四度目の勇者召喚 ~何度召喚したら気が済むんだ!~

遠竹

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第一章 四度目の勇者の実力

告白と同行

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 朝、目が覚めると、ベッドで寝ていたはずの奈菜が俺の右隣で寝ていた。
 そして、左隣にはなぜかリーアが寝ていた。
 ……おかしいぞ? 匿ってもらっていたはずなのに、どうしてリーアがここで寝てるんだ?
 しかも、結構大胆な露出度の高い服を着てるし……。
 大丈夫か、これ。
 俺の貞操は守られているのだろうか。
 男だと確かめようが無いから不便だ。
 取り敢えず、服が乱れてないことと下半身に違和感がないことから、恐らく大丈夫だと判断した。
 そのタイミングで、リーアが目を覚ました。

「ん、んぅ……あ、おはようございます、ユウト様」
「おはようじゃないだろ。なんでここに居る」
「それはですね……」

 リーアによると、昨晩俺がユーアリンの用意した部屋に来なかったため、部屋を一つ一つ探して回った。
 しばらく探していると、俺がこの部屋で寝ているのを見つけた。
 当然、奈菜に阻まれることになるのだが、言い争う中で何かに気づいたリーアが、とあることを奈菜に訊いてみると、そうだったらしく同盟を結んで一緒に寝ることになったということらしい。
 とあることがなんなのか、なんの同盟なのか、それはリーアも教えてくれなかった。
 乙女の秘密だそうだ。
 ……乙女の秘密ってなんだ?
 そんな話をしていると、奈菜が目を覚ました。

「あ、リーアちゃん、おはよう。あと、祐人も」
「俺がついで!? 本当に昨日の夜何があったんだよ!?」
「祐人は知らなくていいのっ! 乙女の秘密なんだから!」

 だから、乙女の秘密ってなんなんだよ……?
 聞いても答えてくれないので、乙女の秘密は考えないようにすることにした。
 その後、異様に仲が良くなっている奈菜とリーアが、それぞれ俺の腕に抱きついてきた。
 なにこれ? 今から俺はどうなるんだ?
 というか、二人とも、強く抱きしめすぎて当たってるんだけど……。
 何とは言わないが。
 ふりほどこうとしても、まるでおもちゃを買ってくれるまでこの場から絶対に動かないと心に決めて頑として動かない子どものように離れない。

「どうでしょうか?」
「えっ? なにが?」

 急に訊かれたので、そう答えた。
 すると、奈菜からも訊かれた。

「ねぇ、どうなのっ?」
「だからなにが?」

 二人とも質問の主語が抜けてるから答えようにも答えられない。
 質問の意図を理解しようと試みるも、俺の頭では二人の質問の意図を理解することは叶わなかった。

「「「……」」」

 沈黙が部屋の中を支配する。
 俺が考えている間、奈菜とリーアは俺を期待の目で見ている。
 答えられない俺は、誤魔化すことにした。

「あ、そうだ、用事があるんだった! 行かないと……!」

 そう言って無理やり立ち上がってドアの方へ行こうとするも、ガッチリ腕を抱かれているため立ち上がることすらできなかった。

「ちょっ、二人とも、離してくれよ。用事があるんだから」
「ダメです! 私達の胸の感触がどうだったか言ってもらえるまでこの手は離しません!」
「わざとだったのかよ!?」

 まさかの確信犯だった……。
 こんなことしてなんになるんだ?
 そんなことを思っていると、奈菜から質問された。

「で、どうなの?」
「えっ?」
「だから、その、私の――の感触……」

 顔を真っ赤にして俺から目を逸らしてボソッと訊いてくる奈菜。
 恥ずかしがるなら最初からやるなよ!
 こっちまで恥ずかしくなってきたじゃないか……!

「え、うん、まぁ、見た目に反して意外と……みたいな?」
「そ、そっか……」

 恥ずかしがりつつ、どこか嬉しそうな奈菜。
 えっ、怒らないの? というか俺、訴えられないよな?
 思いっきりセクハラまがいなことしてる自覚あるぞ、俺。

「むぅ! 二人だけ良い雰囲気を出して! 私のはどうなのですか!?」
「……普通?」
「どうしてナナさんと私で反応が違うのですか!? 酷いです! 私への愛はその程度だと言うのですか!?」
「お前に愛の感情を抱いた覚えが無いんだけど……?」
「そんな……私にキスをしてくださったのに……。あれは嘘だったと言うのですか!?」
「だから、あれは人工呼吸って言って……!?」

 説明しようとしたらそれを遮るように、リーアが自分の口で俺の口を塞いできた。
 ……これって、キス、だよな?
 いまいち思考が追いついてないけど。
 リーアは口を離すと、真剣な顔でおれを見詰める。

「私は本気です。本気でユウト様と人生を共にしたいと思っています」
「いや、でも……」
「わかってます。元の世界に帰るから私とは結ばれないんですよね。ですが、それなら私は付いていきます。ユウト様の為ならどんな障害だって、それこそ世界だって越えて見せます! それぐらい本気なんです!」

 目尻に涙を浮かべて訴えかけてくるリーアを見て、急に罪悪感が芽生えた。
 すべて理解した上での今までの行動だったとしたら、なんとも言えない気分になる。
 昨日なんてヘッドスライディングさせちゃったし……。

「なので、私とを貴方のものにしてください!」
「……は?」

 えっと……つまりどういうことだ?
 今って、リーアの告白だったよな?
 なんで奈菜が入ってるんだ?
 まさか、本当に俺のことが好きだったのか?
 奈菜を見ると、顔を真っ赤にして固まっていた。

「ですから、ナナさんも一緒にユウト様のものにしてください、と言ったんです」
「り、りりり、リーアちゃん!?」
「いいじゃないですか。ユウト様のこと好きなのですよね? 確か、ショウガクセイ? という頃から。私よりユウト様のことを知っているナナさんとなら、一緒にユウト様を支えてもいいと思うのですが……」
「ちょっ、祐人の目の前でそんなこと言わないでよっ!」

 小学生の頃から?
 結構な昔からじゃないか。
 よく考えれば、好きでもなければ同じ高校に受験すること無いよな……。
 それに、大学受験も俺より頭良いのに、わざわざ俺と同じ大学の同じ学部,同じ学科を受験しようとしてるし。
 いやまて、まさかリーアのやつ、二人とも取るにはこの世界で結婚するしかないのを見越して提案してるんじゃなかろうか。
 自分が俺と結婚できるし、奈菜も俺と結婚できるから一石二鳥とでも考えているのか。
 俺は、ハーレム作る気はさらさら無いんだけどな……。

「それで、どうされますか? ユウト様」
「祐人、べつに私は……」

 真剣な顔で解答を迫るリーアと、少し戸惑っている奈菜。
 二人を見た俺は決断した。

「決めた。この世界に残る」
「えっ?」
「ユウト様、それはつまり、どちらともユウト様のものにしていただけるのですね?」

 リーアがそう訊いてきたので、頷いて答えた。
 奈菜は、急に俺がこの世界に残ると言い出して驚いた様子だ。
 しかし、解答の意図がわかると、再び顔を真っ赤にしながらこう言った。

「め、迷惑じゃない? 一緒に居るの……。私よりリーアちゃんの方がいいとか……」
「なに言ってんの? 保育園に通ってるときから一緒に居るのに、今さらそういうこと聞く?」
「そ、そう、だけど……」
「それを聞くなら、俺の方こそ勝手にこの世界に残るって決めたけどよかったか?」
「祐人が決めたことだから、私はそれでいいよ」

 そんな会話をしていると、リーアが機嫌を悪くした。

「むぅ! また二人だけで良い雰囲気を出して! これが、幼馴染みのナナさんと数回会っただけの私の差ですか……!」
「ごめんね、リーアちゃん、私の分も告白してくれたのに……」
「いいですいいです! 私の方がユウト様を愛してますから! これでお相子です!」
「わ、私だって祐人のこと愛してる! 小学生の頃からだから、リーアちゃんの比じゃないよ!」

 この後、ドングリの背比べのようにどっちが俺のことを愛しているかの討論が始まってしまった。
 もうほとんど水掛け論のような感じだったけど……。
 普通の人なら煩わしいと思う光景だが、今の俺には微笑ましい光景に見えた。
 まぁ、それ以前に俺にとっては恥ずかしすぎる討論内容で聞こえないようにしてたけど。


 ◆◇◆◇◆


「ということが朝あったんだけど」
「よかったね、ユウト兄ちゃん」
「目出度いじゃないか」
「ということは、いつでもユウトに会えるってこと!?」

 フーリエの言葉で気づいたのか、グランとリルがバッと俺を見る。
 なので、頷いて答えると3人とも嬉しそうにした。
 そんなやり取りをしている傍らで、ユーアリンに報告するリーア。
 そして、リーアの隣に立つ奈菜。

「そうか、昨日の今日でよくやったな、リーア。心身ともにユウトに尽くすようにな」
「はい、お父様! つきましてはユウト様の旅に同行する許可をいただけないでしょうか」
「いいとも、頑張ってきなさい。ナナさん、娘と仲良くしてやってくれ」
「はい」

 いつの間にかリーアが旅に同行することになっていたが、奈菜が付いてくるのにリーアだけ留守番というのもどうかと思ったので、なにも言わないでおいた。
 その日の昼、俺達は獣人の国へ向けて出発した。
 討論が幸いしたのか、朝の時よりも仲良くなったように見える奈菜とリーアが楽しそうにお喋りしながら歩く。
 それを見て、とても微笑ましいと思った俺だった。

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