史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十二章 中央図書館編

976話 私ならできる

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「どうしてこんなことに……」

 私たちは、訓練場にいた。目的は、授業で組手をするためだ。
 身体を動かすため制服から運動着に着替えたわけだけど……朝もそうだったけど、着替えるだけでも一苦労だった。

 なのに、よりによって今日組手だなんて……

「魔導の練習とかならまだいいのに……」

 魔導を使った授業とかなら、その場に立って魔法撃ったりしてればまだよかったんだけど……

 いっちばん身体動かす奴やんけぇ。くそう。

「他学年試合も近いからな。各々、魔導以外でも身体能力を高めることも重要だ。以前、フィールドがそれを示しただろう」

 と、先生が言う。

 以前って……多分、ダルマスと勝負した時のやつか。
 あのときはほとんどを身体強化の魔法で立ち回ったもんね。その直前の授業で、身体強化の大切さをやっていたから、それを見せつける意味でも。

 先生の言葉を受けて、みんなの視線がこっちに向く。
 なんだろう、その期待しているような目は。

 ……あたたぁ……やっぱり先生に言って、欠席させてもらおうかなぁ。

「フィールド、みなお前に期待しているみたいだな。いろいろと指導してやってくれ」

 なんか任されちゃったんだけど!

 結局身体が痛いのは言い出せないまま、授業が始まってしまった。
 組手の授業。それぞれ自由に相手を決めて、魔導なしで組手をしようと言うのだ。

 まずは基礎体力。身体強化の魔法は基礎体力が元になっているので、魔法を使ってやってもあまり意味はない。

「私は適当に、授業に参加している風を装ってサボっちゃお」

 男子は男子で、女子は女子で組む相手を決めているのを確認して、私は影を消してみんなを観察する。
 よぉし、私はこのまま隠れてやり過ごしてしまえ……

「エランさん! 私と組んでくれませんか!?」

「う!」

 しかし、回り込まれてしまった。

 透明魔法でも使えばよかったか……いやそれはそれで不自然だしなぁ。微弱な魔力の気配でも気取られるわけにはいかないし。
 私は目立つから、完全に姿が消えるとそれはそれでバレてしまいかねない。

 まあ、見つかってしまったものは仕方ないか。

「か、カリーナちゃん……」

 声をかけてくれたのは、カリーナちゃん。
 いつもお茶会に誘ってくれる、ノマちゃんとはまた違った感じのお嬢様だ。

 ……そう、お嬢様だ。

「わ、私……と?」

「えぇ!」

 なんかすごい個人的なイメージだけど、お嬢様って組手とかあんまり得意そうじゃない。というか身体を動かすのが得意そうじゃない。
 今日までの授業でも身体を動かしてきたりはしたし、身体強化の魔法を使っての練習だってしてきた。

 でも、素で……か。

「私は……その……」

「ぜひ! 一緒にやりましょう!」

「……」

 わー、すっごい目をキラキラさせてるぅ。断れないよこんなのぉ。

 うぅ、身体痛いって正直に話すべきかなあ。でもせっかく誘ってくれた相手に、気を遣わせるようなことは……
 はぁあ、筋肉痛も回復魔術で治せればいいのにぃ。

「も、もちろんいいよ。やろう……」

「やったぁ!」

 いや、深く考えるな私。相手はまだまだ伸び盛りの少女だ。
 言っちゃあなんだが、私の身体能力は同年代の中でも飛びぬけているだろう。

 ここは、うまい具合にカリーナちゃんをかわしてしまおう。私ならできる。
 オートラインさんだって言ってたじゃないか。力を受け止めるのではなく受け流す、それは素の戦いでも役立つと。

 これは戦いじゃないけど、カリーナちゃんの力の流れをうまい具合に受け流せば、私への負担は小さいはずだ。多分!

「では、さっそく行きますわよ!」

 私とカリーナちゃんは対面し、それぞれ構える。
 できることなら身体を動かしたくない。構える程度ならまだしも、走ったり飛んだりなんてもってのほかだ。

 なるべく動かず、それでいて力を受け流す感じで……

「てやー!」

「!?」

 すると、カリーナちゃんがいきなり突っ込んでくるではないか。
 考えてみれば、そうだ。これは組手なのだから……相手に向かっていくことは、なにも不思議じゃない。

 そう、不思議じゃないことなのに……なぜか私の反応が遅れてしまった。
 まさかカリーナちゃんがこんな動きをしてくるだなんて、思わなかったのだろうか。

 そのまま、カリーナちゃんは体勢を落とし、私の懐に。相手から位置を落として向かってくるなんて、基本を抑えている。
 だけど、私は元々背が高い方じゃない。だからこの程度、目くらましにもならない。

 ……のだけど。

「うぐぐ!」

 カリーナちゃんの動きを目で追い、すると身体が動く。多分、本能的なものだ。
 そのせいだろう。身体がビキビキと痛みを訴える。

 その隙をついたカリーナちゃんが、私の懐に潜り込み、手首を掴む。ビリビリと電気が走る。
 魔法で電気を流されているわけじゃない。あくまで比喩的な表現だけど。

「せぇええええ!」

「え、ちょっ……ぅおぉおおお!?」

 さらにカリーナちゃんは、私に背を向ける動きと同時に私の手首を引っ張る。それを肩へと回していく。

 要は、背負い投げの動き……私はそれを、ただただ受けていた。
 だって、抵抗しようにも身体が痛……ってそれどころじゃない!

「ま、待った待った! 今そんなことされたらぁ……」

「うりゃぁああああ!」

 私の制止の声も、カリーナちゃんには届かない。
 もう投げ飛ばしのモーションに入っているし、夢中になって聞こえない。聞こえても、動きを泊まることなんてできない。

 そしてカリーナちゃんは、見事な動きで私を背負い、それを引っ張るようにして私をぶん投げて……

「おぶふぁあ!?」

 ……私の視界は一回転し、気付いた時には背中に凄まじい痛みが走っていた。
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