史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
572 / 1,198
第八章 王国帰還編

560話 ゴルさん信者

しおりを挟む


 話がある……そう言われて私たちは、一旦病院から出た。
 そして中庭へと移動して、空いているベンチに座る。

「あの、私は……」

「構わない。好きにするといい」

 シルフィ先輩が私に話があると言うので、ルリーちゃんは席を外そうか迷っていた。
 どちらでもいいとのことなので、結果私の隣に座ることに。というか、私がいてほしかったのだ。
 だって、この人と二人きりは……なんか、アレだし。

 シルフィ先輩、そして少し距離を離して私とルリーちゃんが並んで座る。
 まさかこの人から、私に話があると言われるなんて思わなかったな。

「あの……」

「遠回しなのは嫌いだ。なので直球で聞くが……
 お前は、今の国王をどう思ってる?」

 じっ……と、シルフィ先輩が私を見ていた。
 直球で聞くと言われたけど、思ったよりも直球だった。

 うむ、今の国王をどう思っているか、か……
 今までこういう質問は私がしてきたから、逆にこういうことを聞かれるのは新鮮な気がする。

 それに……この質問をするってことは、もしかして……

「先輩も、もしかして私と同じで……?」

 先輩は私と同じく、今の国王がおかしいと考えている方の人ではないのか。
 そうでないと、この質問はまず出てこない。

 つまり先輩も、洗脳されてはいない……ってことか?

「先ほど病室の中での会話が聞こえてな。盗み聞きするつもりはなかったが……」

「あぁ……」

 病室での会話、聞かれてたのか。
 今の国王についてとか、洗脳がどうだとか。考えてみれば、結構危ない話してるよなぁ。

 それを聞いて、私たちも自分と同じく洗脳されてないと考えたわけか。
 というか、病室の中に私たちがいると知っててあんな態度取ってたのかよ。性格悪いなぁ。

「私とルリーちゃんは、国の外にいたから……
 帰ってきたら国王は変わってるし、みんなそれを受け入れてるし、もうどうなってるのかと」

「なるほど。こっちある時を境に突然、周りが変わった。
 新しく国王が誕生し、それに対して皆大して疑問を抱いていない。ザラハドーラ国王が亡くなったんだ、次の国王を決めないといけないのはわかるが……次に即位するとしたらゴルドーラ様だ。
 おまけに、即位までの時間があまりに早い」

 ふむふむ、国の中にいたら突然周りが変わったように感じるのか……それも怖いな。
 自分だけが正常。いや、周りがみんな変わっているということは、ある意味自分だけが異常なのかもしれない。

 私が同じような立場に立ったら、どうなってしまうだろう。

「けど、どうして先輩は洗脳されてないのかな」

 他にも洗脳されてない子はいるけど、それは"魔人"のノマちゃんといった特殊な状態になっているからだ。
 筋肉男は……知らないけど。あいつ普通の人間だよなぁ。

 私の問いに、シルフィ先輩はしばらく黙ったあと……私を見て、言った。

「俺は、吸血鬼ヴァンパイアだ」

「ヴァ……」

 明かされたのは……先輩の種族。
 シルフィ先輩がなんらかの獣人だということは聞かされていたけど……先輩自身は教えるつもりはなかったようだし、ゴルさんたちも本人が言わないのに勝手に言うことはできないと黙っていた。

 それが今、唐突に明かされたわけだ。
 吸血鬼か……聞いたことはあるけど、会ったのは初めてだな。

 このベルザ国の中でも、おそらく珍しい種族のはずだ。

「吸血鬼……って、もしかして私にいやらしいことするの!?」

「それは夢魔インキュバス夢魔サキュバスのことだ。だいたい夢魔だとしてお前にそんなことはしない」

 自分の体を抱きしめる私に、冷ややかな視線が注がれる。
 そんなに淡々と言われると……なんか悔しいな。

「でもさ、吸血鬼だからってそれが関係あるの?」

「あっ、聞いたことがあります。吸血鬼は、精神操作系の術は効かないんでしたっけ」

「そうだ」

 どうやら、ルリーちゃんは私よりも吸血鬼に詳しいようだ。
 精神操作系の術は効かない……だから精神に作用する洗脳は効かない。ニンギョと似たようなものか。

 ……いや、ニンギョは身体に影響を及ぼすもの、だったか。
 ニンギョには身体強化の魔法は効かないけど、吸血鬼には効く。こういうことか、ややこしい。

「それで、洗脳も効果がなかったと。なら、他にもそういう人はいるのかも?」

 吸血鬼という種族に洗脳が通用しないのならば、シルフィ先輩以外にも洗脳から逃れた人がいるはずだ。
 案外、その数は多かったりして。

 少し期待を持っていたけど、先輩は首を振る。

「いや、吸血鬼はほぼ絶滅している。特殊な力で、吸血鬼は同族が近くにいる場合それがわかるんだが……
 少なくともこの国に、吸血鬼はいない」

 吸血鬼特有の能力で、同族が近くにいるかわかる……反応がないから、この国にはシルフィ先輩以外の吸血鬼はいないってことか。
 それは残念だなぁ。

 今のところ、国の外に出ていた私たちや地下に閉じ込められていたヨルを除けば、筋肉男とノマちゃんとシルフィ先輩だけか……洗脳されてないのは。
 それ以外の人間に及ぶほどの洗脳。まだ思ったよりも逃れた人数がいるとも言えるし、これだけしかいないとも言える。

 ともかく、せっかく数少ない同志だ。なんとか協力していきたいところだけど。

「あんな訳のわからん男に、このまま王位をくれてやるつもりはない。
 次の国王にふさわしいのは、ゴルドーラ様だ。あの人を国王に添えるため、なんだってしてやる」

 ……目的が同じなら協力はできそうだけど、ゴルさん信者すぎて怖いよこの人。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない

櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。  手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。 大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。 成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで? 歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった! 出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。 騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる? 5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。 ハッピーエンドです。 完結しています。 小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...