史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第四章 魔動乱編

251話 とんでもない女の子

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 生徒と教師の練習試合。それはクラス内で宣言され、混乱を防ぐために他のクラスへの他言無用を言い渡された。
 さすがに、学園が再開したばかりで、今日から教育実習に来たエルフの先生に勝負を挑んだ……というのは、いろいろと情報過多で、むやみに言い触らさないようにどのことだ。

 私は試合じゃなくて、もう決闘のつもりだけどね! ただ、学園の仕様的にしょうがないみたいだけど。

「もー、エランちゃん! なんでこうなっちゃうの!」

「なんでと言われても……」

 ホームルームが終わり、先生たちがいなくなった後で、私はクレアちゃんに詰め寄られていた。
 いや、周囲には他の子の姿もある。みんな、なにを言いたいのか、それはだいたい同じようだ。

 クレアちゃんに肩を揺らされ、私は「あー」と声を漏らしてみた。

「もう、ふざけないの!」

「ごめんなさい」

 普通に怒られてしまった。

「はぁ、もう……まあ、エランちゃんだから仕方ないか」

「そうですね……」

「あぁ、フィールドだもんな」

「しゃあないしゃあない」

 みんな、呆れたような言葉を漏らしている。
 あれ、私への評価おかしくない? 私が、誰にでも決闘挑んでもおかしくないように認識されてない?

 私がこれまで、自分から決闘を挑んだのは、ゴルさんだけだよ! まったく!

「まあ、それはもういいけど……本当なのかしら、あのエルフが、グレイシア様の弟子なんて」

 やっぱり、私だけじゃない。他にも、あのエルフが師匠の弟子なのか、疑っている子はいるみたいだ。
 そりゃ、いきなり現れて、グレイシア・フィールドの弟子ですなんて言っても、いきなり信じられるわけは……

 ……あれ、なんか私も似たようなシチュエーションだった気もするな。よくもまあ、みんな信じてくれたものだよな。

「名を騙るだけなら、誰でもできますわ」

「でも、いくらなんでもあんな堂々と言うかな」

「証拠なんてなにもないだろ」

「……私が言うのもなんだけど、私も別に師匠の弟子だって証拠はないのに、よくみんな信じてくれたね」

 あのエルフは師匠の弟子なのかそうではないのか……そう口々に話しているみんなは、私のことはすんなりと信じてくれたと思う。
 師匠と同じフィールドって名前だけじゃ、ただ偽ったと思われてもおかしくないのに。

 するとみんなは、一斉に私を見つめて……

「……魔力測定の魔導具ぶっ壊すとんでもない魔力してたし」

「実際にダルマス様との決闘でも力の大きさは伝わってきたし」

「不思議と、嘘だとは感じられなかったのよね。多分、エランちゃんがア……素直な子だから、かな」

 まるで当時のことを思い出すように、語り始めた。
 思い出すのはやっぱり、印象深いことばかりだよな。私としては、魔導具壊しちゃった件は忘れてもらいたいんだけど。

 それに、私が心のきれいな正直者だから、みんなに信じてもらえたってことらしいね! なんか言い直したように感じたけど、いや気のせいだよね!

「その後は、魔獣を倒したりあのゴルドーラ様と決闘したり……あぁこの子、なんかとんでもないんだなって思って」

「それに、強さだけじゃなくて性格も不思議というか。なんで、生徒会長と決闘したあの流れで、生徒会に入ることになってんだよ」

「それはまあ、いろいろとね」

 思い返せば、いろんなことをしているんだなぁ私。これが自分のことでないのなら、面白おかしく見ることができるんだけどなぁ。

 私が生徒会に入ったのは、生徒会に誘われたからだ。そして誘われたのは、ゴルさんが私の実力を認めてくれてのこと。
 あの決闘で、私は敗けた……わけだけど、ゴルさんは自分が敗けたと思っているみたい。そんな複雑な感情、他の人にはわからない。

「まあ、今言ったように、エランちゃんの実力はもちろん、エランちゃんがとんでもないことをやらかす子だって言うのは、みんなもうわかってるの」

「おぉう……」

「その上で、まさかこんな展開になるとは思ってなかったわ」

 なんか、みんなに私という人間を理解されてるのは嬉しいけど、同時にちょっと物申したい気分だなぁ。
 いやまあ、みんなの気持ちもわかるんだけどさ。

「うん、わかった。みんなが私をどう思ってるかはわかったから、もうその辺にして」

「……で、お前、あの教員……実際には教育実習生か。が、グレイシア・フィールドの弟子だと聞いて、頭に血が上って勝負を挑んだわけだ」

「……やめてって言ったのにぃ」

 私の言葉など無視するように、ダルマスが的確な言葉を投げかけてくる。その的確な言葉が的確すぎて、返す言葉も見つからない。
 でも、待ってほしい。

「それだけが理由じゃないよ! みんなのこと、魔法で拘束したから、かっとなって……」

「あー、あの魔法はすごかったですわ。声も出せない、指一本も動かせませんでした」

「うん、すごかった」

 あの魔法を直に受けた身としては、とにかくすごかった、ということらしい。
 あれがすごい魔法だってのは、私にもわかった。魔力を感じただけでも。

「そんなすごいエルフに、お前は勝負を挑んだ。それも、練習試合じゃない……決闘のつもりで。つまり、勝てる自信があると?」

「……わかんない、けど。勝ちたいし、戦いたいと思ったのは確かだよ」

 師匠の弟子、みんなへかけた魔法、そしてエルフ……様々な要因から、戦ってみたいと思った。
 そして、戦うからには勝つ! それが私の考えだ!

 みんなにはとんでもないことだと言われたけど、私はもう、引き返すつもりはない。

「本当なら、エルフを教員に連れてきた理由や、やけにサテラン先生と親しい理由を聞きたかったけど、それも後回しになっちゃいましたね」

「それは本当に申し訳ない」

 いろいろ気になることがあるのに、私が勝負を挑んだからそれが吹っ飛んでしまった。申し訳ない。
 勝負が終わったら、聞くことにしよう。今は、目の前の勝負だ!

 やがて、約束の時間が迫り、私たちは勝負をするための会場へと向かっていく。
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