史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

881話 負けるのは嫌だな

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「!?」

 後頭部への衝撃は、私の意識を一瞬飛ばす。そして、この状況で一瞬とはいえ意識が飛ぶことの危険性を、私はわかっていた。
 前方、後方共に魔力を限界まで引き上げたラッへ。ここで私が意識を手放したらどうなるか……それは、私の負けを意味する。

 ……嫌だなぁ。

「……え!?」

 意識を手放す刹那、ラッへの困惑した声が聞こえた。


 ――――――


「……あれ?」

 それは、数秒にすら至らないくらいに短い時間だったんだろう。私は、目の前の光景に声を上げた。

 なんで……私がラッへを押し倒して、マウントを取ってる形になってるんだろう。それに、残っていたもう一人は?
 キョロキョロと辺りを見回していると、下にいるラッへが「ははは」と乾いた笑みを浮かべた。

「やっぱり強いやエランちゃん……降参だよー」

「へ?」

 両手を上げ、降参だと言うラッへ。その表情は、悔しさの中にも笑顔があった。

 私は、状況がわからないながらもゆっくりとラッへの上から退く。
 それから起き上がるラッへに手を貸しつつ、私は気になっていたことを聞いた。

「えっと……ラッへ。私、なにかしたの?」

「え、覚えてないの?」

「頭蹴られて、そこで一瞬意識が飛んだような気がするんだけど」

「なんだかそこだけ聞いたら、私すっごい悪いことしてるみたい」

 私とラッヘは隅っこに移動し、壁を背に座る。
 それから、ラッヘはぽつぽつと話し始める。

「私がエランちゃんの後頭部を蹴った直後、エランちゃんが私の足首を掴んで地面に叩きつけたんだ」

「おぉう……」

 思いの外ヘビーなことを、サラッと言うなこの子は。
 というか、私もそんな思い切ったことしていたのかよ。

 意識はなかったけど……防衛本能ってやつだろうか。私の後頭部を蹴った足を、その足首部分を掴んで投げ飛ばした。

「で、残った私が油断しているうちに押し倒されちゃって。そのタイミングで、魔法の効果も切れちゃったわけ」

 魔力を限界まで引き上げる魔法、限界魔力オーバーブースト。それが切れたタイミングと、私が意識を取り戻したタイミングはほとんど同時だったってことか。

「なるほどね。私ってば自分でも知らないうちにそんなことやってたんだ」

「まさかあんな動きをされるとは思わなかったからね」

 私の防衛本能がラッヘを押し倒して、そこで魔法が切れた。だから、体力も魔力もなくなって降参したってわけだ。
 効力はすさまじいけど、切れてしまったらもうなにも手立てがなくなる。使いどころの難しい魔法だ。

「すごい魔法だったよ。あのまま続いてたら負けてたかも」

「すごいって言うなら、エランちゃんだって。なんなの、あの髪が白くなるやつ」

 ……ま、気になるよなぁ。

 私は自分の髪を触る。どうやら、もう黒に戻っているみたいだ……意識を手放した時にでも、元に戻ったのだろうか?
 あれはなんなのか、か。

「私も、よくわかってないんだよね」

「わかってない?」

 この状態は、ラッヘも見たことがあるだろう。魔導大会がまさにそうだ。
 でも、その頃の記憶は今のラッヘにない。記憶喪失後のラッヘに、この状態を見せたことはない。

 ま、見せるもなにも私自身この状態になる方法もわかんないし。これも、久しぶりだし。

「どうやら、魔力が昂ぶった時……に、髪が白くなる? みたいな?」

「ふむ……?」

「髪が白くなってるなんて、私も言われるまで気付かなかったんだよ。ただ、その状態のときは妙に気分がいいというか」

 髪が白くなっている、と言われた時。私がテンションがハイになっている時と重ねると、髪が白くなった時にハイになっている……ということだろうな。

「そっか。なんか、その時のエランちゃんの魔力すごかったよ。いや、普段からすごいんだけど、それ以上というか」

 これもまた、私自身わかってない。けど、どうやら私から放出されている魔力がすごいことになっているらしい。
 対峙したダルマス曰く、正面に立っているとバチバチとまるで電気でも流れているんじゃないかって感じになったんだとか。

 まあ、端的に言えば……この状態の私はすごく強くなってる、ってことなんだろうけど。

「いつからなの?」

「多分、初めてそうなったのは魔導大会のときかな。あ、魔導大会ってのは各地から集まった魔導士がね……」

 ……自分でわからない現象なら、自分でもわからないうちに髪が白くなったりしていたのかもしれない。
 でも、少なくとも学園に来てからそういうことなはないだろう。あったら、誰かしら指摘しているはずだし。

 学園に来る前だって……もしそうなったとしたら、師匠がなんか言ってくれたはずだし。
 いくら抜けている師匠でも、それを伝え忘れるなんてことはないだろうし。

「みんなは、そもそも髪の色が変わることが普通じゃないとは言ってるんだけどね」

 元々この黒い髪は、目立つ。そこに、髪の色が変わるなんて現象が発生したわけだ。
 私、知らないだけでかなりの有名人になっているのかもしれないな。

「一応聞くけど、髪が白くなってる間も意識はあるんだよね?」

「うん。ただ気分が上がってるだけだよ」

 自分でも意識がなくなって、変なことをしているなら問題だけど。意識ははっきりしているんだ。
 まあ、ラッヘに対する防衛本能は……それとは関係ないと思うんだけどね。そもそも意識がなくなったら髪も元に戻ったんだし。
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