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ダンジョン創造者とダンジョン攻略者
第2話 ダンジョン創作と配信、それこそ娯楽
しおりを挟む「こんな場所に閉じこもって、延々と攻略されるダンジョンを作り続ける……
聞けば聞くほど変態な趣味っすね」
「うるせ」
ちなみに、うさぎっぽい見た目なので『ラビ』と名付けたこいつだが、俺が作り出したとはいえなにもエア会話をしているわけではない。
こいつには意思がある。創造物に意思なんて宿るのか疑問だが、まあ異世界なんでそういうのもありかと考えておく。
なので、俺が自分で答えを考えて会話をしているかわいそうな奴ではない、ということはわかっていてもらいた。
この世界には迷宮と呼ばれるものがある。それは自然発生するものだが、俺が望んだのはダンジョンを自分で作ることのできる力。
なお、この世界はゲームのように人が死なない、なんてことはなく、当然人死には出る。が……俺の作ったダンジョンに関しては、絶命したらスタート地点に強制送還されてしまうだけで、死にはしない。
ゲームで言う、リセット機能のようなものだ。どうして俺のダンジョン内での死は死にならずリセットになるのかはわからないが……これも、女神さまの与えてくれた恩恵だろう。
おかげで、容赦なく手強いダンジョンを作ることができる。俺はなにも、人が死ぬようなダンジョンを作りたいわけじゃないのだから。
そうそう、女神さまの恩恵で、もう一つ俺に与えられたものがある。
それが、『ダンジョンの配信機能』というやつだ。
「さてさて、こっちも盛り上がってますなぁ」
モニターの一つを見ると、そこにはダンジョンの光景が映っている。しかし、それだけではなく、白いコメントがいくつも、横にスクロールしている。
これは、俺が見学しているダンジョンの様子を、配信しているのだ。どこにって?
配信先はなんと、俺の故郷日本だ。日本に向けて、この動画は配信されている。
どういうアレがアレして、この異世界の光景が日本に……あぁ今の俺にとっては、日本が異世界なのか。
まあともかく、どういう理屈で世界の違う日本に動画配信出来ているのか知らないが……このコメントは、配信した動画に対して反応してくれた、視聴者の皆さんのものだ。
日本への、ダンジョン動画配信。もちろん、これが異世界から配信されているなどは誰も思いもしないだろう。
ゆえに、この動画はとんでもない人気を叩きだしている。
『これ作り物じゃね?』
『それにしてはリアル』
『あれ冒険者ってやつ? なにかの企画じゃない?』
『女の子かわいい。男はいらん』
『どうせならHPとか出してくれた方がわかりやすいのに』
『死んでもスタート地点に戻るとかぬる過ぎじゃね?』
『ずいぶんリアルなゲームだな』
『ダンジョン博士の動画神』
『ダンジョン博士とかダサくね』
……などなどと、いろいろなコメントが流れていく。
異世界からの配信と知らない皆さんは、この動画のクオリティにまず驚く。作り物にしては手が凝っているとか、リアルな描写が良いとか。
それはそうだろう、これは作り物ではないし、リアルなのだから。
動画の視聴回数、いいね数などに応じて、動画には収益が入る。入った収益は、どうやら日本円ではなく異世界での金らしいのだ。
らしい、というのは、実際に金を引き出したことがないからだ。この空間にいたら腹も減らないし喉も乾かない。娯楽もダンジョン創作アンド配信がある。
金を使うことが、ないのだ。なので、まあほどほどに溜まっているのだろう。
ちなみに、"ダンジョン博士"というのは、俺の配信者名だ。
別に深く考え抜いてつけた名前でもない、そこまで思い入れがあるわけでもない。だから、別に名前に突っ込まれてもどうとも思わない。
『いやダンジョン博士とかないわ、小学生かよw』
「うっせーばーか!!」
流れて来たコメントに、つい突っ込んでしまった。おっと俺としたことが。
小学生なんて失礼な。俺は大学生だ。それも生前の話だけどな。
理由はわからないが、この配信機能だけはこの世界と日本とを繋ぐことができる。なので、なんとかして日本の状況を確認できないかとも考えたが……やめた。
自分が死んだ後の世界なんか知っても、虚しいだけだ。なにかの拍子で、残された家族とか見ちゃったら、泣いちゃいそうだし。
今俺が集中すべきは……そう、ダンジョンを作る。そして配信する。充実したこの日々を過ごすこと。
作ったダンジョン。挑む人たちは、それに当たって砕けたり、クリアしたり。その、繰り返し。でも、それなりに、充実した日々。
そんな毎日を過ごしていた頃だ。
突如として、"アイツ"は現れた。
「あ、来ましたよ主様」
「……あぁ」
モニターの向こうに、一人の女性が現れる。
彼女はとてもきれいな身なりをしているとは言えない。なにを隠そう冒険者だからだ。だが、着ているものは汚れていても、その美貌まで損なわれるわけではない。
燃えるような真っ赤な短髪。キリッとした鋭い目。軽微の鎧を着用しているため、スタイルははっきりとはわからないが多分理想的なボディラインをしている。ボンキュボンってやつだ。
そして……俺にとっては、天敵とも言える女。
名を、冒険者クレナイと呼ばれている。
『クレナイちゃんキタキタ!』
『今日も華麗なダンジョン攻略オナシャス!』
『いやそろそろクレナイが挫折するとこ見たい』
『は? クレナイは最強だから』
「クレナイめ、今日こそぎゃふんと言わせてやる!」
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