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第八章 王国帰還編
486話 帰ってきたぞ
しおりを挟む上空から見えた、一つの国。これまで見てきた国よりも、ぱっと見大きいのがわかる。
魔導に関して有名な大国だ、って言ってたもんな……
「長かったなぁ」
魔大陸に飛ばされて、もう帰れないかと心配したこともあった。
だけど、クロガネと出会って……契約して。魔族の協力もあって、魔大陸から抜けられて。途中リーメイとも出会って、一緒に行動して。
いやぁ、いろいろあったよねぇ。
「帰ってきたよ、ベルザ王国!」
「わかるんですか?」
「なんかこう……ビビーンと来たんだ!」
ベルザ王国から外に出たことなんてなかったし、上空から見たことなんてあるはずもない。浮遊魔法使ってもさすがにこの高さまでは飛べないし。
だから、初めて見るはずの景色なんだけど……
そこがベルザ王国だと、私にはわかった。
「ビビーン……?」
「あれだよ、こう……いい女としての、第六感的な?」
「はぁ……?」
きょとんとしてているルリーちゃん。まあそうなるよね。
ただ、あそこが本当にベルザ王国だって確信もないので、少し降下してもらう。
これまで過ぎてきた国も、それっぽいところは地面に降りてから、確認した。
私は国の外に出たことはないけれど、さすがにベルザ王国に来たときのことは覚えている。学園の試験を受けるために来たときだ。
それ以前に師匠と何度か来たこともあったし、入口の正門を確認すればここがベルザ王国かどうかわかる。
それに、ルリーちゃんもまた正面から国を訪れたので、よく覚えているはずだ。
「よっと」
クロガネに、国の入口近くまで着地してもらう。
門の側には門番が立っているので、慎重に。
さて、どことなく見覚えがある門な気がする。
さっきまで自信あったけど、こうして見るとどこもおんなじように見えてくるから不思議だ。
門番さんに聞いてみようにも、透明化のままでは話しかけることは……できても不気味に思われてしまうだろう。
透明化を解いたとしても、違った場合再び透明化するなんてことはできない。
「……あっ」
さてどうしたものかな、とじっと門を睨みつけていたけど、私はあるものを見つけた。
それを確認した瞬間、私は透明化を解く。
「え、エランさん!?」
「間違いない、ここベルザ王国だよ!
あの門番さんと私、話したことがある!」
門番としてそこに立っているのは、私がベルザ王国に訪れた時に応対してくれた門番のおじさんだった。
この国に来て初めて会った人だからか、なんか印象に残ってたんだよな。
あの人になら、事情を話せばすんなりと中に入れてもらえるだろう。
……クロガネに乗っかって国の中に直接入ればいいって? そうするとクロガネが降り立つ場所をまた見つけなきゃいけないし……
ここなら、魔法陣の中に戻して国の中に入ることができる。
「あ、でもルリーちゃんたちはまだ透明化解いちゃだめだよ」
ルリーちゃんは言わずもがなダークエルフ。認識阻害のフードはもはや機能していないので、持ってはいるけど被ってない。
ラッヘもエルフだからどういう反応をされるかわからないし……リーメイはニンギョだからなおさらだ。
ここは私が門番のおじさんに頼んで門を開けてもらって、その隙に国の中に入るというのがいいだろう。
不法侵入? なんのことかな。
「そういうわけで、ちょっと話してくるね!
クロガネ、運んでくれてありがとう。魔法陣の中で休んでてね」
『うむ』
クロガネを魔法陣の中に戻して、休ませる。
さて、これで私が門番のおじさんと話しているうちに、みんなが国の中に入ってしまえばいいんだけど……
「しまったな……」
透明化を解いたことで、私の姿は周囲から見えるようになった。
そして……私からは、透明化状態のままのルリーちゃんたちが見えなくなってしまった。
声は聞こえるから、会話はできるけど。どこにいるのか、まるでわからない。
困ったなぁ……
ということなので、ルリーちゃんたちにはそのへんに落ちている石とか持ってもらおう。
元々身につけているものなら、体と一緒に見えなくなる。でも、後から手にしたものならそれは消えずに、周囲からも見える。
その場合、石が宙に浮いている、なんて状況になるから、注意が必要だけど。
「門の向こう側に入ったら、私になにか合図をしてほしいな。
最悪、ぶっ叩くとかして私に気づかせてくれていいから」
「わかった!」
元気なラッヘの声が聞こえた。
本気で叩いてきそうで怖いなぁ。
なので、みんなからの合図は見逃さないようにしないと。
「じゃ、行ってくるよ」
「はい」
私はルリーちゃんたちに声をかけ、歩き出す。姿は見えないけど。
なんか、ベルザ王国に帰ってきて初めて話すのが門番のおじさんになるとは……思っていなかったな。門番なんだから当然といえば当然だけど。
おじさんと会ったのは、二回。
一回目は、ベルザ王国に来たとき。二回目は、魔導学園内で"魔死事件"が起こってその調査に来たとき。
一度しか会っていない私のことを、覚えてくれていた。だから……
「やっほー、門番のおじさん」
「? 誰だ、そんな気安く話しかけてきて……
……って、キミは黒髪の……!? エランちゃん、だっけ」
やっぱり、私のことを覚えてくれていた。
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