俺が作ったダンジョンが次々攻略されるんだが 〜最強ダンジョン攻略者をぎゃふんと言わせたいダンジョン創作者の話〜

白い彗星

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ダンジョン創造者とダンジョン攻略者

第1話 ダンジョンを作る者

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「よーしよし、そこだいけいけ!
 ……だぁあ、惜しい!」

 俺は、目の前にある複数の"モニター"越しに映るそれらを眺め、その画面の奥で起こる光景に一喜一憂していた。
 そこに映るのは、薄暗い洞窟の中。そして、複数の人間たち。

 俺こと零無 零ぜろなし れいは、なにを隠そう一度死んでいる。驚くかもしれないが、これは事実なのだから仕方がない。
 だが、突然そう言われても、受け入れがたいだろう。死んでいる人間が、こうして動いて、それどころかはしゃぎまわっているのだから。

 死んだはずなのに、そこで人生が終わらず……正確には一度終わったのだがそれは置いておいて……人生が終わらず続いている理由。それは、俺が転生したからに他ならない。
 そう、漫画やラノベでよくあるだろう。異世界転生というやつだ。とはいっても、死んだ理由は実はあまりよく覚えていない。

 ただ、元いた世界で死んだ……それだけはわかっていた。死の原因だけ、もやがかかったように思い出せない。でも死んだのはわかっている。妙な気分だよな。
 で、次に意識が目覚めたら、真っ白な空間にいて目の前には自称女神を名乗る女がいて。
 まああれだ、異世界ファンタジーもののお約束だ。

 で、女神様はこういうわけだ。


『あなたはその命と引き換えに一つの幼い命を救いました、それはとても立派な行いです。そんなあなたの望みを一つ叶えましょう』


 ……と。
 どうやら生前の俺は、誰かを助けることで命を落としてしまったらしい。なんというか、誰かを助けられたのならそれは意味のある死、というやつだったのだろうか。

 本来死ぬはずではなかった運命だったが、子供を助けるために運命が捻じ曲げられ、続くはずだった俺の人生が終わって……と、小難しい話を言われたが、まあ細かいことはどうでもいい。

 ともあれ、望みを叶えると言われた俺は考えた。めちゃくちゃ考えた。こんなシチュエーションをもう妄想してこなかったわけではない。なんせ花の男子高校生だ。妄想力の貯蔵は充分だ。
 転生する先の世界で、どんな望みを叶えるか。チート能力? ハーレム? 安定した収入?

 だがまあ、いくら生前にシミュレーションを重ねていたとはいえ、いざその時が来てしまえば、考えていたことなんて吹っ飛んでし、なにが正解かなんてわからないものだ。さてどうしよう。
 しばらく頭をひねって、出した答えが……


『ダンジョンを作りたい』


 ……女神様はあっけに取られていたが、それが俺の本気の望みだと知ると、やわらかな笑みを浮かべていた。ちなみに、女神さまは全身が発光していたので、顔もよくは見えなかったんだけどな。
 女神と名乗る彼女。ともあれ、俺の願いは叶えられた。

 そして現在、俺はこの白い空間で、数台のモニターを前にして座っている。モニターに映っているのは、洞窟……つまり俺が作ったダンジョンの中だ。
 俺はこのモニターを使って、ダンジョンの中をモニタリングしているということだ。

 どうしてたった一つの願いをダンジョン創作なんかに使ったのかって?
 それは俺が、ダンジョンが大好きだからだ!

 生前、数々のライトノベルを読破してきた俺にとって、異世界ものの『ダンジョン』というものは強く惹かれたものだ。
 数々の冒険者が挑み、悩み、進み……モンスターを、ボスを倒した果てに、お宝をゲットする。

 そんな夢みたいな空間を、いつか俺の手で創造してみたいと。何度妄想したことか。普通の人間ならば、ダンジョンを作るのではなく、挑む方向で進んでいくのだろうが……
 俺は、ダンジョンを作りたかった。それだけだ。

 そう、俺は……ダンジョンを創作し、そのダンジョンに挑む冒険者をモニタリングしていく。そして、何人もの冒険者が何度も挑んだ末に、ダンジョンを攻略する。それを、この目で見届ける。

 それが、俺の望んだもの。

「相変わらず、変な願いを持ったもんすねぇ。主様ぬしさま

「うるせ」

 俺がダンジョンへの熱い思いに打ちひしがれている横で呆れた声を漏らすのは、俺の……なんだろう。ペット、ではないし……相棒?
 とにかく、この白い空間に一人ぼっちは寂しいので、俺が創造した話し相手だ。俺の腰ほどの高さもない、二足歩行のうさぎといった感じだ。

「ダンジョンが好きなら、ダンジョンに潜る冒険者になればいいじゃないすか」

 無機質な声に、感情が乗り始めたのはいつからだろう。
 ともかく、その指摘に俺はため息を漏らす。

「はぁ、いつも言ってるだろ。
 俺はダンジョンを攻略したいんじゃない。紆余曲折の果てに攻略されるダンジョンを作りたいんだ!」

「えぇ、いつも聞きます。よくわかんねぇっすね」

「おー、そうだろうとも」

 そうだ、俺はダンジョンが好きだが、自分が攻略したいわけじゃない。
 難易度の高いダンジョンを作り、しかし決してクリアできない設定ではない……冒険者たちが何度も挑んだ果てにクリアできる。
 そんなダンジョンを、作りたい。

 聞いたことがある。ゲームを作る人は、プレイヤーがクリアできないゲームを作るわけじゃない。どんなに難しくても、いつかはプレイヤーがクリアできる……そんなゲームを作っているのだと。
 ダンジョン作りも、ゲームと同じだ。

 俺はダンジョンを創造し、各地に様々なダンジョンを作り出す。それを、冒険者たちが幾度の挑戦を経て攻略する……それを、繰り返していく。
 それが、俺が転生したこの世界で、選んだ人生だ。

 そして、このダンジョン創作には、もう一つの目的がある。
 それが、"ダンジョン配信"だ。
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