死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~

白い彗星

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死に戻り勇者、因縁と対峙す

兵士たちの本音

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 モンスターの活性化……それが起こっているのは、各地でだ。しかし、その場所には一種の法則性のようなものがあった。

 モンスターが確認された場所は、まるで一本の道であるかのように。そして、その先にセント町という町があった。

 本来、ファルマー王国が関わるような距離ではなく、セント町を領土とするカーマス王国が処置すべき案件。

 しかし、そこに名乗りをあげたのが、ザーラだ。他国よりも機敏に働き、自国の有能性を見せつけるつもりなのだ。おそらくは、モンスター活性化の法則性に気付いたのもファルマー王国だけであろう。

 それを公表せず、内々で処理することで、手柄の独り占めを狙っている。


「それにしても、俺たちでもこんなところに来るのは初めてですよ」

「そうだな。他国の領土など、まず足を踏み入れることなどないからな」

「あんまりよろしくないんじゃないですか? こういうの」

「……いい顔は、されないだろうな」


 他国の領土に無断で立ち入った上、そこでの問題を話も通さずに解決する。世の中のためにはなっても、少なくとも当事者のカーマス王国からいい顔はされないだろう。

 かといって、問題を解決してもらっておいて文句を言えば、他国からカーマス王国は無礼だと言われかねない。

 たとえ、勝手にやったことであろうとなかろうとだ。


「ザーラ様が国王」になってからですよね、こういう無茶な命令が多くなったの」

「おい、ゾラ!」

「いいじゃないですか隊長。ここには俺たちしかいないんですよ?」

「もし誰か告げ口したらどうなると思ってるんだ」

「俺はみんなを信頼してますから」

「それに、隊長もそんなことしないでしょ」

「む……」


 国王への、無礼とも取れる発言……しかし、それを本気で咎める者がいないのは、バングーマ含め誰もが同じことを考えているからに他ならない。

 ザーラが国王になり、兵士たちには厳しい命令が増えた。バングーマも詳しくは聞いていないが、近々どこかの国と戦争でもするんじゃないかと噂だ。

 ここでなにを話そうと、それを告げ口する者はいないだろう。本来生真面目なバングーマも、だ。それだけ国王に思うところはあるし、また告げ口したとして上司であるバングーマが責任を取らされるのがわかっているからだ。


「やっぱり、前王でったザラドーラ様は聡明な方だった。俺たち兵士も国民も、一個人として見て下さってたからな」

「同感だ。なぜ、あんな偉大なお方から、ザーラ様のような方が生まれたのか……」

「それを言うなら、リリー様だ。ザーラ様の娘とは思えないほどいい子だ」

「あぁ、あんないい子が国を治めてくれたら俺は言うことなしだ。リリー様になら全霊で仕えたいし、なんなら踏まれても……いや、冗談だからな? その顔やめろ!」

「お前たち……さすがに言い過ぎだ」
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