史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第八章 王国帰還編

562話 水の中で踊る

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 私とルリーちゃんは病院から出て、その足を魔導学園へと向けていた。
 そして、ここにシルフィ先輩が加わっている。

 目的は、学園に行っているリーメイを見つけること。
 現状、国中の人たちを洗脳しているってことに対策できそうなのが、リーメイなのだ。

「しかし……人魚と言う種族がいることは知っていたが、実在していたのか」

 本などに、ニンギョ族のことは載っている。
 でも、実際に会うことができるかなんてわからない。誰も見た人がいないのだ、空想上の種族だと思ってもおかしくはない。

 ふふん。

「なにを笑っている」

「いやあ。リーメイってばかなーりかわいいから、見惚れちゃダメですよ」

「はっ」

 また鼻で笑われてしまった。
 少しでも場を和ませようとしただけなのに。

 まあ、この人が女の子に見惚れている姿は想像できないもんな。
 ゴルさん大好きなわけだし、頭の中ゴルさんだけなんじゃないかな。

 そんなこんなで、魔導学園にやって来た。
 今朝先生たちに話をしに一度来たから、今日は二度目の訪問だ。

「そ、そういえば、学園はいつから再開するんでしょうか」

「さあな。街並みも戻っては来ているし、怪我人が復活次第じゃないか」

 ルリーちゃんの問いかけに、シルフィ先輩はむっつりと答える。
 私以外にも、特別優しいってわけじゃないんだよな……そういえば、初めて会った時に先輩たちはシルフィはこんなやつだ、って言ってたっけ。

 人付き合いに苦労しちゃうぜぇ、そんなんじゃまったく。

「ま、生徒会でもわかんないってことですか」

「そういうことだ」

 門をくぐり、学園の敷地内へ。
 さあて、この広い中からリーメイ一人を見つけるのは大変そうだ。

 ……と、思ったんだけど。
 女子寮の方から、なんだか賑やかな声が聞こえる。なんだろう。

「行ってみようか」

 学園は休校だ。だからといって、みんながみんな引きこもっているわけではない。
 寮に残っているみんなでお話をしたり、魔導の訓練をしたりすることだってできる。

 魔導学園は生徒の自主性を尊重している場所だし、休校であろうとなかろうと魔導を学ぶ場所はちゃんとあるのだ。
 むしろこういうときこそ、魔導の練習をする絶好の機会だ。

 ま、人によっては街の復興に協力しているみたいだから。魔導の練習をしてない人は立派じゃない、と言いたいわけじゃない。

「おー」

 校舎を曲がり、その先には。人だかりができていた。
 人だかりは、なにかを囲うようにできていて……その中心で、ふわふわと浮いているものがある。

 あれは……水か。水をボールみたいな形にして、ふわふわと浮かせているんだ。
 魔導の練習かな。それにしては、みんな浮かれている気がする。
 浮く、だけにね!

「あら、エランさんではありませんか」

「カリーナちゃん」

 人だかりに近づくと、私に気づいた女子生徒が手を振る。
 それは、同じクラスのカリーナちゃん。私をお茶会に誘ってくれた子だ。

 カリーナちゃんもなにかを見物しているようだ。

「やっほー。さっきカリーナちゃんのお父さんとお話したよー」

「えっ、お父さ……き、教頭先生とですか?」

 公私はわけているようで、お父さんじゃなくて教頭先生として話している。
 うんうん、それはいいことなんだろう。多分。

「理事長や校長も交えてねー。
 それより、みんななにしてるの?」

「それよりって……
 ……彼女、エランさんが連れてきたんでしょう? すごい人気ですわ」

「彼女?」

 カリーナちゃんが指す方向……人だかりの中心にいる人物。
 みんなが壁になっていて見えないけど、なんとか中心を見るためにぴょんぴょんと跳ぶ。

 で、見つけた。そこにいたのは……薄い青色の髪をなびかせ、両手を動かすと同時に浮いている水を動かしている人物。
 まるで踊りでも踊っているかのように、彼女は無駄のない動きで次々と水を生み出していた。

 水の中で踊っている。まさに、ニンギョだ。

「リーメイ……」

 昨日、生徒たちに選んでもらって買った服を着たリーメイが、生徒たちの視線を受けて堂々と、そこに立っていた。
 人気、という言葉は嘘ではないようだ。

 リーメイ……というかニンギョ族は、水系統の魔法しか使えないらしい。
 魔法はイメージの力だけど、なにをイメージしても具現化するのは水として。水の玉とか、槍とか。

 こうして見ていると、とても美しい。その挙動すべてが。

「っと、見とれてる場合じゃないや。
 先輩、あそこにいる子がリーメイで……」

 なんにせよ、探す手間が省けてよかった。先輩に、彼女がリーメイだと紹介する。
 ただ……先輩はなぜか、反応を返してくれない。

 不思議に思って先輩の顔を見上げると……その視線は、一点に集中していた。
 人だかりの中心……そう、リーメイへと。

 ふーむ……ははーん、リーメイの魔法の精度に見とれているんだな。
 リーメイは水の魔法しか使えないけど、その精度はすごいものだ。まるで手足のように、水を動かしている。

「先輩。おーい、せんぱーい」

「……! な、なんだ」

「いや、なんだって。あの子リーメイですって」

「あ、あぁ。……そうか、彼女が……」

 まったく、いくら魔法の扱いがすごいからって、私のこと無視しちゃうのはひどいなぁ。
 ま、それくらい許してあげる。私、オトナだから!

 とりあえず、リーメイの魔法お披露目が終わるまで待ってよう。
 ……その間も、先輩はリーメイをじっと見ていた。ほんのりと耳が赤いように見えたのは、気のせいだろうか。
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