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転生魔王は友達を作る

さなの心境

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 デートが終わった日の夜……
 お風呂も済ませ、ご飯も食べ、もう寝るぞと自室にこもったさなは……手に、ネックレスを握りしめていた。

 パジャマに身を包み、じっとそれを見つめる。

「……ふふっ」

 それは、今日のデートの記念だとして、真尾がプレゼントしてくれたものだ。
 正確には、互いにプレゼントし合った、というべきものだが。

 女友達と、物を交換し合うのは珍しい話ではない。
 だが、男の子相手ともなると、さなも初めての経験だった。

 不思議と、あたたかい気持ちになった。

「……あ、あいちゃん」

 ふと、枕元に置いてあったスマホが、誰かからの着信を知らせる。
 スマホを手に取り、表示された画面を見ると……そこには、今日デートのことを相談した、あいの名前。

 画面をタップし、電話に出る。

「もしもし、あいちゃん?」

『も、もしもし。さなちゃん』

 電話口の向こうから聞こえるのは、間違いなくあいの声だ。
 聞き慣れた声に、さなの胸の奥はあたたかくなる。

「あいちゃん、今日はありがとうね」

『え?』

 あいがなにを言うより先に、さなは口を開く。

「あいちゃんに相談したおかげで、自分でも落ち着けて今日に望めたと思う。
 今日は楽しかったから」

『そ、そっかぁ。それはよかったよ』

 なんだか、電話口の向こうから聞こえるあいの声が、震えているような気がする。
 なんというか……まるで、なにか罪悪感を感じているような雰囲気。

『えっと……ごめん、さなちゃん!』

「え?」

 いきなり謝罪を口にされ、さなは驚きに震える。
 あいから電話があったということはなにか用事があったのだろうが、これが用事なのだろうか。

 だが、さなにはあいに謝られる覚えが、ない。

「ど、どうしたの、あいちゃん?」

『じ、実は……』

 それから、あいは謝罪の理由を話し始めた。
 今日のデート、あいはさなと真尾を尾行していたのだ。
 ついでに、鍵沼も。

 さなは、驚いた。尾行されていたことにまったく気づかなかったし、その尾行に真尾は気づいていたというのだ。
 そんな素振り、まったく見せたかったというのに。

 顔が見えなくても、わかる。
 きっとあいは、気まずそうに目を泳がせているのだろう。

「ふふ」

『さ、さなちゃん?』

 気づけば、さなは笑っていた。

「別に、怒ってないよあいちゃん」

『ほ、本当?』

「だって、心配してそんなことをしたんでしょ?
 そりゃ驚いたし、少しは恥ずかしいけど……」

 そう告げるさなの顔は、赤かった。
 なにか、恥ずかしい場面を見られていないかと、思い返していたからだ。

 だからといって、怒るつもりにはなれない。

『うぅ、さなちゃんも光矢クンも優しいなぁ』

「あはは、大袈裟だよ」

『あの、それで、さ……どうなの、光矢クン』

「ど、どうって……?」

『いやぁ、結構いい雰囲気だったからさぁ。このまま付き合っちゃうのかなって』

「そ、そういうのはまだわからないよぉ」

 その後、主にさながあいにからかわれる形で……彼女たちの通話は、夜遅くまで続いた。
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