史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第七章 大陸横断編

470話 危ない魔女さん

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 今後の旅に向けて、必要なものを揃える。
 私はラッへと共に、魔女さんの案内の下食料を探しに向かう。

 荷物が多くなることに関しては、魔法で空間に収納してしまえばいいから問題はない。
 けど、いくら空間に収納できるといっても保存が効くわけではない。ナマモノなんか腐ってしまう。

 普通に外に置いておくよりは、腐り具合は進行が遅いみたいだけど……それでも、長い旅なら関係はない。
 なので、保存の効く食料が最適だ。

「じゃ、一旦解散!」

「はい」

 ルリーちゃん、リーメイはパピリの案内の下、必要なものを買いに行く。
 あっちはルリーちゃんに任せておけば、問題はないな。

 私たちは、食料だ。

「それで、保存が効く食料を売っている場所って、どこにあるの?」

「まあ、食料店に行けば大抵のものは揃っているが……保存食メインとなると、少し違ったところから見たほうがいいかもしれないな」

「ぼぞんしょくー?」

 私たちは魔女さんの案内で、とあるお店へ。
 そこには缶詰がたくさん並んでいた。どうやら、この中に食べ物が入っているようだ。

 それに、お湯を注ぐだけで食べられる麺……はぁー、いろんなものがあるなぁ。ベルザ王国にはないものばかり……
 いや、そもそも保存食を探そうなんて国にいた頃は思っていなかったから、国にもあったのかもしれないな。

 とりあえず、めぼしいものを買っていく。魔女さんのおかげで、お金はいらないとのこと。やったね。

「いやー、結構買ったね」

「いっぱいだぁ!」

「お前遠慮ないなぁ」

 さて、とりあえず保存食はこれくらいでいいだろうか。量があって困ることはないけど、あんまり買いすぎてもさすがに悪い。
 保存食は、本当に困ったときのためのもの。

 それよりも、水分補給のために飲み物を買っておいたほうがいいな。
 リーメイの水魔法は飲み水としても使えるみたいだけど、これも念の為だ。魔大陸みたいに、魔法が使えない場所があるかもしれない。

 場所じゃなくても、そういう事態に陥ることもあるかもしれない。
 何事も、用心は大事だ。

「わっ、これおいしそう!」

「おぉ、いい目の付け所だ。そいつはうまいぞ」

「じゃ、それも買おう」

 かごを持ち、飲み物を入れていく。
 どうせ水分補給するなら、美味しいもののほうがいいもんね。

 それよりも魔女さん、結構面倒見いいよな。ラッへのことも、側で見てくれているし。
 これなら、任せておいても安心……

「あ、あのグレイシア・フィールドの娘……はぁはぁ……あぁ、確かに彼のにおいがする気がする」

「……」

 そうだ忘れてた! この人師匠が好きすぎるあまり自分の顔を師匠と同じ顔に変えた変人だった!
 師匠の子供であるラッへに、良からぬ感情を持っている!

 私はさりげなく……さりげなく魔女さんを押しのけて、ラッへと魔女さんの間に入る。

「む……なにをする」

「いや別に」

 師匠への歪んだ愛を、その子供にまで向けるなんて……これは危険だ。
 しまったなぁ、ラッへと魔女さんを引き離すんだった。

 ラッへは、きょとんとしている。記憶のないキミは、今は無垢なままだ……どうかそのままのキミでいてほしい。

「なあラッへよ、一つ頼みがあるんだが」

「なあに?」

「どうせ今日もウチに泊まるのだろう? だったら一緒に温泉に入ろう。なんなら、今夜は一緒に寝よ……」

「ヤメロぉ!」

 パシン、と魔女さんの手を叩く。魔女さんの手がいやらしく動いていたからだ。
 この人、私の前でも隠さなくなってきたな!

 なんて直接的に危険な誘いをするんだ。

「痛いじゃないか」

「痛いじゃないか、じゃないよ! 油断も隙もあったもんじゃないよ!」

「なにを言っているんだ。私は、記憶がなく不安だろうラッへを慰めようとしただけじゃないか」

「目が怖いんだよ!」

 ラッへの記憶が元のままだったら、魔女さんに必死に抵抗していただろうな。
 でも今は、無垢な子供だから……向けられる悪意に、鈍感だ。

 私が守らなければ。

「とにかく、ラッへにこれ以上近づくの禁止」

「つれないなあ。なんなら、キミと仲良くしてもいいんだが……グレイシア・フィールドと十年も過ごしたんだろう? ならば、彼のにおいや体温が、染み付いているんじゃないか」

「……!」

 ゾワゾワっ、と背筋に悪寒が走る。
 こんな気持ちになったの、ヨルにしつこく付きまとわれたとき以来だ!

 やばい、この人……見境なしか!?

「なんて、冗談さ。だかろそこまで警戒しないでくれ」

「……」

 冗談と言われても、そうですかと信じられるはずもなく。
 結局、私とラッへは魔女さんから少し距離を取って歩いた。

 案内は魔女さんに任せているけど、それでも必要以上には近づかない。

「やれやれ、少しはしゃぎすぎてしまったのは反省するが、そこまで警戒しなくてもいいじゃないか。もうなにもしないさ」

「それは、私が判断します」

「ふっ。失った信頼を取り戻すことは難しいね。この村のみんなは、素直だからすぐに仲直りできるのに」

「私はそんなに軽くないよ」

 魔女さんを警戒を続けながらの買い物は、続く。
 お金の件で魔女さんには世話になっているけど、それはそれだ。
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