史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第九章 対立編

653話 すんごい案

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「つまり、学園が再開できる余裕ができたら学園は再開できる……ってことだよね!」

「あぁ……え? あ、うん」

 あんな楽しそうな話を聞いておいて、このまま黙っておくことなんてできない!
 私も復旧作業に加われば、その分なんかいろいろ早く終わるはずだ!

 どうやら、教師だけじゃなくて生徒も何人かは手伝いに出ているらしい。でも、そんなことより魔導の鍛錬を……と自主的に訓練している人のほうが多い。

「私も学園祭はやりたいし、その意見には賛成だが……熱量がすごいな」

「そりゃね! せっかくのお祭りだもん! それにほら、あれだよ、ここまで長々学園祭の説明しといて、でもやりません! なんてことになるのはだめだと思わない!?」

「なんの話だ」

 とりあえず明日、適当に先生見つけて話をつけてくるか……私が勝手にやるよりは、手伝ったほうがいい場所を割り振ってもらってそこに行ったほうがいい。

 私としては、魔導の鍛錬をしてもいいけど……それよりやっぱり早く学園再開してほしいしね。あと学園祭したい。
 私にどんと任せなさい!

「あ!」

「!? な、なんだどうした!?」

 ふと、すんごくいいことを思いついた。思わず、大声を上げてしまった。
 驚くレーレさんには悪いけど、我ながら素晴らしい考えが浮かんだのだ。

 早速明日、試してみよう。


 ――――――


「おーらーい、おーらーい……はい、クロガネあそこにお願い」

『うむ』

「……」

 翌日、私は早速先生に掛け合って、復旧作業が滞っている場所に向かった。
 ここは魔物が暴れまくり、建物が結構崩壊している場所だ。他と比べて、後回しにされている場所だ。

 なんでここは放置されているのか? それは人手不足によるものらしい。
 他の魔導士は、他の場所で作業している。めちゃくちゃになった場所は、他にもあるのだ。

 それに、ここはあまりひと目につくような場所ではなく、賑やかとも言い難い。国としては、まず賑やかな場所を優先的に直していきたいわけだ。

「いいよぉー、クロガネ! そんな大きな瓦礫をひょあかと運ぶなんて! さすが私のクロガネ!」

『ふん、こんなのは容易いものよ』

「…………」

 まあともかく、私が割り振られたのがここという話。
 魔導士ならば魔法で瓦礫を退けたりすればいいけど、物を動かす作業って結構集中力を使う。崩壊した瓦礫ならなおさらだ。

 下手に動かしたら二次被害を生みかねないし、重い瓦礫を動かすにはそれなりに魔力を使う。私もやってみてわかったけど、結構疲れるんだこれが。
 なので、あまり作業が進んでいない。

 そこで私は、昨日思いついたことを実行していた。それが、クロガネを召喚して復旧を手伝ってもらおうというものだ。

「やぁー、これ思ったより早く終わりそうだねー。あ、そこ崩れそうだから気をつけて」

『あぁ、わかっているとも』

「………………」

 クロガネの活躍に、周囲の人たちはぽかんと口を開けたままだ。レーレさんも、その一人。
 クロガネをこの場に召喚することで、同時にクロガネを大勢にお披露目できるということだ。

 国の復旧作業のお手伝いができて、学園再開の目処が早まり、多くの人にクロガネを見せびらかすことができる。
 これが、私の思いついた素晴らしい考えだ。

「くくく……くふふふふ、くーはっはっはっは!」

「なんというか……いろいろ規格外なんだな、キミは。改めて感じた」

 クロガネならば、自分が魔法であれこれ動かすよりも自分の意思で手伝ってくれる。
 なにより大きいから、私たちにとっては見上げるような瓦礫も普通に掴んで移動させられる。

「でも、なんかごめんね。こんな、瓦礫運びのお手伝いなんかさせちゃって」

『気にするな。我としても、人の役に立つという感覚は初めて味わったが……なかなか悪くないものだ』

「えへへ……」

「瓦礫運びをするドラゴンなんて彼が初めてだろうなきっと」

 クロガネのおかげで、作業は順調に進んでいく。
 もちろん、クロガネに任せきりなわけにもいかない。私は私で、できることをやっている。

「あの子、あんな小さいのにドラゴンを使い魔にしたのか?」

「というか、ドラゴンって実在したんだな」

「しかも、あの子ドラゴン召喚したまま自分も魔法使って作業してるぞ」

「化け物かよ」

 なんだか視線を感じる。あとなんか言われている気がする。
 まあ悪口とかじゃなさそうだから、いいんだけど。

 それにしても、見なさい私のクロガネを。あの大きな体、黒い鱗、おっきな翼……そして威風堂々とした立ちふるまい。
 そんじょそこらの使い魔なんかじゃ太刀打ちできないんだからね。

 ゴルさんのドラと今度戦ってみたいな。

「ところで、レーレさんも着いてきてよかったんですか?」

「いや、キミがなにをするのか気になってな……とはいえせっかくだし、私も少し手伝っていこうか」

「いいんですか? なんか、剣の稽古とかあるんじゃ?」

「まあな。だから、少し……だ」

 こうしてみんなでやれば、スムーズに作業は進んでいく。
 はじめはクロガネに圧倒されていた人たちも、次第に動き始めた。まあ、クロガネの迫力に圧されているのかクロガネに近寄ることはなかったけど。

 そんなこんなで、この場での作業はあっという間に終わっていった。
 この分なら、他の場所も含めて思いの外早く終わるんじゃないかな。
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