はなくなる。あの程度の攻撃ならば問題ないだろう」

「そういう問題……?」

 まあ、言わんとすることはわかるけどね。私だって以前は、結界の中だから遠慮なく思いっきりダルマスの顔ぶん殴ったこともあるし。

「今しがたリリアーナにぶちかましたお前に言われたくはない」

「…………見てたんだ」

 痛いところを突かれ、私は目をそらした。
 確かに、リリアーナ先輩のこと踵落としちゃったからな……結界の中だから大丈夫だろうと思って思い切りやっちまった。

「こ、これは試合なんだからそんなことはいいんだよ!」

「凄まじい言い方だな」

 その瞬間……ゴルさんから溢れる魔力が私を絡め取る。私も負けじと、魔力で対抗する。
 なんか、こうして魔力を放出していたら毒も飛んでいっているような気がしないでもない。気のせいかもしれない。

 まあ、どっちでもいいか……どうせ、やらなきゃいけないんだ!

「とりゃあ!」

 私はその場で踏み込み、飛び出すようにゴルさんへ向けて突っ込んでいく。迎え撃つゴルさんもまた、その場で構えて……

「ふはははははハ」

「ぶへぁ!?」

 ……目の前を通り過ぎた白い翼に、その風圧に足を取られて勢いよくすっ転んでしまう。
 顔面を打ち付け、痛みに悶絶する。

 うぅ、いったいなにが……

「んん、おやミス・フィールド……地面なんかに寝そべってどうしたんだイ」

「お前かぁ!」

 顔を上げると、そこには白い馬に乗った筋肉男の姿。
 乗っているのはペガサス……とても幻想的な生き物なんだけど、乗っている人物がやかましすぎて台無しだ。

 こいつ、さっきから空を飛び回っていたのか……もうちっと手伝えよ!

「あんたねぇ……邪魔するならせめて邪魔にならないところでやってよ!」

「ふム……なにを言っているのかよくわからないが」

 こいつ、真顔で……!

 ほら、ゴルさんも私を迎え撃とうとしていたところを出鼻くじかれてるみたいになっちゃってるじゃん!
 私のそんな気持ちはつゆ知らず、筋肉男は手鏡を取り出し自分の紫色のオールバックを撫でていた。

「ブラドワール・アレクシャンか……なるほど、変わり者だとは聞いていたが」

「ふっ、人と同じなどつまらないと思わないかイ?」

 すげーなこいつ、ゴルさんを前にしても普段通りの堂々とした態度を崩さない。まあ私が言えたものでもないけど。

 ゴルさんは静かに手を向け、筋肉男に向かって魔力弾を放つ。
 すると、ペガサスがヒヒィイイン……と鳴く。その瞬間、魔力弾が消えてしまった。

 続けて作り出す炎の槍を複数放つが、それもまたペガサスに到達する前に消えてしまう。

「ほぉ……魔法が通じないか」

「ワタシのエレウテリアには一切の魔導は通じることはない」

 伝説の生き物、ペガサス。不死鳥フェニックスやカーバンクルも同じく伝説と分類される生き物、なので生態の多くは謎に包まれている。
 普通のモンスターと違い、調べることが困難だから。こうして直接目にしなければ、わからないのだ。

 ペガサスには、魔法……いや魔導が通じないのか?

「そうか、ならば……」

「いやいや、ワタシは別に参戦するつもりなどなイ。そのまま二人で戦い合っていればいいサ」

 筋肉男はそのまま、ペガサスに乗り上空へと飛んでしまう。
 ペガサスに魔導が通じない以上、空を飛んでいる相手を撃ち落とすのは困難だ。それがわかっているから、ゴルさんもため息を漏らす。

 それから、私に視線を戻した。

「アレクシャン家には変わり者が多い……とは聞いていたが。まさか、あれほどとはな」

「私たちの苦労わかってくれるー?」

「気持ちは察する」

 少し同情してくれているように見える。なんとも複雑な気分だ。

 ただ、それも一瞬。先ほどのピリついた魔力が溢れ出す。
 私の動きを見計らっているのか。ならば今度こそ、先制攻撃を仕掛けて……と考えていると、ゴルさんは鋭い視線を向け、私に杖を向けた。

 そして……その先端が光り、まるで光線のように魔力が放たれたのだ。

「っ!」

 私はとっさに魔力防壁を展開。光線を受け止めるけど、一点集中した攻撃は防壁を容易く貫いていく。
 それを見て、私は自分に直撃してしまう前に飛び上がって避ける。

 視線はゴルさんから外さない。ゴルさんもまた、私を見たままだ。
 だから……二人が相手に向かって魔力弾を放ったのは、同時だった。
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