史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十五章 最高の魔導士編

1180話 今なんて?

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 まさか、フィルちゃんが攫われるなんて! かんっぜんに私のミスだ!
 魔力が感じられなかったことで、フィルちゃんがいなくなったことに気づかなかった……なんて言い訳にもならない!

「っ、どこに……」

 ただ、誰が攫ったのかもどこに言ったのかもまったくわからない。あてもなく走ったところで、時間も体力も無駄にするだけだ。

 だいたい、こんな人の多い中で人攫い? 目立たないはずがない。
 ただでさえフィルちゃんは、きれいな白髮していて目立つのに。

「あのっ、この辺でこのくらいの……小さくて、髪の白い女の子見ませんでした!?」

「え? いやぁ、知らないけど」

 私は、片っ端から通行く人に声をかける。
 もしも人攫いのようなことがあれば、誰かが見ているはず。

 ……だけど、手がかりは得られない。誰も、怪しげな人物を見ていない。

「いや、そんな子は見てないけど……」

 何人にも聞いて、ダメか……と次の手を考えようとしたその時だった。

「ただ、その女の子くらいの大きさの革袋を抱えて走っている男なら、さっきあっちに走っていったよ」

「え」

 猫顔の亜人が、思い出したように一方向を指さす。
 それはフィルちゃんを見かけたというものではない。でも……

 ただ連れ去るだけなら目立つ。それにフィルちゃんに暴れられれば、余計に。
 だけど、フィルちゃんを革袋に入れて……なんなら気絶させておけば、周りに気づかれる心配も暴れられる心配もない。

「あっち、だね! ありがと!」

「お、おぉ」

 指さしてくれた方向へ、私は走り出す。
 フィルちゃんは子供とは言え、人一人入れた革袋だ。それに注意して探せば……!

『契約者よ、あれではないか?』

「!」

 頭の仲のクロガネの声に、私は示された方を見た。
 そこには、人だかりを避けて……大きな革袋を抱えて走っている男がいた。

 ここまで来れば、もうとっくに魔力封じの石の範囲外だ。意識を集中しろ……フィルちゃんの魔力を感じ取れ……!

「……間違いない!」

 わずかにだけど、あの袋の中からフィルちゃんの魔力を感じる。
 なら、もう遠慮することはない。魔力強化で脚力を上げ……一気に駆け抜ける。

 クロガネを召喚して空から探そうとも考えていたけど、あれじゃ見つけられなかったな。

「そ、こ、の……どろぼぉおおおお!!」

 私は力を振り絞り、雄叫びを上げるように声を出して走る。声を上げることで気合いが入る、ような気がする。
 周りの人が注目しているけど、構わない。

 私の声と迫力に気づいたのか、男が振り返る。すると、ぎょっとした様子で逃げようとするけど……

「させ、るかぁー!」

 思い切りの助走をつけて、飛ぶ。そして、男の背中へと全力の飛び蹴り。

 足の裏は背中にめり込み、バキバキ……と嫌な音が聞こえた。
 そのまま足を背中につけたまま、男は前のめりに倒れズザァ……と地面を滑る。

 全速力の私から逃げられると思うなよ!

「っと、フィルちゃん!」

 男の背中を思い切り踏みつけてから、私は投げ出された革袋へと駆け寄る。
 周囲のざわつきがちょっとだけ気になるけど、そんなことより……

 革袋の入り口を縛っているロープを引きちぎり、私は革袋の口を開けた。

「すぴー……」

 そこには、気持ちよさそうな寝息を立てて眠っている、フィルちゃんの姿があった。

「……ほっ」

 やっぱり、眠らされていたみたいだ。でも見た限り、怪我はない。
 今投げ出されたけど、その影響もなさそうだ。

 フィルちゃんは無事……それはよかった。
 だけど、当然このままにはしておけないわけで。

「いっ、てて……でぇえぇ!?」

 背中を労るように撫でている男だったが、その手ごと背中を踏みつける。
 多分背骨が何本かイッてるだろうけど、そんなのはお構いなしだ。

「おいお前、なんでフィルちゃんを攫った?」

 見たところ、鳥型の亜人……か。でも飛ばなかったのは、羽根がないから。
 翼のない鳥型亜人。さっきの男の言葉を信じるなら、こいつはあいつらの仲間じゃないのか?

 それどころか、黒装束の一員……

「さあ、言え。言ーえーよー、私が優しく聞いてるうちに……」

「いぃっ、いでででで……
 ……なぁんてな」

「!」

 さっきまで痛がっていた様子を見せていたが、急に振り向き不敵に笑う。

 私がその場から飛び退くのと、男の背中から鋭いトゲが生えてきたのはほとんど同じだった。
 少しでも回避が遅れていたら、あの太いトゲに貫かれていた……けど……

「なに、それ」

 背中から生えたトゲ。それは魔法とは違ったものだ。かといって、元々トゲが生えている種族でもない。
 ゆらりと立ち上がる男はケタケタと笑い、それが自分の意思で攻撃したものだとわかる。

「ちっ、使えないな……もう少しくらい足止めできると思ってたのによ」

 頭をガリガリとかき、おそらくあの男たちへの苛立ちを口にする。

「仲間でもなく、あいつらに私の足止めさせてその隙にフィルちゃんを攫ったせこい奴が、せこいこと言うじゃんか」

「挑発してるつもりか? ……ケケ、こうなりゃ仕方ねえ。お前を動けなくしてから、そいつを……"白髮の王女"をいただくとするか」

「……え?」

 下品な笑みを浮かべて、私を相手にフィルちゃんを再び攫うと口にする鳥型亜人だけど……

 今、なんて言った?
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