詩集

D・D

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その先

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摩天楼より上にいる

数々の

天に届かんばかりのビルより

僕たちは上にいる

あれを見下ろしている

ここから落ちれば

空に溶けるように

沈んでいくように

呑み込まれて

包まれる


僕と君だけの世界が広がっている

君は笑っている

下を見下しながら

ビルの屋上の端に座って

綺麗な瞳を宿している

風が靡いていた

僕は行けなかった

君のようにそちらへは行ける勇気はなかった

だから君の気持ちを理解しきれない

日の出が出てきていた

君の頬に赤みが増してきた時間だった

苦手だった

いつも君の顔はきつかった

僕は無理していつも見ていたけど

君の瞳は僕の目には写したくなかった

君の見ているその先は

僕らの知らない世界のはずだ

それなのに君は

その先を
笑いながら見て歩んだ
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