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第十五章 最高の魔導士編
1157話 お礼は身体でってやつとか
しおりを挟む「……ごちそうさまー」
ご飯を食べ終えて、私たちは手を合わせる。
ここから帰る準備を終え、最後にお昼を食べて帰ろうということになった。食べたのは、モンスターのお肉を焼いたものだ。
これもアスィーがどこから見つけてきたのか、魔物になりかけのモンスター。それも、鳥型のモンスター。
魔物になりかけなんて思いの外多いなぁと思うけど、その分食料が増えるのはいいことだ。
ただ、鳥型モンスターに関してはアスィー曰く注意が必要らしい。
『空を飛ぶ魔物は厄介だ。魔物になりきる前に、早急に仕留める必要がある』
とのことだ。
確かに言われてみて気づいたけど、魔物になったモンスターが鳥型……いや飛べる種だった場合、魔物が空に放たれることになる。
そうなれば厄介であることは明らかだ。それに、魔大陸では飛行型の魔物とも戦ったから、その厄介さはよくわかる。
なので、飛行タイプは早めの対処が求められる。だからこそ、エルフのアスィーに適任なのかもしれない。
「ふぁあ、お腹いっぱい!」
ぽんぽんとお腹を叩くフィルちゃんは、満足したようだ。
ルリーちゃんも同じように笑っている。
お腹も膨れたところで、いよいよここから出発の時だ。改めて、荷物を最終確認。
「行くのか」
「うん。お世話になったね」
アスィーにお礼を言う。アスィーは若干照れたように首を振る。
「俺はなにもしてない」
「そんなことないよ。ご飯や……何度も言うけど、家を守ってくれたことも」
人里から離れた無人の家なんて、いつ襲われてもおかしくなかった。
当時の私は学園に行くこと、師匠と離れてしまうことに気を取られてそこまで考えてなかったけど、今でこそそのありがたみがわかるというもの。
ホント、なにかお礼をしたいくらいだ。ここにはなにもないから、できなかったけど。
「今度、なにかおいしいお土産でも持ってくるね」
「……ま、期待しないで待ってることにする」
「それとも、お礼は身体でってやつとか!」
「学園でお前はなにを学んでいるんだ」
呆れたアスィー。そしてなんかルリーちゃんにめっちゃ怒られた。
エルフだって、人間と同じものを食べる。種族は違っても、食べるものがそう変化することはない。
もちろん、個人の好き嫌いはある。私は師匠に、好き嫌いなんて許さなかったけどねー。食べられないものは別として。
アスィーは聞いたところ、嫌いなものも食べられないものもないみたいだし。料理でもごちそうできればよかったんどけど、そんなことも頭から抜け落ちていたよ。
少なからず学園の生活が染み付いてるのかな。自分で用意することなんてないから。
「それじゃ、またね」
「お世話になりました」
「ばいばーい!」
「今日からはちゃんと家で寝るんだよー!」
「……あぁ。また来い」
荷物を纏めた私たちは、ここまで来た道を戻るため森へと入る。見送ってくれるアスィーに手を振り、森に入りその姿が見えなくなるまで。
……これでお別れ、か。とはいえ、師匠のようにどこにいるのか分からないわけじゃない。
会いに行こうと思えば、すぐに会える。
「寂しいねー、もふもふ」
「わぅん」
フィルちゃんは、乗っているもふもふの頭をぽんぽんと叩きながら言った。
もふもふは魔物で、アスィーはエルフ。本来相容れない存在だ。
だけど、その距離感は決して遠いものじゃなかった。フィルちゃんが間に入ってくれたおかげだろうか?
「私も……怖い方だと思ってましたが、気さくな優しい方でしたね」
ダークエルフのルリーちゃんにとって、恨まれている存在のエルフ相手では気が気でなかっただろう。
でもアスィーは、エルフだダークエルフだと気にすることはなく接してくれた。
人々にはダークエルフに対する呪いみたいなものが刻まれているって話だけど……みんながみんな、そういうわけではないみたいだ。
あるいは、強い意思みたいなものがあればいいのか。
「またすぐ会えるよ」
そんな二人を、私は励ます。
実際、そう遠くないうちに来るんだ。アスィーは家を守ったままでいてくれるみたいだし、会いに行こうと思えば難しいことじゃない。
二人もそれをわかっているからか、深刻に悲しそうというわけではないようだ。
「それにしても、エランさんの家でお泊りなんて…いい思い出ができました」
どこかほっこりした様子のルリーちゃん。
「大げさだよー」
「そんなことありません! これはとても貴重な体験ですよ! 自慢できます!」
……まあみんなからしたら、師匠が暮らしていた家だもんね。ある意味貴重価値ありだよ。
ルリーちゃんはそうは考えていないみたいだけど。
「まあ自慢はしませんけどね。私の心の中に思い出としてしまっておきます」
「……そっか」
ま、二人にとってはいい気分転換にもなっただろう。学園にずっといたんだもんね。
それに、フィルちゃんはわからないけどルリーちゃんは学園に来るまで気の休まるときはなかっただろう。
こうして外で、リラックスできたというのはいいことだ。
「ママー、また来るときは私も連れてきてね!」
「んん? うん、わかったよ」
「わ、私もお供させてください!」
「ふふ、はいはい」
こりゃ、次行くときもメンバーが減ることはなさそうだな。
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