史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

848話 かわいい光景

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「にゃ、にゃう!」

「わふ、わふっ!」

 現在ベッドの上で、紫色の毛並みの生き物と黒い毛玉が戯れている。
 小さな二匹はお互いに、ぴょんぴょんと跳ねたり体当りしてみたり、好き勝手暴れている。

 片方は、ノマちゃんの使い魔妖精猫ケットシー。片方は、フィルちゃんの使い魔毛玉魔物。
 今二匹は、遊んでいるのだ。

「かーわいいですわー」

「ですわー」

 そしてそれを見ているノマちゃんとフィルちゃん……私にとってはその二人の姿こそかわいい。二人とも頬杖をついて、うっとりと使い魔を眺めている。

 寮の自室に戻ると、すでに戻っていたノマちゃんとフィルちゃんがそれぞれの使い魔を召喚して遊んでいた。
 予想はしていたけど、やっぱりって感じだ。

「二匹とも、すっかり馴染んだみたいだね」

 もふもふに関しては、前からここで過ごしているから今更だけど……妖精猫も、結構馴染んでいるように見える。
 気品あるプライドの高いモンスターに見えたけど、フィルちゃんのなでなでに応えたりとわりとオープンだ。

「でも、わたくしやっぱり……」

「ぐぅるる……」

 もふもふに手を伸ばすノマちゃんだけど、手が触れる前にもふもふが低く唸る。
 さっきまでぴょんぴょん遊んでいたのが嘘みたいな、威嚇行為。

「嫌われてるんですかねぇ」

 もふもふは最初からこんな感じだ。フィルちゃんはもちろん、他の子にもわりとすぐなついていたのに、ノマちゃんには全然なつかないのだ。
 毛を逆立て、睨みつける姿はどう見ても心を許しているように見えない。

 しかも、そうなった理由がわからない。最初から、なのだから。

「こらー、もふもふ。ノマおねーちゃんに吠えないの」

「くぅ……」

 こうしてフィルちゃんが注意して、一旦おとなしくはなるけど……やっぱり、気を許すことはない。

「構いませんわ。徐々に仲良くなっていけばいいですもの」

 しゅん、と落ち込むノマちゃんだけど、落ち込んだ様子は見せないよう気丈に振る舞っている。

 わけもわからずに嫌われるってのは、結構つらいものがあるのだろう。私もおんなじ立場だったら、落ち込んじゃう。

「それより、フィールドさんは相変わらずお忙しいのですねぇ」

 妖精猫の頭をつんつんと撫でながら、ノマちゃんが言った。

「そんなことは……なくもないけど」

「今日の成果の報告に、生徒会ではそろそろ次期メンバーも考えなければならないのでしょう?」

 一通りの話は、さっきノマちゃんに話した。てか愚痴った。

 来年の新入生が生徒会に入ってくる可能性はあるけど、去年も今年も一人だった。期待はできない。
 最悪入ってこない場合もあるし、そうなると来年からの生徒会は私とシルフィ先輩だけになる。

 それはさすがに、人数的にキツイ。

「そうなんだよねぇ。誰か、生徒会に入ってもいいって人いないかな」

 生徒会の忙しさは、みんな知っているところだ。いくら仲がいい相手でも、入ってくださいいいですよ、とはならないだろう。
 生徒会の仕事をちゃんと回せるくらいに優秀なのも重要だ。

 しかも先輩たちってば、同じ学年だから私が良く知ってるだろう、ってほとんど私に決定権委ねるしさぁ。

「まあ、ゴルドーラ様たちがいたころの生徒会は完璧な布陣でしたし、そこに入るのは抵抗ある人もいたでしょう。逆に、抜けた後は後で自分たちじゃうまく回せない、と思ってしまう人が多いと思いますわ」

「なるほどぅ」

 やっぱり、すんなりと見つけるのは難しいかぁ。
 あんまりそこまで考えてなさそう………って意味なら、ヨルあたりが思い浮かぶけど。

 ……ヨルを誘うってのもなぁ。筋肉男といい、なんでこうも優秀な人は私的にノーな人ばっかなんだ。

「そうなるとやはり、わたくしのように何事にも気後れせず、わたくしのように優秀かつエレガントで、わたくしのように気品あふれる人材がいいんじゃないかしら」

「なるほどねぇ」

「そう、わたくしのように!」

「うーん……」

「……」

 パシン、とおでこに衝撃が走った。

「わっ、い……ったくない。な、なになに?」

「ど、どうしたんですの?」

 多分、おでこを殴られた。でも、まったく痛くない。
 それもそのはずだ。私のおでこを殴ったのは妖精猫で、その手のひらには肉球がついているのだから。

 ……爪で引っかかれたら危なかったな。

「い、いったいどうしたんですのラーニャ」

 妖精猫を抱き上げるノマちゃん。どうやらその子はラーニャという名前らしい。

 ノマちゃんの指示ではなかったのか、今のは。私、なんかパンチされるようなことをしたかな?
 妖精猫は私を睨みつけ、にゃーにゃーと鳴いている。

「な、なんて?」

「えっと……わ、わたくしを無視した形になったことを、怒っているみたいですわ」

「あー……」

 なんと、それはノマちゃんのための行動だという。なんていい子なんだ。

「ごめんねー、無視したつもりはなかったんだけど……ええと、ノマちゃん、それって……生徒会に入ってもいい、ってこと?」

「ですわ!」

 ふふん、と胸を張るノマちゃん。そのなんと頼もしいことか。
 ノマちゃんが入ってくれるというのなら、それは心強い。ありがたい。私としても、断る理由はない。

「私も生徒会入るー!」

「……それは……無理かなぁ」

 ……ありがたい気持ちは、こっちにもあるけど……

 フィルちゃんの気持ちはありがたいけど。さすがに、無理です……
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