482 / 1,224
第七章 大陸横断編
470話 危ない魔女さん
今後の旅に向けて、必要なものを揃える。
私はラッへと共に、魔女さんの案内の下食料を探しに向かう。
荷物が多くなることに関しては、魔法で空間に収納してしまえばいいから問題はない。
けど、いくら空間に収納できるといっても保存が効くわけではない。ナマモノなんか腐ってしまう。
普通に外に置いておくよりは、腐り具合は進行が遅いみたいだけど……それでも、長い旅なら関係はない。
なので、保存の効く食料が最適だ。
「じゃ、一旦解散!」
「はい」
ルリーちゃん、リーメイはパピリの案内の下、必要なものを買いに行く。
あっちはルリーちゃんに任せておけば、問題はないな。
私たちは、食料だ。
「それで、保存が効く食料を売っている場所って、どこにあるの?」
「まあ、食料店に行けば大抵のものは揃っているが……保存食メインとなると、少し違ったところから見たほうがいいかもしれないな」
「ぼぞんしょくー?」
私たちは魔女さんの案内で、とあるお店へ。
そこには缶詰がたくさん並んでいた。どうやら、この中に食べ物が入っているようだ。
それに、お湯を注ぐだけで食べられる麺……はぁー、いろんなものがあるなぁ。ベルザ王国にはないものばかり……
いや、そもそも保存食を探そうなんて国にいた頃は思っていなかったから、国にもあったのかもしれないな。
とりあえず、めぼしいものを買っていく。魔女さんのおかげで、お金はいらないとのこと。やったね。
「いやー、結構買ったね」
「いっぱいだぁ!」
「お前遠慮ないなぁ」
さて、とりあえず保存食はこれくらいでいいだろうか。量があって困ることはないけど、あんまり買いすぎてもさすがに悪い。
保存食は、本当に困ったときのためのもの。
それよりも、水分補給のために飲み物を買っておいたほうがいいな。
リーメイの水魔法は飲み水としても使えるみたいだけど、これも念の為だ。魔大陸みたいに、魔法が使えない場所があるかもしれない。
場所じゃなくても、そういう事態に陥ることもあるかもしれない。
何事も、用心は大事だ。
「わっ、これおいしそう!」
「おぉ、いい目の付け所だ。そいつはうまいぞ」
「じゃ、それも買おう」
かごを持ち、飲み物を入れていく。
どうせ水分補給するなら、美味しいもののほうがいいもんね。
それよりも魔女さん、結構面倒見いいよな。ラッへのことも、側で見てくれているし。
これなら、任せておいても安心……
「あ、あのグレイシア・フィールドの娘……はぁはぁ……あぁ、確かに彼のにおいがする気がする」
「……」
そうだ忘れてた! この人師匠が好きすぎるあまり自分の顔を師匠と同じ顔に変えた変人だった!
師匠の子供であるラッへに、良からぬ感情を持っている!
私はさりげなく……さりげなく魔女さんを押しのけて、ラッへと魔女さんの間に入る。
「む……なにをする」
「いや別に」
師匠への歪んだ愛を、その子供にまで向けるなんて……これは危険だ。
しまったなぁ、ラッへと魔女さんを引き離すんだった。
ラッへは、きょとんとしている。記憶のないキミは、今は無垢なままだ……どうかそのままのキミでいてほしい。
「なあラッへよ、一つ頼みがあるんだが」
「なあに?」
「どうせ今日もウチに泊まるのだろう? だったら一緒に温泉に入ろう。なんなら、今夜は一緒に寝よ……」
「ヤメロぉ!」
パシン、と魔女さんの手を叩く。魔女さんの手がいやらしく動いていたからだ。
この人、私の前でも隠さなくなってきたな!
なんて直接的に危険な誘いをするんだ。
「痛いじゃないか」
「痛いじゃないか、じゃないよ! 油断も隙もあったもんじゃないよ!」
「なにを言っているんだ。私は、記憶がなく不安だろうラッへを慰めようとしただけじゃないか」
「目が怖いんだよ!」
ラッへの記憶が元のままだったら、魔女さんに必死に抵抗していただろうな。
でも今は、無垢な子供だから……向けられる悪意に、鈍感だ。
私が守らなければ。
「とにかく、ラッへにこれ以上近づくの禁止」
「つれないなあ。なんなら、キミと仲良くしてもいいんだが……グレイシア・フィールドと十年も過ごしたんだろう? ならば、彼のにおいや体温が、染み付いているんじゃないか」
「……!」
ゾワゾワっ、と背筋に悪寒が走る。
こんな気持ちになったの、ヨルにしつこく付きまとわれたとき以来だ!
やばい、この人……見境なしか!?
「なんて、冗談さ。だかろそこまで警戒しないでくれ」
「……」
冗談と言われても、そうですかと信じられるはずもなく。
結局、私とラッへは魔女さんから少し距離を取って歩いた。
案内は魔女さんに任せているけど、それでも必要以上には近づかない。
「やれやれ、少しはしゃぎすぎてしまったのは反省するが、そこまで警戒しなくてもいいじゃないか。もうなにもしないさ」
「それは、私が判断します」
「ふっ。失った信頼を取り戻すことは難しいね。この村のみんなは、素直だからすぐに仲直りできるのに」
「私はそんなに軽くないよ」
魔女さんを警戒を続けながらの買い物は、続く。
お金の件で魔女さんには世話になっているけど、それはそれだ。
あなたにおすすめの小説
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです
もぐすけ
ファンタジー
勇者に嵌められ、社会的に抹殺されてしまった元大魔法使いのライルは、普通には暮らしていけなくなり、ダンジョンのセーフティゾーンでホームレス生活を続けていた。
ある日、冒険者に襲われた少女ルシアがセーフティゾーンに逃げ込んできた。ライルは少女に頼まれ、冒険者を撃退したのだが、少女もダンジョン外で貧困生活を送っていたため、そのままセーフティゾーンで暮らすと言い出した。
ライルとルシアの奇妙な共同生活が始まった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?
あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。
彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。
ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆