史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第四章 魔動乱編

250話 生徒vs教員の決闘勃発!?

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「……へぇ、勝負」

 私の言葉に、エルフの男は動揺するでもなく、うっすらと笑っていた。まるで、この展開を予想していたかのように。
 それは、どっちでもいい。この学園では、勝負……決闘を挑む方法がある。私は実際に、その方法でゴルさんに決闘を挑んだわけだし。

 抜いた杖を、決闘を挑む相手に向けて……杖の切っ先を、三回光らせる。それだけだ。
 まずは、一回。続いて……

「そこまでだ、フィールド」

 だけど、そこにさっきよりも大きな先生の声が、響いた。
 はっとした私は、意識を先生に向ける。

「な、なんですか」

「お前……まさかこいつに、決闘を挑むつもりか?」

「そうですが」

 私のやろうとしたことを察した先生は、私が決闘申請を行うより前に止めた。
 その上で、頭をかき、はぁとため息を漏らした。

「それはやめておけ」

「なんでですか。決闘は、自由にできるんですよね」

 私は杖はエルフの男に向けたまま、先生に問う。
 決闘は、生徒同士では自由に行える。負けた時のリスクが高いから、あまり行われないらしいけど……それが、ルールだ。

 だったら、私が誰に挑んでも、問題ないはず。

「それはそうだが……それはあくまでも、生徒間における決闘の話だ。
 生徒と教員の決闘は禁止されている。知らないのか?」

「……そうなの?」

 生徒同士の決闘は問題ない。でも、生徒と教師の決闘は、禁止されている。初耳だ。
 確認のために、みんなに聞いてみると……みんな、首だけ縦に動かしている。体は拘束されていても首は動かせるのか、それとも拘束の力が緩んだのか。

 生徒と教師の決闘は禁止……これは、周知の事実って、ことか……
 ていうか……

「ぷっ、くふふ……人のことをチャラいとか品位とか言っておいて、誰もが知ってるようなことも知らない無知とは……くふふ」

「……っ」

 こ、こいつが、教師だっていうのか……!? 今私を笑っている、この男が!?
 そりゃ、転校生というには年食ってると思ったけど……だからって!

「こ、こんなのが、教師だっていうの!?」

「おいおいおいおい、人を指してこんなのはないだろう。
 品性を疑うぜ、妹弟子」

「うっさい! 誰が妹だ!」

 くっそー、バカにして! エルフってこんなのばっかなの!?
 師匠はちょっと抜けてるとこがあって、かわいいものだって思ってたけど……この人は、ただただ意地悪だ!

 禁止とか知るか! 絶対にぶっ飛ばしてやる!

「教員……というのは、少し違うか。いわゆる、教育実習生ってやつだな」

「きょーいくじっしゅーせい?」

「教員になるために受ける実習みたいなものだな。なので正確にはまだ教員ではない、が……
 それでも、決闘というのはなぁ」

 よくはわからないけど、私が生徒で、このエルフが教員に似たようなもので、決まりで決闘が出来ないと言うのなら……残念ながら、それに従うしかない。
 でも、それじゃあ、この胸のむかむかが、なんかもう……あれなんだけど!

 そんな私の気持ちを察してくれたのかは、わからないけど……

「だから、まあ……決闘でなく、練習試合、のような形であれば、こちらとしても止める理由はない」

「練習……試合」

「あぁ。まあ、言い方はいろいろあるが、生徒が教員に一対一の摸擬戦を挑むことは、まあ珍しくはない」

 決闘ではなく、試合……か。
 いや、なんでもいいよ! この男をぶっ飛ばせるのなら!

「ただ、あくまでも生徒の個性を伸ばす、あるいは苦手を克服するために直接仕合うというだけのものだ。決闘のように、本気の勝負というわけには……」

「じゃあ、その練習試合申し込むよ!」

「聞けよ!」

 とりあえず、戦っちゃダメなわけではないのなら、やってやるさ!
 師匠の弟子を名乗る不届き者、チャラついた態度、みんなへの強制的な魔法、それに……エルフ!

 師匠以外のエルフと戦える機会なんて、滅多にない!

「……ま、オレオレは構わないけど? キミの噂は聞いてたから、興味はあったんだよねー」

「私の、噂。やだ、そんな私がいくら超絶美少女だからって、初対面で口説くっていうのはちょっと……」

「あっはは、聞いてた以上に面白くて頭のおかしい子だ。
 いろいろ聞いてるよ、入学時にとんでもない魔力を測定したとか、魔獣を素手で殴り殺したとか、目があっただけで誰彼決闘を挑む狂犬だとか」

「ひどい噂!」

 私の知らないうちに、私に対する噂がとんでもないことになっているらしい。これは近いうちに、なんとかしなければいけないだろう。
 ただ、それは後回しだ。今は、このエルフとの勝負!

 この人が、師匠の弟子かどうかはともかく……みんなを拘束している魔法、魔力、そのどれもかなりのものだ。
 それに、エルフ族は魔力の扱いに長けた種族だ。且つ大人……その知識や経験は、いっぱい持っているはず。

「……二人がそれでいいなら、止める理由はない。
 というかウーラスト、そろそろ生徒の拘束を解け」

「はいはい、というかヒルヤセンセならオレオレの魔法も解除できたでしょ」

「悪意があれば、すぐにでもしていたさ」

 ピリピリとしていた魔力の気配が、消える。直後、あちこちから声が聞こえた。
 体と声の自由が効くようになり、みんなほっとした表情を浮かべている。

 ただ、それを見て……

「はいはーいはいはーい、またうるさくしたら、また黙らせちゃうよ?」

 パンパンッと手を叩くエルフの男の言葉で、みんな一斉に静まり返ったけど。
 こいつ、みんなの心にトラウマみたいなもの植え付けやがったな……

「先生!」

「……はぁ、わかってるよ。まったく、学園再開早々、なんでこんなことに……」

 頭を抱える先生には悪いと思ってるけど、私は早く、あのエルフの男と勝負がしたい!
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