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第十五章 最高の魔導士編
1158話 久しぶりの再会と
しおりを挟む森の中を歩き、時折見かけるモンスター……こっちを襲ってくるならともかく、そうでないものはスルーだ。
来るときも思ったけど、魔物の姿がないのはアスィーのおかげだろう。
そのため、私たちは難なく森を出ることが出来た。
「ふぅ。やっぱり森の中ってのは疲れるね」
「私は、森の中にある村に住んでいたので、少し懐かしいです」
「そっか」
森を出たら、道なりに歩く。そうしていれば、ベルザ国へとたどり着ける。
しばらく歩いた頃、ふと前方から豪華な馬車が歩いてきているのに気づいた。
モンスターに先頭を引かせ、ゆっくりと歩いている。護衛っぽい人が何人かいるし、お偉いさんかな。
すると、その中に見覚えのある人たちを見つけた。
「あれ、ガルデさんじゃん」
「おー、エランちゃん」
そこにいるのは、冒険者のガルデさん。さらにケルさん、ヒーダさんだ。
そうか、冒険者の仕事で護衛任務ってところか。なら、お仕事中に話しかけるわけにもいかないな。
向こうもそのつもりなのか、私たちは軽く会釈をして過ぎ去る……つもりだった。
「エラン? エランだよね」
「へ」
聞こえた声に、振り返る。すると馬車は止まっており、扉が開いていた。
そこから降りてくる男の子……私から見て髪の右側が赤色、左側が青色。そして瞳の色は、髪とは逆で右側が青色で、左側が赤色の特徴的な男の子だ。
忘れるはずもない。こんな特徴的な人物。それに……
「ヨークリア、さん」
私を初めてのデートに誘った、ヨークリア・パルシュタンだったからだ。
彼は馬車を止めた。その理由は、私を見かけたから?
彼はそのまま、振り返った私の前まで歩いてきた。
「やあ。会いたかったよ」
「! そ、そう」
開口一番、久しぶりに会ってそんなこと言うなんて。びっくりしちゃったじゃないか。
「二人は知り合いなのか?」
「……ちょっとした"知り合い"です」
後ろで、ルリーちゃんとガルデさんが話しているのが聞こえる。なんでかルリーちゃんがムスッとしている気がする。
そう言えばヨークリアさんとのデートの終わりくらいに、たまたまルリーちゃんとダルマスと出会ったんだっけか。
ただ、私としてはなんでヨークリアさんやガルデさんたちがここにいるのかが疑問だ。
「偶然だね、まさかこんなところでエランと会うなんて思わなかった」
「それは私も。……ガルデさんたちを護衛にして、お出掛け?」
「彼らのこと、知ってるんだ」
ガルデさんたちとは、魔導学園に入る前からの付き合いだからね。この国に来て泊まることにした宿屋『ペチュニア』の常連客。
その後も、学園の授業の一環で行動を共にしたりと、ちょいちょい接する。
「うん、友達だよ」
「へぇ。僕は彼らに、母国に帰る間の護衛をお願いしているんだ」
へぇ、やっぱり護衛……あれ、でもベルザ国って今彼らが歩いてきた方向だよね。
……いや、そう言えばヨークリアさんは元は別の国の生まれなんだっけ。養子に出され、パルシュタン家に来た。
魔力はないけど、めちゃくちゃ頭がよく、それを買われて……とかなんとか。
なるほど、別の国への旅路は長いだろう。そのための護衛か。
ただ、ガルデさんたち以外にも何人かいる。それだけ重要なことなのかな。
「ヨークリアさん、母国に帰るの?」
「一時的にね。母国に居る双子の兄弟と、話すことがあって」
なるほどね。けど、そういうことならこの仰々しい面子も納得だ。
……なんか、私が親し気にしているからか変な視線を向けてくる人もいるけど。
「エランは、ここでなにを?」
「あー……自分の家に帰ってて、今そこからベルザ国に戻るところ」
「エランの家? それはすごく興味があるね」
「あはは」
すごい、目をキラキラと輝かせている。まるで「行ってみたい」と言っているかのようだ。
でも、あそこにはアスィーがいる。ヨークリアさんがエルフにどんな印象を抱いているかわからない以上、無理に案内するのは危険だよな。
そんなことを考えていると……
「ヨークリア様、そろそろ」
と、護衛の一人が口を挟む。
あの身なりは……冒険者でなく、専属の騎士って感じだな。
「ごめん、話したい子を見かけたから」
「困りますよ、養子とはいえあなたはパルシュタン家の長男。そんなどこの馬の骨とも………………」
「?」
「……魔導学園始まって以来の狂犬狂暴女と話をするなど」
こいつ! 今私の見た目で絶対言葉変えたろ! 馬の骨って言おうとしたけど、特徴のあり過ぎる見た目に言い方変えただろ!
しかもなんだその言葉! 狂犬だ凶暴だと失礼な!
「そこまで言う必要もないだろう」
「いいえ。それに、護衛など私共だけで充分。冒険者などを雇うなど……」
む、このおっさん……いやおっさんにしてはちょっと若め? でもちょびひげだしおっさんでいいか。
私のことはともかく、ガルデさんたちのことまでそんな言い方。なんかであった頃のダルマスみたいに嫌味な奴だな。
今ここでぶん殴ってやろうかしら……
「!」
「ハグリ、彼らには正式に僕から協力を要請したんだ。そんな言い方は……」
「みんな、警戒して!」
……突然、全身に走る嫌な予感……全身を突き刺すような、敵意。
……いや、これは敵意よりもっと恐ろしく、鋭い……殺意、ってやつだ。
「! 誰だ!」
次に声を荒げるのは、ガルデさん。腰の剣を抜いている。
ケルさんもヒーダさんも。みんな、臨戦態勢に入っている。
いつの間にか、黒装束の集団に囲まれている。
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