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死に戻り勇者、軌跡を辿る
魔との戦い
しおりを挟む背中は仲間に任せた。もしかしたら、背後から刺されるかもしれない……そんな予感が、一瞬だけ頭をよぎった。
だが、そんなことを考えていては、この先……いやこの場を切り抜けることはできない。打算的に考えても、この状況で俺を戦線離脱させるメリットなんて、ないのだから。
だから、俺は目の前の魔物にのみ、集中する。
「どりゃああああ!」
両手で握り締めた剣を振るい、魔物をぶった斬っていく。魔物の固い皮膚も、簡単に斬れる。
どうやら、【勇者】の力は武器を完璧に扱えるようになるだけでなく、武器の性能も引き上げてくれるらしい。
そのおかげで、魔物相手にも渡り合うことができる。
「俺様の前に、沈みやがれ!」
高らかと声を上げ、ゲルドは舞うように魔物を斬りつけていく。両手に持った短剣で、一撃のもとに魔物を沈めていく。
弱所を正確に突き、反撃する間もなく倒していく。やはり、ゲルドの戦闘センスは大したものだ。
「ぬぅううううぇえええい!」
ドゴッ……と、少し地鳴りが響く。それは、ドーマスさんが地面を殴り、それによって地面が割れたせいだ。魔物は、次々地面の裂け目に落ちていく。
な、なんて人だ……強制的に、複数の魔物を戦闘不能にするなんて。
「けど、これなら……いける!」
初めは、どうなることかと思ったが……この調子でいけば、魔物の大群も倒しきれるはずだ。新たに出てくる様子はない、炎の壁で分断されている魔物も簡単に倒せてしまえる。
もちろん、油断は禁物だが……希望が、見えてきた。
「……! みんな、気をつけて!」
勝利は目前……そんなときだった。ふと、本能が告げる……危険が迫っていると。とっさに声を張り上げ、上空を見た。
そこには、翼をはためかせ飛ぶ数体の魔族がいた。
「あれー、まだ終わってねぇの?」
「魔物だけじゃ約不足だったってことか?」
魔族……それも、この間の奴みたいに一体だけじゃない。三、四……五体も、いる。
魔物の大群に囲まれているこの状況で、あんな複数の魔族まで出てくるなんて。
……これも、前世にはなかった流れだ。やはり、ここは過去とはいっても、なにもかもが同じように流れるわけではないらしい。
「ゲルド! ドーマスさん!」
「わかってらぁ!」
「んん!」
二人にも、魔族の存在を知らせる。どれも、かなり強い個体だ。
魔物の相手をしながら相手をするのは、さすがに骨が折れるか……
「人間にしてはやるようだ。ここは慎重に……」
「はっ、めんどくせぇ! んなんこうすりゃしまいだろうが!」
「! おい!」
魔族がなにやら話している……が、そのうちの一体が、凄まじい魔力を放つ。手を上げたかと思えば、その手のひらに凄まじいエネルギーが溜まっていくのだ。
以前見た、エネルギー弾……しかし、それとは比べ物にならない威力と大きさを持ったエネルギー弾が、躊躇なく放たれた。
「マ、ッジかよ!」
上空から、強大なエネルギーの塊が降ってくる……それは、俺たちを一瞬で消し去るほどの威力、そして大きさだ。
あの魔族は、この一帯にいる魔物共々、俺たちを消すつもりだ!
「リリー!」
「うん!」
俺は、リリーへと声を張り上げる。リリーは力強く応えてくれたあと、集中力を高め……【絶対防御】の、開花した力が発揮される。
俺、ゲルド、ドーマスさん……三人にそれぞれ、防御の力が付与される。これは【絶対防御】と同様の力を持つ、ものだ。
リリーは訓練の末、自分を中心として【絶対防御】を展開する以外に、離れたところにいる他者に己の『スキル』と同様の防御力を付与することに、成功した。
これで……
「……あぁ?」
エネルギー弾は、衝突した……地上にいた魔物も空にいた魔物も巻き込まれたものは消滅し、あとには焼けた荒野が残っていた。
……防御の力を付与された俺たち、【絶対防御】下にあるリリーたちを除いて。
「! バカな……あの攻撃を受けて、傷一つついていない!?」
「はっ、ありがとよ! あんだけいた魔物を殲滅してくれてよ! あんた俺たちの味方じゃねぇのか?」
ゲルドの挑発に、魔族が怒りに顔を歪ませる。
確かに、あの魔族の攻撃のおかげで、魔物は残らず消滅した。これで、かなり楽になる。
後は……あの魔族を、片付けるだけだ!
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