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第十章 魔導学園学園祭編
667話 生徒会長として、次期国王として
しおりを挟む学園を卒業したら、王位を継ぐ……
それは、ゴルさんが第一王子ではなく、この国の国王になるということだ。
「……それは、そうだろうね。けど、わざわざこの場で言うってことは、なんかあったの?」
それに対して、うなずきを見せつつ逆に疑問を口にする。
ゴルさんが第一王子で、学園に在籍している以上卒業したら王位を継ぐのかな……というのは予想出来る。
その上で、改めて本人の口で伝えられたのだ。
「なにか、というほどのものでもない。元々、卒業後は国王……父上の下で次期国王としての教養を身に着けるつもりだった。
だが、父上が亡くなりそうも言っていられなくなった。だから、学園生活と並行して、次期国王としての教養も学んでいくことになる」
本当なら、学園を卒業してからゆっくりと準備を進めていく予定だった。
でも、そうは言ってられなくなった。ザラハドーラ国王が亡くなったからだ。
つまり、次期を早めていかなければいけない。
「ってことは……」
「今後、皆には迷惑をかけることが多くなる」
次期国王としてやらなければいけないことがあるなら、それを学生生活と並行してやろうってなったら時間も足りなくなるだろう。
そのため、学園には顔を出せなくなることもある……そういうことか。
王族として、やらなきゃいけないことがあるっていうのはわかる。
でも、それって……
「それは、お身体が持つのですか?」
私が感じた疑問を、先にリリアーナ先輩が口にした。
学生生活に次期国王業務なんて、忙しいどころの話じゃない。
そんなんで、体は持つのか。大丈夫なのだろうか。
「問題はない、とは正直な話言えない。
だが、コーロランやコロニアも支えてくれる」
ゴルさんは正直だ。変な強がりは言わない。
その上で、問題ないとは言えないと。でも、コーロランやコロニアちゃんに手伝ってもらうから大丈夫だと。
王族として、兄妹として、みんなで支え合っていくということだ。
「俺も、なにか手伝えることがあれば、遠慮なく言ってください」
「シルフィ……」
そこで手を上げるのは、シルフィドーラ先輩。
ゴルさんを尊敬している上に責任感の強いこの人は、こういうこと言うんだろうなと思った。
対してゴルさんは……
「気持ちはありがたい。頼るようなことがあれば、遠慮なく頼らせてもらおう」
「! はい」
素直な意見を口にした。
顔に出さないだけでゴルさん、実はすでにいっぱいいっぱいなんじゃ……?
「そういうことなら、早速頼ってもらおうかの。学園祭の準備は、わしらで進める。ゴルっちは、まあサポートみたいな感じで」
「……助かる」
本当なら、生徒会長としてゴルさんが指揮するべきなのだろう。
でも、ここにいるのは生徒会メンバー。うち三人は、ゴルさんともっとも交流が深い三人だ。
ゴルさんが無理しないように、今後はこの五人が主体となって進めていく。
「それでは、ゴルドーラ様は今後学園に来られる頻度が減る……ということですね」
「そうなる」
ゴルさんが学園に通う頻度が減る……それを確認したリリアーナ先輩は、少し寂しそうだ。
表情は変わってないけど、わかる。
そりゃ、大好きな人と会える時間が減っちゃうって言うのは、寂しいよなぁ。私だって、クレアちゃんやルリーちゃんと会えない時間ってのは……
……んまあ、そういうことじゃないんだろうね。はい。
「とはいえ、学園で学び、交流を経て、知識と技術を身につけろ……というのが、父上との取り決めだった。なるべく、通うようにはする。
学園生活というのは、楽しいものだしな」
「……!?」
「なんだエラン、その顔は」
「え、い、いえ?」
私は、正直びっくりした。だって、あのゴルさんが学園生活を楽しいって言ったんだよ?
なにかを楽しいって思う気持ちあったんだ……いや、そりゃあるだろうけど。
ここまで素直な気持ちを持っているなんて。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ゴルさんはコホンと咳払いをする。
「それでリリアーナ。俺が卒業し、正式に国王となった折には、婚姻の儀を同時に進めたいと思うのだが構わないか?」
「はい。
……はい?」
……その瞬間、場の空気が凍り付いた。
凍り付いたって言っても、実際に凍ったわけではない。それに、なんか修羅場的な意味でもない。
端的に言うなら……「なに言ってんだこの人」みたいな。
「ん、どうかしたか?」
当のゴルさんだけだ……いつも通りなのは。
この人は今、自分がなにを言ったのか気付いていないのか? どんだけ重大なことを、さらっと言ったのか。
ほら、当のリリアーナ先輩なんて全身固まっちゃってる。あのシルフィ先輩すら開いた口が塞がってないよ。
「ご、ゴルドーラ様……い、今なんと……」
ようやく言葉を出せたのは、リリアーナ先輩だった。
「ん? 聞こえなかったか? 俺が卒業し、正式に国王となった折には、婚姻の儀を同時に進めたいと思うのだが構わないか、と言ったのだリリアーナ」
それを受けて、ゴルさんは先ほどとまったく同じ言葉を返してきた。聞き間違いでも、言い間違いでもない。
婚姻って……あれだよね、つまりは結婚って意味だよね。婚姻の儀って……そういうことだよね!?
ってことは、これはあれだ……あの、噂に聞く……
「ぷ、プロポーズってやつー!?」
こういうことなんだよね!?
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