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死に戻り勇者、魔王の娘と対峙する
からかい上手の踊り子
しおりを挟む「それにしても、お二人とまた会えて嬉しいです! 是非ともお話を……あ」
パンッ、と手を叩き、嬉しそうにするリーズレッテ……すぐに、神妙な顔つきになる。
そして、俺とディアの顔を交互に、何度と見比べていく……
「な、なに?」
「どうした、リーズ……」
「あー、なるほど、そういうことですか! すみません、私、デートの邪魔をしてしまったみたいで!」
「!?」
神妙な顔つきから一変。にやり、とまるでいたずらっ子のような笑顔を浮かべると、とんでもないことを言い始めた。
で、デートって……まあ、状況的に見たら。男女二人で歩いているのだ、そう見えなくもないが……
「で、デートってぇ……えへへぇ」
頬に手を付き、ニタニタと喜んでいるディアの姿を横目に、俺はリーズレッテに問いかけた。
「デートって、なにを根拠に……」
「え? だって、シャリーディア様ってアーロ様……いやロア様のこと、お好きだったでしょう?」
なぜ、そんなことを聞くのか……それは当たり前のことだと言わんばかりに、リーズレッテは答えた。
その答えに、真っ先に反応するのはディアだ。
「!? し、知ってたの!?」
「私、いろんな国や村で、いろんな人たちと会ってきましたから。人の気持ちには、敏感なんですよね」
えっへん、とどこか自慢げに、リーズレッテは語る。ディアはもう、顔が真っ赤だ。
それはそうだろう。これまで自分の胸の内に秘めてきたと思っていた気持ちが、まさかバレていたのだから。
「で、でもあの頃の、私は、その……自分で言うのもなんだけど、結構お堅い神官だったよ!?」
「それでも。あなたが彼を見る目、他の人と彼に対する声のかけ方の違い、他にも、たくさん……見ていて、すぐにわかりましたよ?」
「あ、あぁあああ……!」
自分の想いがバレバレだったことに赤面し、顔を両手で覆ったディアは、もはや言葉にならない声を上げてその場に屈み込んだ。顔は隠していても、耳は真っ赤だ。
その様子を、リーズレッテは楽しげに笑う。
「ふふ、かわいい……あの凛としていたシャリーディア様が、今や恋する乙女なんて! 恋は人を変えるとはよく言ったものですが、シャリーディア様の場合その時点で自制してたんですよね! すごいです!」
「…………そうか」
「こほん。そういうわけで、お二人のデートの邪魔はしません! お話は、また夜にでも……村長さんの所に行って、踊りを披露してもいいかと話をしてきますので」
「お、おう」
ディアを散々辱めた挙げ句、リーズレッテは行ってしまった。その後ろを、護衛の数人がついていく。
今の会話なにげに護衛の人たちにも聞かれたな……まあ、口の軽い人たちではなさそうだけど。
「うぅう、恥ずかしい……」
未だ恥ずかしさに震えるディアは、傍から見ていてとてもおもしろ……かわいらしい。
「そんなに恥ずかしがるか? 今のお前はだって……」
「今はいいの! 昔……あのときの私が、ロアを好きだったってバレてるのが恥ずかしいの!」
「お、おう」
ディアは、俺から見ても今俺に対して……まあ、好き好きオーラ?みたいなものを出している。別にあからさまってわけではないが、見る人が見ればわかるだろう。
だが、あの頃のディア……大神官として努めていたシャリーディアが俺に気を向けていたことがバレていたのは、恥ずかしいらしい。
その違いが、俺にはよくわからない。女性ってそんなもんなんだろうか。
「まあいいや。しようぜ、デートの続き?」
「! も、もー!」
俺も、からかうようにデートという言葉を使う。実際にディアがそう思っているのかはともかくとして、恥ずかしいのか顔は真っ赤なままだ。
なるほど、こうしてからかうのもありだな。
「……なんか変なこと、考えてない?」
「考えてないない」
「……」
じーっ、とディアのジト目を受けながら、俺たちはデートを再開した。
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