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死に戻り勇者、魔王の娘と対峙する
二人のお話を聞きたい
しおりを挟む朝食を済ませた俺たちは、いつものように仕事へと向かう。今回は、ディアも同行している。
ディアとメラさんという来客があったとはいえ、村はいつも通りの日常だ。ディアもメラさんも、身分を明かすわけにはいかないので単なる旅人、ということにしている。
ディアがいる間くらいは休んでもいいとエフィは言うが、さすがにそういうわけにもいかない。
「そこまで気を遣ってもらわなくていいわよ」
と、ディアもそう言っていた。もちろん二人の時間は作りたいが、それは誰かに迷惑をかけてのものではない。
そんなわけで、今日も一日、いつものように日常を過ごしていく。平和な、時間だ。
「今日は、ディアさんは村を見て回るんですね」
「そうみたいだ。メラさんも一緒に」
今日は、昨日のようにディアがずっと店内にいるわけではない。やはりずっと俺たちを見ていても飽きるのか、はたまた好奇心が勝ったからか……村を、見て回ると出ていった。
考えてみれば、ディアは生まれた村から神官としてファルマー王国に行って以来、外に出たことがないだろう。だから、こうして外に出た経験は、貴重なのだ。
ならわざわざ、一度店に足を運ばなくてもよかったのに。そう思ったが、エフィとヤタラさんに、挨拶とか、しておきたかったんだろう。
「私も、シャリーディアさんとお話してみたいな」
「なら、今夜はエフィの家に泊まるとかどうだろう」
そんな会話をしながら、店に訪れるお客さん相手に接客をしていく。そのほとんどの人が、今村を見て回っている美人……つまりディアの話で持ちきりだ。
大きくはない村だ、村の人間でない人は目立つ。昨日メラさんが一人で歩いていたときも、そうだったらしい。
そこへ、ディアのような別格の美人が歩いてみろ。そりゃもう、とんでもないことになる。
「えれぇぺっぴんさんが歩いてたぞ」
「なに、アーロの知り合いなのか」
「隅に置けねぇなおめぇも」
と、訪れる人たちにからかわれたりもする。とりあえず、俺がこの村に来る前の知り合い……ということで、通しておくことにする。
村人たちの仲はいい。なので、噂はすぐに広がる。村を、外から来た旅人が歩いていると、その話はすぐに広まった。
「シャリーディアさん、すっかり人気者みたいですね」
「全員が会ったわけでもないだろうに、不思議なもんだ」
そして、時間は過ぎていく……
「あー、楽しかった!」
日も傾きかけてきた頃、店の扉が開く。そこには、村を見て回ってすっかりご機嫌になった、ディアの姿があった。その後ろには、メラさんもいる。
どうやら村を見て回ってきた時間は満喫していたようだ。いい笑顔してやがる。シャリーディアではなく、ディアとしての笑顔だ。
まるで少年のような笑顔。とも言える。
「どうしたんだ、そんなに嬉しそうで」
「いやあ、村の人たちみんな優しくて! いろいろ貰っちゃった!」
そう言って、ディアが手に持っていたものを見せてくる。野菜や果物、様々なものが抱えられていた。
よく見れば、メラさんも結構持っていた。
「シャリーディアさん、今夜ウチに泊まりませんか?」
「え……」
エフィが、ディアの正面に立ち誘う。いきなりのお誘いに、ディアも困惑しているようだ。
エフィは距離を詰めるかのように、ディアの手を取った。
「アーロさんとの話とか、聞いてみたいです! お二人の関係性気になります!」
「わ、私とロアのぉ? えぇ~、どうしよっかなぁ」
ディアの奴、めっちゃ満更でもない顔していやがる。ちょろすぎるだろう。
結果、今夜ディアはエフィ宅へお邪魔することになった。ディアが、俺との関係をどう話すのか気になるところではある。
まあ、さすがに俺とディアは一度時間をやり直してる……なんてことは、言わないだろうが。
その後、ディアたちと別れ、俺はガリーと家に戻る。一日は、こうして過ぎていく。
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