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第十五章 最高の魔導士編
1149話 共に旅を
しおりを挟むボォオオオ……
「さ、焼けたぞ」
「あ、どうも」
丸焼きにされたモンスター……その肉の一部を切り、アスィーは私にそれを渡してくれる。
私はそれを受け取り、すんすんとにおいを嗅ぐ。ふむ、なかなか香ばしいにおいだ。
その辺の木に吊り下げ、焚き火のように火で炙り……肉をナイフで切っていく。
「ほら、お前たちも」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとー!」
そしてルリーちゃんとフィルちゃんにも、それぞれお肉を渡す。
フィルちゃんは実においしそうにかぶりついていく。がつがつがつ……ともう夢中なのだ。
私も、ぱくりとかぶりつく。あ、おいしい。
「ルリーちゃん、大丈夫?」
ふと、ルリーちゃんがモンスターの肉をじーっと見ていることに気づいた。
私の問いかけにルリーちゃんははっとして、首を振る。
「その、魔物になりかけというので……大丈夫なのかなと」
「問題ない。むしろモンスターから魔物になりかけの奴が、一番うまい」
「そうなの!?」
衝撃の事実。師匠だってそんな話はしたことなかったのに。
「腐りかけがうまい、と言うだろ」
「知らないけども」
ていうか、魔物になりかけって腐りかけてるってことなんだ……
とりあえず、アスィーはこれまで魔物になりかけのモンスターを主な食料としていたらしい。ある程度の魔力操作はできるけど、ここまで進んでしまったらどうしようもない。
なので、食料として消費するのだと。
「こうしてモンスターを直接食べるのも、久しぶりだなぁ」
学園じゃ、あらかじめ調理された料理が出てきたもんな。自分でモンスターを仕留めて調理して……なんてのは、もうずいぶんやっていない。
これはこれで、おいしいんだよなぁ。
それにしても……
「アスィーはさ、いつから師匠と一緒にいたの?」
私と師匠の様子を陰ながら見てくれていたってことは、アスィーはそれまで師匠と一緒に行動していたってことだろうか。
私は旅をしていた頃の師匠はあまり知らないから、もし行動を共にしていたなら話を聞きたい。
するとアスィーは、肉を噛みちぎりもしゃもしゃと食べながら……こくりとうなずいた。
「……ごくっ。あぁ、いつからかはもう覚えてないが……長い間、先生とは共に旅をしていた。というより、俺が無理やり先生について行っていたのだがな」
「そうなんだ?」
……ってことは、アスィーが師匠のことを先生と呼んでいるのも、半ば無理やりだったりして。
でもそうして一緒にいる間に、強い信頼関係が生まれたりするんだよねー。師匠ってば、旅のことといい一緒にいた人のことといい、全然自分の話しないんだから。
その師匠は、最終的にはここを任せるくらいにアスィーのことを信頼しているみたいだし。
「でも、よかったの? そんな一緒に旅してきたのに、ここに残っちゃって」
「……あぁ、構わない」
そう言って私の顔をじーっと見つめるアスィー。そんなきれいな顔で見つめられると照れちゃうよぉ。
まあ私にとってはありがたいことなんだけどさ。
「ところで、今日お前たちはここに泊まるのか?」
「え」
ふと、今日の予定を聞かれる。
泊まっていくのかどうか、か……そういえば家に来ることばかり考えていたせいで、そのあたりのこと考えてなかったなぁ。
ぶっちゃけ、徒歩でも一日あれば行って帰れる距離だ。というか、かなり遠かったとしてもクロガネに乗って移動すればあっという間だ。
魔大陸からウミを渡って戻ってくるのだって、すぐだったもんなぁ。
「うーん、どうしようかなぁ」
「私、泊まりたい!」
するとフィルちゃんが、はいはいと手を上げる。「ママの家泊まる!」と興味津々だ。
ルリーちゃんもまた「わ、私も……」と頬を染めてうなずいていた。これで二人とも賛成したことになる。
私は別に、どちらでもいい派だ。だったら……
「そうだね、泊まろっか」
私は泊まることをうなずいた。すると二人はぱぁっと表情を明るくした。
それに……気のせいだろうか、アスィーもちょっと表情が明るくなったような?
アスィーは……いいんだろうね。そもそもアスィーから言い出してくれたことだし。
「なら、アスィーも家で寝なよ」
「いや、俺は……」
アスィーは師匠に遠慮して、せっかく家があるのにいつも野宿みたいなことをしていたんだ。
でも、せっかく私たちが泊まるのに、アスィーだけ外でってのはやだ。
だから、アスィーも一緒に家に入ってきていいと思う。
「俺は別に……そんなの、気にしなくていい」
まあ、簡単には首を縦には振らないだろうと思っていたけど……
「そういうわけにもいかないでしょ。私が許可します」
「そ、そうですよ。一人だけ外だなんて」
「ねー、一緒に寝よー」
私たちの頼みを受けて、アスィーはじっと……考え込むように黙ったあと……深くため息を漏らした。
「なら、お言葉に甘えさせてもらう」
「わーい!」
喜ぶフィルちゃんはぴょんぴょんと跳ね、アスィーに抱きつきにいった。
なんだかんだ気にいったみたいだな。
そういうわけで、私たちは今夜この家に泊まることに。普段は寮の部屋で寝るし、こうして外泊をするのは久しぶりだな。
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