史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第二章 青春謳歌編

75話 代表者による定例会議

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「えっと、この教室か」

「みたいだね」

 教室を出た私は偶然にもナタリアちゃんと遭遇し、共に教室を目指して歩いていた。
 よかった、ナタリアちゃんと会えて。私一人だったら、また迷子になっていたかもしれない。

 一応この数日、教室の場所とか案内はされたけど……
 それでも、覚えきれていないのが正直な話。

 そんなこんなで、ナタリアちゃんと共に、目指していた教室にたどり着き。
 私は、扉を開ける。
 教室の中にいたのは……

「ん、来たか」

「……先生?」

 教室に入ってきた私たちを見て、軽く手を上げる私の組の担任の先生……ヒルヤ・サテランの姿だった。
 来たか、って。まるで、私たちを待ってましたよと言わんばかり。

 教室には先生の他に、二人の男子生徒だ。
 一人は、残念なことに見覚えのありすぎる男、ヨル。残念なことに私と同じ黒髪は、よく目立つ。
 そして、もう一人のブロンドヘアの男の子が……

「どうした二人とも、早く座れ」

「はい」

「えぇと……
 なんで、ここに先生が?」

 それは、単純な疑問。
 私に、定例会議に出席しろと念押しして、私より先に教室を出ていった先生が、どうしてここにいるのか。

 私の質問が意外だったのか、先生は目を丸くする。

「言ってなかったか?
 定例会議には、各クラスの代表者とは別に、それぞれのクラスの担任が一人、週ごとに入れ替わりで付き添うと。
 今日は私の番というわけだ」

 聞いてないんだけどそんなこと。
 てか、そういうことならわざわざ私一人を行かせないでも、一緒に行ってくれればよかったじゃん。

 ナタリアちゃんいなかったら迷ってたよ私。
 ぷんぷん。

「付き添い、ですか」

「ま、付き添う、とは言葉通りだ。さすがに生徒だけでってわけにもいかないからな。
 今回は初回だし、会議の進め方なんかを軽く説明するが……それくらいだ。
 聞かれたことには可能な限りは答える等はするが、基本的に会議に口は挟まない。
 生徒の自主性を重んじるからな」

 ……そりゃそうだよな。いきなり、はい会議しろ、なんて言われても、なにをどうしたらいいのかわからないし。
 それに、先生もいない中で、どんな会議が行われているのか把握できないってのは、先生にとっても意味のないことだろうし。

 ……ん? 待てよ。先生が付き添いでいるってことは……
 ヨルが、変なことをしてくる可能性が減る!
 さすがに、先生のいる前で変な行動や言動はしないだろう。

 そんなこんなで、定例会議初回が始まった。
 メンバーはそれぞれ…
 

 「ドラゴ」クラス
 エラン・フィールド

 「デーモ」クラス
 コーロラン・ラニ・ベルザ

 「ラルフ」クラス
 ヨル

 「オウガ」クラス
 ナタリア・カルメンタール


 だ。
 それぞれ、席につく。四人が、それぞれ向かい合うような配置だ。上から見たら十字みたいな形。

「はじめましての人もいるし、ここはまず軽く自己紹介といかないかな」

 さてなにを話そう、と考えていたところへ、手を上げて口を開くのは、コーロラン・ラニ・ベルザ。
 このベルザ王国の、第二王子様だ。
 そして、ノマちゃんが恋する相手でもある。

 自己紹介。それに異論はないので、小さくうなずいておく。
 まあ私がはじめましてなのは、王子様だけなんだけど。

「構いませんよー。ね、ナタリアちゃん!」

「もちろん」

「なあ俺は?」

「では、言い出しっぺの私から。
 「デーモ」クラス代表の、コーロラン・ラニ・ベルザ。立場としては、この国の第二王子ってことになってるけど……
 みんな、敬語なんかもなしで、気にせず普通に接してくれると嬉しい」

「オッケー、王子様!」

「……私が言うのもなんだけど、適応早いね。
 あとせっかくなら王子様以外の呼び方でお願いしたい」

 なんだ、王子っていうからどんな堅物かと思ったけど、爽やかないい人じゃんか。
 人当たりもいいし、うんうん。こういうのが理想的な、初対面の男子、だよね。

 簡単な自己紹介ということで、その後はナタリアちゃん、ヨルと進んでいく。

「こほん。えー、「ドラゴ」クラス代表のエラン・フィールドだよ。
 気軽に、エランって呼んでくれると嬉しいな!」

「エラン、そのカチューシャ似合ってるな」

「セクハラです」

「なんで!?」

 さてさて、一通り全員の自己紹介が終わったところで……
 自己紹介言い出しっぺだった王子様が、続けて場を仕切っていく。

「じゃあ、それぞれのクラスで報告を行っていこうか。
 まずは私から……と言いたいところだけど、それよりも話題のありそうな人から……」

 と、王子様の目がなぜか私に向く。
 ヨルも、ナタリアちゃんまでも私を見ているのだ。

 な、なんだよぅ……私に、しゃべれってことか?
 けど、そんな、しゃべれるようなことなんて……みんなが期待しているような、話題なんて……

「と、特にありません」

「そんなわけないだろう!」

 その場に響くのは、私たち四人の誰のものでもない……
 ハッとして、口を押さえる先生のものだ。
 思わず口が出てしまったんだろう。思わずツッコんじゃったみたいな。

 私たちの視線を受けて、先生が諦めたように口から手を退ける。

「特にないわけないだろう。
 フィールド、お前適当に終わらせて帰ろうとしてないか?」

「そ、そんなことないですよー?」

「こうならないために、一人は教師が立ち会って……
 まあ、ベルザがいれば軌道修正してくれそうな気もするが」

 頭を押さえる先生。頭痛いのかな?

 うーん、特にないことはまあ、確かにないんだけど……
 別に私のクラスだけに関した話でもないしなぁ。

「魔獣騒ぎのことなら、組ってより私個人が絡んだだけだから、別にいいかなって」

「よくない。組に関してじゃなくても、そういう重要なことは言わなきゃだめだ」

「じゃあヨルでもいいじゃないですか。あの授業に参加してたでしょ」

「魔獣を倒したのはエランだって聞いてるよ。
 なら、エランが言うべきだろう?」

「ちぇ」

 別に、わざと言わなかったわけではない。すでに全クラス、いやもしかしたら全生徒に伝わっている話だから、私から改めて言わなくてもいいだけかなと思っただけだ。

 けど、はぁ……
 だめかぁ。

「わかった、言うよ。
 って言っても、みんなが知ってる情報以上のものは出てこないと思うよ」

「いいんだ。
 これはあくまで定例会議……報告しあい、情報を共有することが目的なんだから」 

 先生曰く、細かいことは気にしなくていいらしい。
 というか、三人とも私から話を聞きたそうな目をしている……

 やれやれ、仕方ない……話すか。
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