史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
187 / 1,138
第四章 魔動乱編

183話 恋するお年頃……ってこと!?

しおりを挟む


 キリアちゃんからの相談……本人は否定していたけど、それは恋愛相談ってものだった。
 まあ否定してたって言っても、多分あの分じゃキリアちゃんは恋愛相談をしたことがないか、そもそも身分が違うからそんな感情持っちゃいけない、と思っていそうだ。

 恋愛ってのも、大変だなぁ……ま、私はしたことないけど。
 そういえばノマちゃんは、コーロランに一目ぼれしてたって言ってたっけ。こちらも、ノマちゃんは貴族でコーロランは王子という、またも身分違いの恋ってやつだ。

 ノマちゃんは、コーロランを見た瞬間にビビッと来たらしく、キリアちゃんはダルマスに優しくされたのが理由みたいだ。恋にも、いろいろあるんだなぁ。
 私は、これまで一緒に接してきた異性……というか人が師匠しかいなかった。師匠に対して、感謝はしているけどこれが恋愛って言われると……よくわかんない。
 学園に来てからも、ビビッ、なんて思ったことはないし。

「みんな、お年頃だなぁ」

 私たちの年齢なら、色恋沙汰っていうのは普通なんだろうか。これまで、魔導について学んだり、お友達が増えていく嬉しさとかで忙しかったから、他のことを考える余裕はなかったけど。
 ……恋愛、かぁ。

「ねえ、ダルマスは誰かに、恋したことある?」

「っ、げほっ、げほ……な、なんだいきなり!」

 壁にもたれるように座っていた私は、少し離れていたところに座っていたダルマスに、問いかける。
 どうやらダルマスは、水分補給をしていたようで、水を少し吹き出してしまっていた。
 変なこと聞いて、動揺させちゃったか。ごめんね。

 キリアちゃんの相談を終えた私は、その後教室に戻って普通に授業を受けた。まあ、相談を受けてちゃんと返事できたかっていうのは、自信ないけど。
 とりあえず、ダルマスにはさりげなく探りを入れてみる、とは話した。キリアちゃんにも、いきなり二人で話すのはハードル高いだろうから、私を間に挟んで話す機会を設ける、とは言っておいたけど。

 ただ、今日いきなりは心の準備ができていないらしく、キリアちゃんは遠慮した。放課後なら、今ダルマスと訓練をしている時間だし、他に誰も居ないし時間は取れたんだけど。
 ……ていうか、今私は、友達が好きな子と一緒にいるんだよね。二人きりで。それっていいのだろうか?

「……ふぅ。なにを、いきなり変なことを聞いてきたんだ」

 何度か咳き込んだ後、ダルマスはなんとか落ち着いたみたいだ。
 まあ、いきなり好きな人は、なんて話をされても、困っちゃうよな。

「ごめんごめん、まあなんとなくだよ。恋バナ、ってやつ私興味あったしさ」

「……まあいいが」

「で、好きな人は? いるの? あ、もちろん恋愛的な意味でね」

「……いない」

 さっき動揺させてしまったことを根に持っているのか、ダルマスは私と目をあわせてくれない。ちょっと悲しい。
 それはそれとして、好きな人はいない……か。これは朗報なのかな。

 好きな人がいる、と言われても、その相手がキリアちゃんだったらなんの問題もないけど……まあその確率は少ないよね。
 なので、今はまだ脈がなくても、とりあえず他に好きな人がいないなら、こっから関係を深めていけばいい。

「……お前は、どうなんだ」

「へ?」

「いや……人に聞いておいて、自分は答えないのは……そう、フェアじゃないだろ」

 私に、好きな人はいないのかと聞かれた。なんでそんなことを聞くのかと思ったけど、理由を聞いたら納得だ。
 確かに、一方的に聞いておいて、こっちだけなにも答えないなんて、ちょっと卑怯だもんね。

 とはいっても、ついさっき考えていたことだ。悩む必要もない。

「私も、いないかなー。というか、好きっていうのがどういう気持ちか、よくわからないし」

 自分で体験したことはない。でも、ノマちゃんやキリアちゃんを見ていると、悩み考えることはあっても。それ以上に幸せそうだなと感じる。
 人を好きになるって、素敵なことなんだな、と思えてくる。

「……そうか」

 私の答えを聞いて、ダルマスはどう思っただろう。もしや、恋が分からないなんてこの田舎者め、みたいに思っていないだろうな。
 ふんだ、いいもん。今は恋とか、そういうのいいもん。魔導を極めるのにいっぱいいっぱいなんだから、いいもん。

 そんなことを考えていた最中、ダルマスは立ち上がる。

「さ、休憩も終わりだ。続きを」

「あ、うん」

 休憩したおかげだろうか、その表情は、さっきよりもすっきりしているように見えた。
 その後、魔力強化を主に訓練して……時間は、あっという間に経っていった。

 やっぱり、ダルマスは筋がいい。このまま、私が教えることだけに集中していたら、すぐに追い抜かれてしまうかもしれない。
 ま、そんなことはされないけどね!

「……なぁ、フィールド」

「なぁに?」

 今日の訓練も終わり、帰りの準備をしていたところで、ダルマスに声をかけられた。どうしたんだろう。
 なんか訓練中も、なにか考え事をしているようだったし。それで支障がでなかったのは、さすがだけど。

「なんか、わからないこととかあった?」

「いや、そうではなく……
 その……今度の休日……空いてるか?」

「休日?」

 相変わらず私と目をあわせようとしないダルマスが聞いてきたのは、休日の予定だ。どうして?
 別に、今のところは予定はない……もしかして、休日にも訓練がしたいとか?

 いやぁ、その考え方は立派だけど。休日、休みにはちゃんと休まないと。むしろ休むのも訓練だから。

「空いてるけど……」

「そうか……ならその日、俺と、出かけないか。学園の、外に」

「その日も訓練って言うなら…………
 あぇ?」

 予想もしていなかった、申し出……それは、休日に、出かけないかというものだった。
 えーーーっと……なんで、そうなった?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ガチャで大当たりしたのに、チートなしで異世界転生?

浅野明
ファンタジー
ある日突然天使に拉致された篠宮蓮、38歳。ラノベは好きだが、異世界を夢見るお年頃でもない。だというのに、「勇者召喚」とやらで天使(自称)に拉致られた。周りは中学生ばっかりで、おばちゃん泣いちゃうよ? しかもチートがもらえるかどうかはガチャの結果次第らしい。しかし、なんとも幸運なことに何万年に一度の大当たり!なのにチートがない?もらえたのは「幸運のアイテム袋」というアイテム一つだけ。 これは、理不尽に異世界転生させられた女性が好き勝手に生きる物語。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

主人公は高みの見物していたい

ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。 ※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます ※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。

婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。

aozora
恋愛
クライフォルト公爵家の令嬢エリアーナは、なぜか「地球」と呼ばれる星の記憶を持っていた。そこでは「婚約破棄モノ」の物語が流行しており、自らの婚約者である第一王子アリステアに大勢の前で婚約破棄を告げられた時も、エリアーナは「ああ、これか」と奇妙な冷静さで受け止めていた。しかし、彼女に下された罰は予想を遥かに超え、この世界での記憶、そして心の支えであった「地球」の恋人の思い出までも根こそぎ奪う「忘却の罰」だった……

処理中です...