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四章
再生成の情報
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——◆◇◆◇——
「——以上が、こちらで調べた限りの再生成の情報だ」
翌日。オルドスがいくつかの本と書類を持って『揺蕩う月』へとやってきた。どうやら約束通り魔創具の再生成について情報を持ってきたようだ。
渡された書類を受け取り、読み進めていく。だが、どうにも気持ちが逸り、手が震える。抑えようと深呼吸をしてみても意味がなく、心臓の鼓動も呼吸による振動も、全てが気持ち悪い。
「……自身の魔創具を作るときに使用した素材を再び集め、そこに強化のための素材を加える、か。確かに、そんなものを魂などという場所に流し込めば、異常が出てもおかしくはないな」
軽く読んでみて分かったのだが、確かにこれでは表に出て来ないであろうなという内容だった。要は、人としての在り方を捻じ曲げるようなものだ。それはもはや人ではなく神の領分に手を伸ばしているといってもいいだろう。
失敗すれば狂うだけなら上出来。最悪は異形と成り果てることだろう。
しかし、危険だと理解しているが、同時にこの方法であれば実現できるだろうなという確信もある。
「できそうか?」
「……おそらくは、可能だ。俺の場合は能力の強化を施す必要はなく、ただ形さえ変えられればいいのだから、さほど難しくはないだろう。この方法で異常が出るのは、力の強弱はあれどすでに完成していたはずの紋血に後から素材を追加したことで魔創具全体のバランスが崩れることに原因がある。実際、不完全な紋血を使用した者は、魔創具の使用時に性格が凶暴になることはよくある現象の一つだ。その場合は魔創具を使用した時のみの異常だが、魔創具としてではなく魂に直接刻むことでその異常が恒常的なものへと変わってしまったのだろう」
しかし、俺の場合は新たに素材を加えて作り直す必要はない。ただ形を変更する部分を魂に刻み直せばいいだけなのだから。
「ああ。こっちの研究者の結論も同じものだ。自身に合わない紋血を使ったことで、魂に異常をきたしたと」
「その点で言えば、俺に関しては問題ないな。新たに素材を加えるわけではないのだから」
一から作り直すわけではないのだから、バランスなど考える必要はない。ただ以前作った通りに作り直せばいいのだ。何度も失敗しないようにと作り直していたため、素材の配分は全て覚えている。
「まあ、だからこそお前に教えたんだがな。もし異変が起こる可能性が高いと言うのであれば、一生魔創具の再生成のことなど教えるつもりはなかった。もしお前に何かあれば、俺がシルルに殺されてしまう」
「流石に実の兄であり王太子であるお前を害することなどないだろうに」
「……そうだと良かったんだがな。あれは本気でやるだろう」
あのお転婆なところもありながらも穏やかに笑っているシルル王女殿下が、いくら不満があったとしても兄弟を害するなどあるわけなかろうに。
そう思ったのだが、オルドスの表情はどこか疲れを感じさせるもので、もしや真実なのかと思わざるを得ない。
もしシルル王女殿下がオルドスの語るような凶行に出る方であるのであれば、なんと答えたものか……。
「……まあ、なんにしても、助かった。これでなんとかなりそうだ」
結局、シルル王女殿下のことには触れることなく話を進めることにした。これがもっとも良い選択であろう。きっと。
「紋血自体はどうするんだ。お前はかなり貴重な素材を使ってただろ? 確か、ドラゴンの素材なんかもあったはずだ。集められるのか?」
確かに俺はかなり貴重な素材を用意していたし、それには相応の金も時間もかけた。今から揃えるとしたらそれなりに時間がかかることだろう。だが……
「心配せずとも、すでに持っている」
「なに? ……旅をしている間にドラゴンに遭遇した、などということは言わないよな?」
「言わんよ。そうではなく、俺は裏ギルドの長だぞ? それも、魔境などという場所で街のほぼ全てを支配する大規模なものだ。倉庫を漁った際に、ドラゴンやら何やらの珍しい素材が出てきた。それを使えばいい」
何を成そうとしていたのか、最終的にどこを目指していたのかは知らないが、『樹林の影』の奴らが保管していたものの中にドラゴンの素材もあった。その他の素材も貴重なものは揃っていたはずだし、ないものはすぐに買い揃えることができるものばかりだ。数日もすれば全てを揃えることができるだろう。
「……ドラゴンの素材など、国でも厳重に管理する類のものなのだがな。会議も申請もなくそう簡単に決めてしまえるとは、羨ましいことだ」
曲がりなりにも非合法の組織だからな。中にはそういった素材もある。もっとも、無限にあるというわけではないがな。
それに、こちらは会議をするほどの組織でもない。ドラゴンの素材など、組織内で他に誰も使いはしないしな。後のことを考えて後生大事に取っておく、ということをすることもないのだ。なので、トップの一存で大体のことは決めてしまえる。ある意味、王様よりも好き勝手できる立場だと言えるかもしれないな。
「大規模と言っても、所詮は街一つを支配している程度に過ぎないからな。国のような巨大なものとは違い、その程度の規模であれば、組織のトップの一存でなんとでもなるものだ」
そういうなりオルドスは呆れたような表情で肩を竦めたが、俺が持っている素材については特に何かを言うつもりはないようだ。
「なんにしても、素材の問題はないわけだな。なら、すぐにやるのか?」
できることならばすぐに魔創具の改良に臨みたい。だが、それは無理だ。
「……紋血の作成そのものは一晩あれば終わるとしても、素材がない。刻印堂も必要になるが、使い切りになるが刻印堂の作成に三日もあれば作れるか。そうなると、刻印堂を作っている間に素材を集め、それから紋血の作成を行い、体調を整えるために休養を一日挟み、その後だから……予定外が起こることも考えて一週間後に実行することができれば上出来と言ったところか」
今度は殿ような邪魔も入らないようにするために、個人で使う分だけの最低限の広さだけの完璧な守りを施したものを用意しよう。時間も材料も限られているのだから一度きりのものになるかもしれないが、その一度さえなんとかなればあとは壊れても構わない。
……いや、せっかくだ。作るのであれば、今後『揺蕩う月』の者達が使えるように長くしようできるものを用意するか? まあそれも、俺が使う一度を完璧にこなせるだけの余裕が確保できてからの話になるが。
「一週間か……まあいけるな」
いけるだと? それはどういう意味だ?
「いける? ……まさか、ここに残るつもりか?」
「いや、流石にここに留まり続けることができるほどの余裕はない。だが、見逃すこともできない。よって、一週間の間に周辺の村や街を周り、一週間経ったら戻ってくるとしよう。儀式そのものは間に合わないかもしれないが、俺が教えたのだ。せめて結果だけでもどうなるのか見届ける必要があるだろ?」
「個人的には無駄に心配をかけたくないから、さっさと城に戻って欲しいところだがな」
「ここで結果を知らずに帰った方がよほど心配というものだ」
まあ、確かに気になるというのは理解できる。俺も逆の立場であれば、自身が提供した情報を元に友人が魔創具を作り直す際に立ち会おうとしただろう。
「そうか。まあいい。どうせ俺に命令できる権限などないのだ。好きにしろ」
オルドスも考えなしに言っているわけではないようだし、俺が何かを言ったところで意見を変えるつもりはないだろう。
「そうさせてもらおう」
そうして、俺の魔創具の再生成の準備が進められていくこととなった。
「——以上が、こちらで調べた限りの再生成の情報だ」
翌日。オルドスがいくつかの本と書類を持って『揺蕩う月』へとやってきた。どうやら約束通り魔創具の再生成について情報を持ってきたようだ。
渡された書類を受け取り、読み進めていく。だが、どうにも気持ちが逸り、手が震える。抑えようと深呼吸をしてみても意味がなく、心臓の鼓動も呼吸による振動も、全てが気持ち悪い。
「……自身の魔創具を作るときに使用した素材を再び集め、そこに強化のための素材を加える、か。確かに、そんなものを魂などという場所に流し込めば、異常が出てもおかしくはないな」
軽く読んでみて分かったのだが、確かにこれでは表に出て来ないであろうなという内容だった。要は、人としての在り方を捻じ曲げるようなものだ。それはもはや人ではなく神の領分に手を伸ばしているといってもいいだろう。
失敗すれば狂うだけなら上出来。最悪は異形と成り果てることだろう。
しかし、危険だと理解しているが、同時にこの方法であれば実現できるだろうなという確信もある。
「できそうか?」
「……おそらくは、可能だ。俺の場合は能力の強化を施す必要はなく、ただ形さえ変えられればいいのだから、さほど難しくはないだろう。この方法で異常が出るのは、力の強弱はあれどすでに完成していたはずの紋血に後から素材を追加したことで魔創具全体のバランスが崩れることに原因がある。実際、不完全な紋血を使用した者は、魔創具の使用時に性格が凶暴になることはよくある現象の一つだ。その場合は魔創具を使用した時のみの異常だが、魔創具としてではなく魂に直接刻むことでその異常が恒常的なものへと変わってしまったのだろう」
しかし、俺の場合は新たに素材を加えて作り直す必要はない。ただ形を変更する部分を魂に刻み直せばいいだけなのだから。
「ああ。こっちの研究者の結論も同じものだ。自身に合わない紋血を使ったことで、魂に異常をきたしたと」
「その点で言えば、俺に関しては問題ないな。新たに素材を加えるわけではないのだから」
一から作り直すわけではないのだから、バランスなど考える必要はない。ただ以前作った通りに作り直せばいいのだ。何度も失敗しないようにと作り直していたため、素材の配分は全て覚えている。
「まあ、だからこそお前に教えたんだがな。もし異変が起こる可能性が高いと言うのであれば、一生魔創具の再生成のことなど教えるつもりはなかった。もしお前に何かあれば、俺がシルルに殺されてしまう」
「流石に実の兄であり王太子であるお前を害することなどないだろうに」
「……そうだと良かったんだがな。あれは本気でやるだろう」
あのお転婆なところもありながらも穏やかに笑っているシルル王女殿下が、いくら不満があったとしても兄弟を害するなどあるわけなかろうに。
そう思ったのだが、オルドスの表情はどこか疲れを感じさせるもので、もしや真実なのかと思わざるを得ない。
もしシルル王女殿下がオルドスの語るような凶行に出る方であるのであれば、なんと答えたものか……。
「……まあ、なんにしても、助かった。これでなんとかなりそうだ」
結局、シルル王女殿下のことには触れることなく話を進めることにした。これがもっとも良い選択であろう。きっと。
「紋血自体はどうするんだ。お前はかなり貴重な素材を使ってただろ? 確か、ドラゴンの素材なんかもあったはずだ。集められるのか?」
確かに俺はかなり貴重な素材を用意していたし、それには相応の金も時間もかけた。今から揃えるとしたらそれなりに時間がかかることだろう。だが……
「心配せずとも、すでに持っている」
「なに? ……旅をしている間にドラゴンに遭遇した、などということは言わないよな?」
「言わんよ。そうではなく、俺は裏ギルドの長だぞ? それも、魔境などという場所で街のほぼ全てを支配する大規模なものだ。倉庫を漁った際に、ドラゴンやら何やらの珍しい素材が出てきた。それを使えばいい」
何を成そうとしていたのか、最終的にどこを目指していたのかは知らないが、『樹林の影』の奴らが保管していたものの中にドラゴンの素材もあった。その他の素材も貴重なものは揃っていたはずだし、ないものはすぐに買い揃えることができるものばかりだ。数日もすれば全てを揃えることができるだろう。
「……ドラゴンの素材など、国でも厳重に管理する類のものなのだがな。会議も申請もなくそう簡単に決めてしまえるとは、羨ましいことだ」
曲がりなりにも非合法の組織だからな。中にはそういった素材もある。もっとも、無限にあるというわけではないがな。
それに、こちらは会議をするほどの組織でもない。ドラゴンの素材など、組織内で他に誰も使いはしないしな。後のことを考えて後生大事に取っておく、ということをすることもないのだ。なので、トップの一存で大体のことは決めてしまえる。ある意味、王様よりも好き勝手できる立場だと言えるかもしれないな。
「大規模と言っても、所詮は街一つを支配している程度に過ぎないからな。国のような巨大なものとは違い、その程度の規模であれば、組織のトップの一存でなんとでもなるものだ」
そういうなりオルドスは呆れたような表情で肩を竦めたが、俺が持っている素材については特に何かを言うつもりはないようだ。
「なんにしても、素材の問題はないわけだな。なら、すぐにやるのか?」
できることならばすぐに魔創具の改良に臨みたい。だが、それは無理だ。
「……紋血の作成そのものは一晩あれば終わるとしても、素材がない。刻印堂も必要になるが、使い切りになるが刻印堂の作成に三日もあれば作れるか。そうなると、刻印堂を作っている間に素材を集め、それから紋血の作成を行い、体調を整えるために休養を一日挟み、その後だから……予定外が起こることも考えて一週間後に実行することができれば上出来と言ったところか」
今度は殿ような邪魔も入らないようにするために、個人で使う分だけの最低限の広さだけの完璧な守りを施したものを用意しよう。時間も材料も限られているのだから一度きりのものになるかもしれないが、その一度さえなんとかなればあとは壊れても構わない。
……いや、せっかくだ。作るのであれば、今後『揺蕩う月』の者達が使えるように長くしようできるものを用意するか? まあそれも、俺が使う一度を完璧にこなせるだけの余裕が確保できてからの話になるが。
「一週間か……まあいけるな」
いけるだと? それはどういう意味だ?
「いける? ……まさか、ここに残るつもりか?」
「いや、流石にここに留まり続けることができるほどの余裕はない。だが、見逃すこともできない。よって、一週間の間に周辺の村や街を周り、一週間経ったら戻ってくるとしよう。儀式そのものは間に合わないかもしれないが、俺が教えたのだ。せめて結果だけでもどうなるのか見届ける必要があるだろ?」
「個人的には無駄に心配をかけたくないから、さっさと城に戻って欲しいところだがな」
「ここで結果を知らずに帰った方がよほど心配というものだ」
まあ、確かに気になるというのは理解できる。俺も逆の立場であれば、自身が提供した情報を元に友人が魔創具を作り直す際に立ち会おうとしただろう。
「そうか。まあいい。どうせ俺に命令できる権限などないのだ。好きにしろ」
オルドスも考えなしに言っているわけではないようだし、俺が何かを言ったところで意見を変えるつもりはないだろう。
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