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死に戻り勇者、第二の人生を歩む
ぜひ我がチームに!
しおりを挟むAランク冒険者チーム『銀の牙』。そのリーダーらしき男から、俺は勧誘された。
「俺を……勧誘?」
「そうとも! キミがかなりのやり手なのは、コアプテラを単独で倒していることからも明らかだ。オレは、キミのような人材がほしい!」
リーダーの男は、俺がコアプテラを倒した実力者だから、誘ったというのか。まあ、妥当だろうな。
「俺が、コアプテラを倒したって……信じるのか?」
「これでも、相手が嘘をついているかいないかの、区別くらいはつくつもりさ!」
この男、いちいち動きが大げさだが、それなりに人を見る目はあるらしい。
俺より少し年上くらいだが……Aランクということもあり、かなりの実力者であることは間違いない。
「もう一度言う……オレは、キミがほしい!」
「略すな、いろいろと」
改めて求められる。まあ、実力を認められて勧誘されるというのは、悪い気分はしない。
しかし、俺は冒険者になるつもりはない。どこかのチームに、一時的にでも入ることも。
「悪いけど……」
「自己紹介がまだだったな! オレはライバー、そして頼れるオレの仲間が……」
「プラです」
「マイです」
「あ、どうもアーロです……」
自分の意見を言う前に、向こうから自己紹介されてしまった。つられて俺も、自己紹介。
うむ、プラと名乗った子はリーズレッテほどではないが露出多めな服。多分近接戦闘を得意とするタイプだな、動きやすさ重視の格好だあれは。
対してマイと名乗った子は、黒いマントに黒い帽子と、さらには身長ほどもある大きな杖を持っている。後方支援タイプだろう。
で、リーダーのライバーが腰に剣を刺しているから、剣使いってところだな。
「そうか、アーロ! ぜひ、キミも我がチームの一員に!」
「いや、だから……」
「あのぉ……とりあえず、コアプテラの報酬のお話をしてもいいでしょうか?」
なんとかライバーの勧誘をお断りしなければ……と思っていたところへ、恐る恐るといった感じに声がかかる。
それは、ライバーたち登場により話を中断してしまっていた、受付の人であった。
あちゃあ、今まで放置してしまっていたのか。申し訳ないことをした。
「あぁ、すみません受付さん。お願いします」
「はい。『銀の牙』の皆様、すみません」
「いえ、こちらが乱入してしまったようなものですから」
意外と礼儀はちゃんとしているんだな、『銀の牙』。
それから、俺はコアプテラを引き渡し、報酬をゲットした。それは、結構な量があり、一ヶ月はなにもしなくても食っていける金額だ。
コアプテラというモンスターの脅威。なにより、被害が広がり依頼として出されていたものが、大きかったようだ。
「はい、これで終わりですね。あの……」
「はい、なんですか?」
「『銀の牙』の皆さんではないですけど。冒険者には、ならないんですか? お客様でしたら、間違いなく高ランク冒険者になれますよ!」
受付の人も、俺に冒険者を勧める。
ギルドとしては、有能な冒険者が一人でも多くほしい、ってことなんだろうな。それに、所属している冒険者が高ランクならば、そのギルドの泊も上がる。
だが……
「すみませんが、俺は冒険者をやるつもりはありません」
「……そうですか。残念ですが、仕方ないですね」
あくまでも、本人の意志が重要……そう言うかのように、3受付の人は笑みを見せ、小さくうなずく。
「ですが、もし気が変わったときにはぜひ、この冒険者ギルドへ訪れてください。その時は、私カーリッサをよろしくお願い致します」
受付の人……カーリッサさんは、またいつでも利用してくれと言い残し、店内へと戻っていった。ちなみにコアプテラは、店の従業員数人でどこかに運んでいった。
最後まで、商売根性の強い人だったな。
「さて、話は終わったかな!」
「あ……」
そうだ、まだ終わってなかった。ちょっと面倒なのが、残ってたんだった。
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