史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,154 / 1,198
第十五章 最高の魔導士編

1141話 いざ我が家へ

しおりを挟む

 他学年試合という一大イベントが終わり、学園は数日いつも通りの光景に戻った。けど、それからしばらく……長期の休みに入った。
 学園の生徒は、ほとんどがみんな寮暮らし。だからこの休みの間に、実家に帰る人は多い。

 ま、同じ国にいる子や国の外から来た子といろいろいる。それに、実家に帰るだけじゃなく……旅行に、なんて考える子もいたり。

「それではわたくし、実家に帰らせていただきますわ」

「夫婦喧嘩の末の奥さんみたいなこと言うなぁ」

 そして、ルームメイトであるノマちゃんもまた実家であるエーテン家に戻るみたいだ。荷物を纏め、部屋を出る。
 ちなみに家に遊びに来ないか、と誘われたけど……せっかくの長い休みだ。私はやりたいことがあるからと、渋々断った。

 ……私のやりたいこと。それはズバリ……

「フィルちゃんの親探し!」

「おー?」

 腕を上げ、指を突き上げ、私は高らかに宣言する。

 両親どころか関係者すら不明のフィルちゃん。本人も記憶喪失で、なぜか私をママと呼ぶ。
 そんな彼女の身内を探すのは、学園の先生たちに任せていた。先生たちは、憲兵さんにも頼んで捜索していたようだけど……

「結果は空振り、なんですよね」

「そうなんだよねー」

 いくら国が広いとは言っても、まったく手がかりがないなんて。そんなこと、あるのだろうか。まああるんだけど。

 私はフィルちゃん、そしてルリーちゃんと共に外を歩きながら、うんうんと考えていた。

「ルリーお姉ちゃん、一緒!」

「はい。私は帰るところはないですから……」

 あははと笑いながら言うルリーちゃんだけど、その言葉はとても重い。
 ダークエルフの……というかルリーちゃんが暮らしていた場所はもうなくなっちゃったから。帰る場所はないんだよな。

 私も、師匠がいなくなってしまったしもう帰る場所は……

「いや、あるかもな……」

 考えてみれば、師匠がいなくなったからって師匠と一緒に暮らしていたあの家までなくなっているとは限らない。
 今まで思いつきもしなかったけど、あの場所に戻ったらまだ家残ってるんじゃないかな。

「あのエランさん、どうしました?」

 黙り込んでしまった私を、ルリーちゃんが心配そうに聞いた。

「ううん、なんでもないよ」

 今はフィルちゃんのことを考えなきゃだ。なので私のことは後回しでいいのだ。
 するとフィルちゃんは、私の前に回り込みじっと見つめてきた。

「私、ママの家に行きたい!」

「……」

 とんでもないことを言った……いや、とんでもないってほどじゃないかもしれないんだけどさ。
 でも、びっくりした。まるで、私の心を読んだみたいなことを言ったのだから。私が師匠と暮らした家のことを思い浮かべているときに、こんなことを。

 私が唖然としていると、隣のルリーちゃんがずずずっと詰め寄ってくる。

「エランさんのお家!? なにそれ行ってみたいです!」

 目を輝かせて、めちゃくちゃ鼻息荒くなっている。
 ちょっ、怖いよ!

「いやでも……ほら、フィルちゃんの家族探さないと」

「今日までいろんな人がいっぱい探してくれたんでしょ? それで見つからないのに、今さらママが探したところでたいした成果はないと思うよ」

「……」

 すごいこと言うなぁこの子。いや、ホントに。正論なんだけどなんかあれだな……

 とはいえ、フィルちゃんの言う通りでもあるよな。これまで多くの人たちが探してくれてて見つからないのに、今さら私たち三人で新たな成果を見つけられるかと言うと……ね。
 それをわかってるあたり、賢い子なんだけど。

 自分のことよりも、私のことが気になるって感じか。

「……わかった。じゃ行ってみよっか」

「やったー」

「やたー」

 フィルちゃんとルリーちゃんはそれぞれ手を上げ万歳、喜びを表現していた。
 私の家ったって、もうなにも残ってないと思うけど。家だけでも残ってたら充分だ。

 というわけで、私たちの目的地は変更。私が師匠と暮らしていた家へ。

「ママの家~、ママの家~♪」

 私と手を繋ぎ、嬉しそうなフィルちゃん。反対側はルリーちゃんと手を繋いでいる。
 声は明るく、聞いているだけで幸せになれる声だ。

「こ、こうしてると、なんだか……夫婦みたいですね。ぽっ」

「え? まあ、そうだね?」

 それにしてもフィルちゃん、なんで私の家になんて……あ、そういえば。
 以前フィルちゃんに、師匠と暮らしていた頃の話をしたことがあったっけ。もしかして、そのことを思い出して、家に行ってみたいと?

 私たちは国の外に出るため門の前に行き、そこに立つ門番さんに話を通す。

「あれ、キミ……エランちゃんじゃないか」

「あ、門番のおじさん」

 そこにいたのは、私が初めてこの国に来たときにも門番をしていた門番のおじさんだ。
 他にも、学園で"魔死事件"が起こった時に調査に来たりと、ちょくちょく会うことがある。

 私はおじさんに、国の外に出たい旨を伝える。
 国に入るにも外に出るにも、門番さんに通してもらわないといけない。そして、その際必要になるのが通行証。国に来た時はその存在を知らず、少し慌てたよ。

「ん。じゃ、国外への通行を許可します。けれど、気をつけるんだよ。外には魔物や魔獣がいるかもしれないから」

「はぁい」

 難なく許可が降り、私たちは門をくぐる。
 魔物はともかく魔獣までいるのに軽くないか……とは思うけど、それだけ信頼してくれてるってことなのかな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...