詩集

D・D

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水紋

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水辺の近くをあるいていると

水面に僕が映るんだ

とにかく映った僕を見ていて

そこでじっとたたんずんでいると

急に波紋が浮かび上がる

なんだろうってそのまま動かず見つめていると

ピチャって音がして

魚が顔を出してきた

魚は水の外にいる僕に

びっくりしたのか知らないけど

いちはやく水底に潜っていった

僕はそれを見ていたけれど

見つめることしかできなくて

あまりの一瞬の出来事に言葉が追いついてこなかった

そのまま無言で波紋を見ていると

なんだか黒い物が水面下で動いているのが分かる

どうやら魚の群れのよう

僕は群れにバレないように

近くの落ち葉を粉々にして

小さな葉クズを魚の群れの上に落としてやった

魚たちは最初

水面の葉クズに群がったけど

餌じゃないと気づいたら

何食わぬ顔で散らばっていった
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