死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~

白い彗星

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死に戻り勇者、第二の人生を歩む

モンスター退治

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「さて……これで、いいかな」


 ハイプテラの大群をなんとか倒した俺たちは、動けないハイプテラたちを一箇所に集めた。

 すでに死んでしまった者は、残念だが火葬して弔う。モンスターを殺すのは生態系に響くのだが、今回に関しては仕方のないことだろう。


「精霊よ、お願い……!」


 ボッ……!


 マイが、精霊術を使いハイプテラの死体を、燃やしていく。人里を襲う凶暴なことをしでかしたわけだが、そこに弔いの気持ちがないというのは、また別の話だ。

 そして、死体を燃やした後、息のあるハイプテラを拘束していく。精霊術により、翼を固定するのだ。


「空を飛ぶモンスターは、翼を封じれば地上のモンスターよりも、実は行動力は減るんだよ」

「へー、よく知ってるな」

「!ま、まあ、たまたま、ね?」


 しまった、あんまりモンスターに詳しいと妙な勘繰りを持たれるな。自重しなければ。

 生き残ったハイプテラは、見た目は普通のハイプテラと変わりはない。妙な気配も感じないし……

 さっき襲ってきているときは、興奮した目をしていたが……


「今は普通の目、か」


 気絶しているため無理やりまぶたを開けると、目を確認。うん、やっぱり変わったところはないか。

 軽く体を触ってみるが……うーん、よくわからないや。

 ……もし、ここに【鑑定眼】を持つゲルドがいたら、内部の異常があるかどうか、わかったかもしれないが。


「ハイプテラか……意味もなく人里を襲うモンスターじゃねぇよな?」

「あぁ。別にあいつらの縄張りを荒らしたわけでもないしな」


 他の冒険者も、不思議そうだ。その口ぶりから、ハイプテラに襲われるのは、初めてのこと……ということか。

 モンスターが、人里を襲う。それをはっきりとこの目に目撃し、俺は考える。まあ考えても、答えは出ないが。

 モンスターが、自発的に人里を襲う。それは、考えにくい。となると……


「誰かが、モンスターを操って人里を襲わせてるとか?」

「バッカ、誰ができるんだよそんなこと」


 別の冒険者が、口々に話している。モンスターを操っている、誰かの存在。

 ありえないことだと笑い飛ばしているが……実際俺もありえないとは思うが……


「可能性としては、視野に入れておくべきか」


 結局、ハイプテラから得られる情報はなにもなく。あとは冒険者ギルドの方で対処すると言って、カーリッサさんたちが引き受けてくれた。

 俺はというと、多少の謎を残しつつ、ラーダ村に帰ることを決める。


「もう帰っちゃうのか。せっかくだから一緒に飲もうかと思っていたが」

「それはまたの機会に、な」


 もう何度目かになる、ライバーとの握手。俺としても、彼と飲み明かしてみたい気持ちはあるが……

 ……モンスターの活性化が起こりこの町が襲われた以上、隣村であるラーダ村も、無事であるという保証はない。

 心配だ。早く、戻りたい。


「じゃあ、また」

「あぁ、また」


 その後、ダガさん、サーさん、ラニーさん、リーズレッテとも改めてお別れを済ませ、俺はセント町を発つ。

 今から全速力で走れば、夜までにはラーダ村に帰れるだろうか。


「思った以上に、時間がかかっちゃったな」


 コアプテラの引き渡し、ライバーとの決闘、そしてハイプテラの大群の撃退。これらの行為に、時間を取られてしまった。

 結果的に、あそこに残ったことで人的被害を防げたと思えば、いいことだがな。


「ちょっと急ぐか」


 モンスターに襲われたこと……それは、エフィたちに話しておこう。不安にさせるかもしれないが、なにも知らないよりも知っておいたほうがいい。

 それに、遅くなった理由として……話さないわけには、いかないからな。

 ハイプテラとの戦闘で疲れこそあるが、だからといって休んでもいられない。夜道は危険だ、まだ明るいうちに進まなければ。


「お、見えた」


 そして……ラーダ村が、見えてきた。
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